レンタルタマちゃん
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レンタルタマちゃん

らくたしょうこ

現実ェ…

ネタバレ
2025年2月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みもせず、作家様買いしました。以下辛口になります、すみません。
逼迫する財政、過疎化、人手不足、地域格差、公共事業の民営化、形骸化した社会保障…と、冒頭から現代日本社会の問題てんこもりで暗澹たる気持ちになりました。
自己責任論を窘めつつ、市民を見捨てられないお役人・矢澤と猫レンタルでやってきたタマの巡り合わせの物語です。

舞台である〝社会保障制度を手放してしばらく経った国〟という設定があまりにも…あまりにもシビアだし、そう遠くない未来だし、そっちに気を取られて無駄に落ち込みました。
国が堂々と〈棄民〉する世界線…皆さん民意を示さなかったんですかね?金のない人間、金のない自治体は見捨てられて当然だと?まさか社会保障と引き換えに手取り増(幻想)でも選んだんですか?自ら人権を放棄することを選んだんですか?
…と、この世界の政治、市民社会の方が気になって話が入ってきません。(現実社会だって今作品世界の前段階にいるようなものなのでそこまで驚くことでもないのですが。)

タマの境遇も悲惨すぎて、BL以前に、削られた福祉の犠牲者感があるんですよ。食べていく為に違法な仕事に手を染めざるを得ないような厳しさがある。
終わり自治体に救いがある訳でもないところが更に厳しくて、社会を、民主主義を諦めた今作品の腑抜けた市民に怒りすら感じます。

ディストピアに近い世界に生きているとディストピア作品は楽しめないんだな〜と改めて思いました。
社会保障や公共事業は一度手放したら二度と市民の手には戻らないことを肝に銘じるべきだと痛感します。
BL要素も少なく、社会派と呼ぶには中途半端で、猫である必要すら正直わからない。首長選びの大切さを感じるのみでした。
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