ずるい男に拾われました【電子限定漫画付き】
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ずるい男に拾われました【電子限定漫画付き】

うすいしっぽ

貴方が好きです。

ネタバレ
2025年2月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 正直、この作品のあらすじや魅力は既に色んな方が語っていると思う。なので私はそこを遠慮なく省略して、その代わりに一つだけどうしても語らずにいられなかったことを書かせて欲しい。それは、『新藤葉月』という男がずる過ぎる、という点だ。
アラサー独身、アル中、喫煙者、女好き。いわゆる“3C男”どころか難アリ要素をこれでもかと積み上げたような男なのに、不思議と嫌悪感が一切ない。それどころか、気づけば好きだと思ってしまう。クズっぷりに惚れたというより、葉月という男のクズさ込みの生き方そのものに惹かれたという感覚に近い。
自由奔放で後先を考えない。無鉄砲で軽率で、常識的に見れば褒められた人間ではないはずなのに、その無計画さが結果的に真を拾うきっかけにもなる。考え抜いて動くタイプではないのに、誰かを救う場面では自然と体が先に動いてしまう。その姿が妙に漢らしく、気づけばこちらまで納得させられてしまう。
そして何より見た目が強すぎる。黒髪長髪の高身長、スカーフェイスにがっつり和彫り。色気を隠す気ゼロの悪い男ビジュアルで、この造形を嫌うBL好きがいるとは思えない。黙っていれば文句なしのイケメンなのに、口を開けばセクハラ発言、平常運転が二日酔い、ボケにボケを重ねる残念さ。このギャップが致命傷で、ビジュアルの良さを強調する描写がくるたび、「そういえば美形攻めだった」と思い出させられる。
でも葉月を語る上で一番外せないのは、まこっちゃんへの愛の重さだ。最初は懐いた犬を世話するような感覚だったはずが、いつの間にか完全にまこっちゃん沼にハマっている。自覚のない嫉妬も独占欲も当たり前で、スキンシップも愛情表現も過剰なほど。困っているのはいつもまこっちゃんなのに、読者はその光景にニヤニヤしてしまう。葉月は「好き」という言葉を簡単に口にしない。不器用で、恋愛童貞じみた厄介さがある。その代わりに、行動と態度と男気で愛情を示してくる。その結果、まこっちゃんの低かった自己肯定感が少しずつ引き上げられていく姿に、こちらまで心を掴まれてしまった。
欠点だらけで完璧からは程遠い。それでも人に愛される理由を読者に納得させてしまう説得力。それこそが新藤葉月という男の最大の魅力だと思う。気づけば私は葉月のずるさに文句を言いながら、完全に掌の上だった。嫌いになる隙を与えないまま、好きにさせてくる。新藤葉月とは、そういう男だ。
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