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今月(10月1日~10月31日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • ミドルエイジはやさしく愛したい

    町屋はとこ

    思秋期の純愛
    ネタバレ
    2025年9月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ジャンル:人生、穏やかでほろ苦い中年BLです。

    45歳、同い年のゲイ、阿南駈と井田賢治。旅先で出会った二人は、パンデミックにより職を失い、人生の帰路に立たされている者同士だった。別れが惜しくなる夕暮れ、同じ宿だとわかった瞬間、嬉しい気持ちが溢れる。互いにカミングアウトし、ゆっくりと探るように縮まる距離。
    もっと近づきたいのに、45年分の経験が重くのしかかる。気遣いのつもりで言葉を飲み込み、なかなか踏み込めない二人。若くない体は寝ても重いままで、疲労からか労災案件に巻き込まれる井田。献身的に支えようとする阿南を有難く思う反面、居た堪れなくなり、不本意な形で突き放してしまう。
    互いを想うが故のすれ違い、いらぬ苦しみ。それは自分の弱さから目を背け、素直になることを恐れていただけだと気づいた井田の選択とは――。

    中年の危機、焦燥感、寂寞感。人肌が恋しいのに言えない、素直になれたらいいのに耐えられてしまう、恥ずかしいと思われたくない、弱さを晒け出せないと、45年の歳月をかけて纏ってきた男らしさの鎧から抜け出す井田が格好良かったです。私も歳を重ねるほど素直になろうと決意しました。素直になるのに今更だとか強さだとか、そんなの関係ないんですよね。

    井田は、自分は隠れたまま相手に知って欲しい、愛されたいし愛されて嬉しいのに愛されたら愛されたでそわそわ落ち着かない面倒なおじさんですが、共感します。優しくて穏やかで与える愛の人、阿南さんと出会えて、あのとき助けようとして、あのまま別れる選択をしなくて、本当に良かった。(セルフケア怠りがちな井田、一人にしておくと普通に心配)

    築き上げてきた価値が、予期せぬ形で揺らいでしまった中年男性が、相手を通して自分と向き合い、パートナーと第二の人生という宝物を手に入れる、心温まるストーリーでした。人生の後半、二人のペースで原野を駆け続けて欲しいです。
    番外編は『人生の楽◯』に出演する彼らを想像しながら読んでました(笑)
  • 片づけられない君への想い

    原宮ココ

    後悔が恋になる
    ネタバレ
    2025年8月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 美しい涙に惹かれ、表紙買いしました。

    甥の佳吾を育てながら、孤独と重圧に耐えてきた主人公・桶谷玲央。家事まで手が回らず委託することに。現れたのは、かつての親友・桑野夏樹。恐怖と想いが絡み合うまま離れた二人。触れれば崩れそうなのに、抑えきれない衝動が交差する。ぎこちない距離感の中、少しずつ溶けていく心。許しと愛――そして三人で紡ぐ、新しい家族の物語です。

    心の準備や気持ちの温度差に傷ついたまま一度は離れてしまったけれど、長い年月を経て気持ちを確かめ合う、そんな王道両片想いでした。
    桑野がずっと恋愛感情を抱いていた一方で、桶谷は親友以上恋愛未満の間で漂いながら、再会後に自覚したのかな。10年前の二人について、もう少し知りたかったです。

    家族の絆は、互いの思いやりによって育まれて欲しいと思っているので、佳吾と玲央、玲央と夏樹、夏樹と佳吾、それぞれの歩み寄りに胸が熱くなりました。そうならざるを得なかったと思いますが、賢く気遣い屋な佳吾が可愛くて仕方なかったです。大人のことは気にせずにのびのびと過ごしてね。三人全員が幸せでいられるような関係性になっていくことを願ってます。
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  • 【18禁版】待てない僕ら

    汐見ろせ

    読者も待てない
    ネタバレ
    2025年8月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『たまにきずあと』番外編第二弾も読めるなんて、ありがとうございます。

    無事大学に合格し上京した八城の元へ、ひと足先に社会人になった高森が駆けつけた日のお話。表紙などを除いた本編のみで22p。二ヶ月ぶりの再会とアルコールによりいつも以上に甘える八城と、それに応える高森が可愛かったです。成人版ですが高森のフェチ度の薄まりから物足りなさを覚えている自分に気づきました(笑)

    高森が酔うとどうなるのか、初飲酒編も読んでみたいです。それにしても、好戦的で警戒心の塊だった八城の心の許し具合よ…。高森から見たら可愛くて仕方ないだろうなー、今作も微笑ましいカップルでした。お金貯めて連泊?それとも上京しちゃう?更なる続編に期待してます。
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  • 【18禁版】それでも大事なとこにいて

    汐見ろせ

    愛じゃん…
    ネタバレ
    2025年8月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『たまにきずあと』の番外編があったなんて!今更気づきました、即買いです。

    2年に進級し、進路を考える時期のお話です。遠距離になることを不安に思う東大志望の八城と、八城の邪魔になりたくない就職予定な高森の、すれ違いと仲直りの一週間。

    思った以上に甘い青春してて微笑ましかったです。本編で心配していたようなトラウマの再演的な側面は全くなく、ほっとしました。八城も丸くなってて可愛かったです。なんかあれを思い出しました、出かけようとする飼い主の腕に全身を絡ませてにゃーにゃー訴えてる猫の動画。可愛い。

    中崎と藤倉との友情にも泣かされました。あと2年間、余すことなく青春を謳歌して欲しいです。
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  • おまえの靴を履いてみる【単話版】

    望月わらべ

    BLに学ぶエンパシー
    ネタバレ
    2025年8月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 読み放題にてページを捲る手が止まらず、流れるように最終話を購入しました。読み放題様々です。

    親との関係や、ストーカーによるトラウマを抱える人は読むのに注意が必要かもしれません。抑圧の再生産が、いかに人格形成に影響を与えるか、自尊感情を損なわせるか、改めて考えさせられました。

    バイセクシュアルの高校生・二宮清正(キヨ)は、廊下ですれ違った宮沢律に一目惚れ。距離を縮めていく二人の間に、律のストーカーである的場、そして母親の存在が暗い影を落としていく。葛藤の末にキヨに打ち明けた律に、キヨもまた過去の苦い経験を語る。互いの痛みに触れながら、心を通わせ、やがて恋人同士に。しかし、的場の執着、母親の異常な依存が律を追い詰めていく…。相手の立場に立ち、その気持ちを想像し、理解しようと努力する。愛は尊重の先にあるということを教えてくれる、救済と再生の物語です。

    キヨのエンパシーの高さたるや!信頼していい、心を預けていいと思える誠実さ。頭の回転が早く、言語理解能力も高い。個人的にはこういう人をスパダリと呼びたい。他者に引きずられない強さがあるのも格好良かったです。特に、家族を恥じているであろう律に対し、その生まれ育ちに感謝する場面には心を打たれました。人を救うのは、相手の存在そのものを肯定する力なんだと教えられた気がします。とはいえ、本人の気質に加え、環境――つまり履き心地の良い靴だからこそ歩めた道でもあることを忘れずにいたいと思います。

    自尊心と感情を取り戻し、痛みを越え、的場と母親と対峙することを選んだ律もまた格好良かったです。キヨに頼りきるのではなく、キヨからの愛を勇気に変え、自ら行動するその主体性が素晴らしい。ホモフォビアの自覚から、同性を好きになる過程とその心情の変化も自然でした。

    ところで、宮沢家も的場家も、父親不在の機能不全家族として描かれているように感じました。前者は無関心、後者は支配者という形の不在。母子が共依存状態のようになってしまう根本的な原因は、父親にあるのでは?という疑問が拭えません。律はキヨに出会えたことで救われたけど的場は…年齢的にまだ軌道修正できるはずなので、彼の未来にも希望があるといいのですが。的場家の事情とその後も読みたかったです。

    読むにはそれなりの気合いが必要な作品でしたが、それ以上の救いがありました。若者たちの未来に幸あれ!
  • 純愛ドロップアウト 【電子限定特典付き】

    三坂ニウム

    エロい…?
    ネタバレ
    2025年8月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ SM描写があると聞き購入しましたが、お、思てたんと違う…個人的には、SMというより変態プレイに近いと思いました。

    オフィス街のコーヒースタンドで働く岸と、近くの会社に勤める常連の黒川。ゲイかつ隠れSな岸は、理想のタイプである黒川を盗み見ては妄想をする日々。ある台風の日、早々に店じまいをする岸の元に、黒川が雨宿りに駆け込んでくる。しかし、岸の目に飛び込んできたのは、濡れたシャツから透けて見える、体に描かれたある単語だった。憤慨する岸を尻目に、黒川は上気した顔で〈待て〉をしていて――思いがけない形で始まった関係が、普通の恋になっていくストーリー。

    良識的に振る舞ってこそ楽しめるSM、が持論なので、黒川の非常識な部分に引いてしまい、ヒヤヒヤしながら読みました。岸に対しても、Sというよりポルノ思考っぽくて好感を持てなかったです。やってることの過激さの割に淡々として見えて、個人的にはエロさもあんまり…。いや、岸の髪型と眼鏡のデザインが苦手なやつなせいかも…。(お好きな方すみません)

    セッ久ありきとはいえ、もう少しストーリーやキャラクターに深みがあれば、より楽しめたかなと思いました。

    何はともあれ、穴ルプラグはちゃんと持ち帰って下さいねー!
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  • 鼓動の秘密

    金田力金男

    君がいる場所に帰る
    ネタバレ
    2025年7月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。金田力先生が描く、真っ赤に染まる夕焼けや、黒い積乱雲が押し寄せる青空のような、美しいのに不穏な雰囲気が好きです。

    進学校の寮の同室、生徒会に所属する模範生である国府津と、掴みどころのない不良生徒、根府川。その自由さから迷惑ばかりかける根府川を、国府津は放っておくことができない。帰省期間、寮に残った二人。居場所のなさにおいて共鳴し、寮という仮初の居場所で心を通わせ始めるも、想いが上手く交わらない。そして雪の日、バイク、海。帰れない、帰りたい、帰りたくない、それでも、帰る場所はある。居場所のない二人は、同じ場所へと帰っていく――。

    それぞれにそれぞれの地獄がある。他人にはわからない地獄がある。各自でやっていくしかない。けれど、待っていてくれる人がいることは、同じように苦しみながら生きている人がいると知ることは、大きな慰めではないでしょうか。

    若さ故に思い詰めやすいのか、思い詰めてしまうのが若さなのか。頭が良くて真面目なんですよね、二人とも。内向きに真っ直ぐで、心配になる。

    家族仲が良く、いつでも帰れる場所があることのありがたみ、その通り。でも、帰れる場所で、息を殺さなくてはいけない人もいる。恵まれてると言われようとも、帰れる場所と帰りたい場所は、必ずしも一致しない。待ち人のいる場所まで帰れなかったことが悔しい。馬鹿だなあ…自分で言った〈贅沢〉以上の再会なんて、そんな悲しい話あるかよ。

    なあ根府川、どんなに積もっても、一人じゃ雪合戦はできないんだぜ…。

    自暴自棄になるのも、死ぬことをやめても、帰りたいと思っても、命あってのことだから。生きようと決意した、その瞬間に死んでしまうことだってあるのだから。とはいえ、待っている奴がいなくとも、また、待っている奴が自分自身であっても、何の問題もないということも、声を大にして言いたいです。

    最後に、国府津は根府川の後を追ったのだと私は思ってます。「また笑われるだろうな」は、根府川をひとりにしないという選択だったのだと。手紙を書いたこと、そして第二ボタン――そのすべてが、彼らの間にあった恋愛に近い情の証のように思えます。静かで儚い、純文学的ブロマンスでした。
  • 部活の後輩に迫られています

    腰乃

    スーパーポジティブ執着攻め
    ネタバレ
    2025年7月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『俺は頼り方がわかりません』のスピン元とのことで読んでみました。バスケ部の後輩・吉武に胃袋を掴まれた守屋先輩の、弁当から始まる青春ストーリー。

    吉武の好意の伝え方が強引な上に、不同意な挿入もあり、読んでいて不快感がありました。「俺が今まで食わして育てたんだから、実ったもんは俺が食います」の台詞から漂うモラハラ臭よ…。吉武フローチャートも拡大解釈が過ぎるし、普通に恐怖を感じました。先輩に迫る具体的な理由や背景がよくわからないのも怖かったです。

    一方的に欲をぶつける吉武が悪いのに、先輩が自分を責めたり、びびんなきゃ上手くいく、と吉武に好意的に振る舞う姿は妙に生々しく、何とも言えない気持ちになりました。

    簡単に流され絆される先輩にも引いてしまい、完全にNot for meな作品でした。モノローグの量とオノマトペの存在感も私には読みづらかったです。評価を下げて申し訳ないです。
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  • 俺は頼り方がわかりません

    腰乃

    割れた心を愛で継ぐ
    ネタバレ
    2025年7月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 就活に失敗して自信喪失、身も心も限界を迎えた元優等生の牧野は、コネで地方の小学校の臨時教員に就くことに。迷子になり川の真ん中であわや溺死、というところを助けたのは、地元の名家の息子である清宮。偶然、彼の持ち物からゲイだと察した牧野は動揺し、衝突してしまう。しかし、ひょんなことからすぐに再会。やがて互いの存在は大きくなっていく。
    自分を取り繕わずにいられる清宮との関わりを通し、少しずつ人との距離感を取り戻し、心身が回復していく牧野。一方の清宮は、牧野に惹かれながらも、その無神経さとセクシュアリティの違いに傷ついてもいた。痛みや過去を抱えながらも、不器用に心を交わし合う二人。ぶつかって、傷つけて、傷ついて、ようやく口にできた「好き」――。
    頼ることも、愛されることも知らなかった二人が、本気の恋を見つけるまでの、再生の物語。

    就活鬱から引きこもりになるまでの流れがあまりにもつらくてですね…牧野と同じ状態になってしまった友人のことを思い出しました。大きな挫折がないどころか、できる自分しか知らない分、余計しんどかったと思います。まさに「頼り方がわかりません」状態。弱音を吐く訳にはいかない、負ける訳にはいかないホモソマインドに苦しむ気持ち、よくわかります。
    抑鬱状態だと、回復スピードを病みスピードが上回ってしまいケアも疎かになりがちですが、どんなに暴れてもどん底でも、待ってくれる、見離さないでいてくれる奉仕の人・清宮に出会えて、本当に良かったです。異変に気づき、寄り添ってくれる友人がいたのも心強い。健全な精神は健全な身体に宿るの言葉通り、段々と調子を取り戻し、表情も明るくなっていく牧野の姿には励まされました。先生ムーブ好き。

    閉鎖的な環境で、誰もが知る豪農の一人息子として、自分を隠して生きる清宮の苦しみも印象的でした。今後も結婚と跡継ぎを期待されるだろうし、理解ある人ばかりじゃない。大きな壁にぶつかるかもしれない。けれど、再出発した牧野という最大の味方を得た今、きっと乗り越えられると思います。ずっと幸せでいて欲しい二人です。

    …とまあ、色々書き連ねましたが、やっぱり腸内洗浄に全部持ってかれましたよね。リアルさの追求、大変良いと思います。ありがとうございました。
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  • 夜、明けて君.

    汐見ろせ

    Carpe diem
    ネタバレ
    2025年7月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読み部分の後、急性硬膜外血腫になっていやしないかが怖くて、確認の為に買いました。

    告白と、その返事までを描いた短編ですが、悲しみの受容について考えさせられました。
    高校生なんてまだ子供で、誰にも打ち明けられなくて、でも確かに恋人で。実感のないまま喪失感だけを抱え、自分への失望と、大切な人を失う恐怖が膨らんでいく日々は、とても辛かったはず。故人への思いや、故人との思い出を聞いてもらうというのは、喪失を受け入れる過程で必要な作業なんだ、と改めて思いました。

    出会いがあれば必ず別れがあり、大切になればなるほど失う恐怖も大きくなる。だからこそ、大切に想いながら今を生きることが大事なのでしょう。
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  • 始まりはどうでもいい【タテヨミ】

    GA-MYEONG

    終わりよければ全てよし
    ネタバレ
    2025年7月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 中高時代の友人だったナム・ウンチェとソ・ジホは、大学生になってから再会。ひょんなことから、SMプレイを通じて関係を深め、やがて恋人同士になる。しかし、お互いに本音を言えず、すれ違いや我慢が積み重なっていき、関係は度々危機に。ジホの元家庭教師、ソ・ヒョンミンの登場も、二人の仲を更に揺さぶる。SMから始まる、焦ったくもリアルな青春ラブストーリー。

    45話で本編は完結、46話以降は外伝です。若さ故の不安定な恋愛模様や、学業との兼ね合い、就活のストレスによる衝突など、大学生あるあるな描写に共感しました。一方で、外伝のラストは多重夢のようにも見え、現実と夢の境目が曖昧なまま終わる為、不安が残る読後感でした。ウンチェヤ〜壺とか買わされないでね、占いに頼るのはほどほどに。

    それにしても、本編にほぼ出てこないヒョンソン(ヒョンミン先輩の兄)のことが気になって気になって夜しか眠れません。どういう流れでハミン先輩とやろうとしたのか、その時何を思ったのか、今は何をしているのか…。
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  • 青春の影

    金田力金男

    図書室から君たちへ
    ネタバレ
    2025年7月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。本作も、漫画で読む純文学、上質なブロマンスでした。

    新入生代表、弓道部、函南宗一郎。図書委員、テニス部、真鶴湊。図書カード上で出会った二人。芯の強い函南に憧れる真鶴、真鶴の目で世界を見たい函南。互いのことを知るよりも先に、どうしてこんなにわかり合えるんだろう。でも、この繋がりを知る人は誰もいない。憧景の輪郭を撫でる、夢にも心にも渦巻くリビドー。目醒めたのはタナトス。空っぽだから、空っぽだったから、全てを与えたいんだ――。

    強くあろうとすることだけが強さじゃない、弱さを知ること、意味のなさを受け入れることもまた強さだと、心の声を詰まらせながら、そんなことを噛み締めていました。
    しかし、与えられないと揺らいでしまう、自分に存在価値を感じられない、人生に意味を見出せないと思う人にこそ、文学がある。詩を、本を愛する君たちを救う一冊が、図書室や図書館にあるはずだよ。心が押し潰されそうなときは、世界から逃げたいときは、自分という存在に耐えきれなくなったときは、本の世界に行こう。君たち自身は逃げなくていい。
    何の罪もない子供に、業まで背負わせることも、罪に問えたらいいのに。

    自分が何者であるか、何者かにならずとも、自分は自分であると思える土台はどこでつくるのか、歪な地盤の上に立つような心許なさの中で、見つけてくれる人が現れたら、穴の空いた心に愛を注いでくれる人が現れたら、存在に意味を与えてくれる人が現れたら――それを運命と呼ばずにいられるだろうか。
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  • キミの夢<せいへき>をかなえたい

    小坂つん

    したい、されたい、してあげたい
    ネタバレ
    2025年7月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『がけっぷち漫画家の生存戦略』の番外編です。本編を知らなくても、きっと表紙買いしてました。とにかく可愛いです。

    古賀が恭平の夢(性癖)を叶えるストーリー。今作品でも、古賀が真面目で優しくて良かったです。恭平の為に始めたプレイで、淡白な古賀の前にも新世界の扉が…?幸せそうで何より。素朴で端正な顔立ちが上気する様を描く天才です、小坂先生。

    ところで恭平くん、コレクションにSMはある…?続編に期待を込めての星5です。
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  • 逃避行じゃあるまいし【単行本版】

    タクアン

    興奮が伝わってくる
    ネタバレ
    2025年7月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙買いして大正解!写実的で色気のある画風も、奥行きを感じるストーリーも、どれも惹き込まれました。肉体美も素晴らしいです。表題作+収録二作品に、それぞれの短編があります。

    『逃避行じゃあるまいし』
    ややこしくて面倒臭いおじさんと、真っ直ぐで危険(文字通り)なおじさんの鬼ごっこ。表題作。この二人だから愛になる。表情は雄弁に語る。

    『恋しさ募って』
    新社会人、東京と大阪、それぞれ頑張る親友同士。ホームシックから噴き出した本音。長年の片思いは遠距離恋愛に。流された訳じゃないと証明しようとする真面目さが良い。実直な攻めに実直な受け!リバもあり…?いやいや…。

    『そういうの早く言ってよ!』
    付き合って半年の推定中年カップルの、セッ久と毛を巡る物語。薄いも濃いも他人が嗤うな!脱毛するもしないも個人の自由だ!こちらもリバあり…?いやいや…。

    完結しているのが惜しいですが、どの作品ももっと読みたい、続きを知りたいと思わせるストーリーでした。
    新刊が出たら無条件に購入する作家様の一人になりました。
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  • 雨上がりに見た泡沫【雨上がりの僕らについて同人版】

    らくたしょうこ

    そりゃ惚れる
    2025年7月6日
    本編がずっとシリアスだった分、甘い雰囲気を味わえて大満足でした。

    らくた先生の、黒髪短髪爽やか(と言いつつ実際は色々考えたり抱えてる)実直押せ押せ長身スポーツマン攻めが大好きすぎる。茶化さない、茶化させない真面目さが美徳すぎる。真城に惚れない訳がない。

    二人の日常が幸せに溢れていて、相思相愛なのが伝わってきてたまりません。この生活を手に入れるまでの険しい道のりを思うと、胸がいっぱいになります。ここまできたら(?)年間行事の全て(全て)が見たくなりました。
  • 半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

    有馬嵐

    全ての子供たち、健やかであれ
    2025年7月6日
    正しさだけでは救えない命もある――そうわかってはいても、めでたしめでたしとは到底思えない、後味の苦い作品でした。
    当人が「好きに生きとるよ」と言うなら、それは確かに救いなのかもしれない。でも、読者という第三者の視点からは、あまりにも多くのものが置き去りにされていて、素直に喜べない、そんな読後感でした。

    主人公の黒川慎は、大家族の長男。ある日、血のついたシャツ一枚のクラスメイト・白木心に遭遇。白木が飛び出してきた家からは、男の怒鳴り声が聞こえている。咄嗟に白木の手を取り、公衆トイレに逃げ込む黒川。そこで、金持ちであるはずの白木から、生活の為に、母が連れてきた男に体を売り、その客から暴力を振るわれたと告げられる。それを聞いた黒川は、白木を連れて逃げることを覚悟。こうして、二人の逃避行が始まる――。

    読んでいて、何度も「大人は?学校は?児相は?」と問いかけずにはいられませんでした。誰にも助けを求められない現実が胸に突き刺さります。ただ、黒川と白木の関係性が、クラスメイト(しかも非好感)なので、いくら困ってる人を放っておけない兄貴肌だとしても、弟達に嘘をつき、家族に一生会えない覚悟で、補導されるリスクを取ってまで選ぶ相手なのか、少し説得力に欠けると思いました。それだけまだ子供、ということなんでしょうけど。

    あの三日間は、きっと白木にとって暗闇を照らす灯火になったはず。でも、それだけで十分だったのかという思いは拭えません。黒川も、正義感や同情の名のもとに、彼の人生を背負いすぎていたように見えて、胸が痛みました。逃避行後、直接的な暴力がグルーミングに変わっただけで、虐.待は続いていたのもつらい。無視すんなよ…。

    キスやセッ久描写については唐突感があるように思えました。白木にとっては、トラウマの再演にも見えたし、黒川にはメサイアコンプレックスのような側面もあるような気も…。純粋な恋愛としては、少し判断が難しいと感じました。(もちろん本人たちが幸せならオッケーです!ではありますが)

    それでも、あれほどの地獄を生き抜き、笑顔で「おれたち大きくなったねえ」と言える白木の姿には、やはり救いを感じました。どうか、搾取され、傷つけられ、挙句その責任までも押し付けられるような子供が、一人でも少なくなりますように。そして、子供たちを傷つけた大人が、正当に罰せられる社会でありますように。
  • 鯛代くん、君ってやつは。

    ヤマダ

    オジンダムが気になる
    ネタバレ
    2025年7月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで笑いのツボにはまり、気づけば4巻まで読んでいました。小学校男児感性の面白さ。玄関にランドセルを投げ捨てて遊びに行くときのあの勢いを感じます(笑)

    表情がホラーな鯛代くんは、漫研のリーダーの友人である蛯原先輩に一目惚れ。独特なコミュニケーションで迫るも、当然のように拒否されてしまう。めげずに突進する鯛代くん、次第に鯛代ワールドに巻き込まれていく先輩――片想いの行方やいかに。鯛代くんが所属する漫研を中心とした青春群像劇。

    ドタバタギャグラブコメという感じで、恋愛を中心に進むBLを期待して読むと、想像していたものとややズレがあるかもしれません。また、3巻中盤以降は、漫研のコスプレ仲間である瀬賀と、彼のマネージャーが中心となる展開に…。個人的に、この二人にはあまり好感を持てなかったため、失速感がありました。加えて、鯛代くんのキャラクターにどんどん属性が盛られていくことで、ブレを感じてしまったのも正直なところです。

    それにしても語尾が古のオタクすぎるモブよ…テラナツカシス(笑)オタク以外のモブのクセもすごくて、BCGの痕があるきらきら目おじさんで30秒くらい笑いました。
  • 雨上がりの僕らについて

    らくたしょうこ

    築き直す、家族のかたち
    ネタバレ
    2025年7月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代の片想い相手・真城洸輔と偶然再会した奏振一郎。ゲイであることをカミングアウトし、「また好きになりたくないから放っておいて」と拒絶する奏に、真城は「また好きになってよ」と真っ直ぐな想いをぶつけてくる。過去の経験や周囲の目に傷ついてきた奏は、一歩踏み出すことができずにいたが、真城は空白の6年を埋めるように奏に踏み込んでいく――。

    心理的虐.待や、マイクロアグレッションの積み重ね、家族の無理解がどれほど人を追い詰めるか、読むほどに胸が苦しくなります。それは覚悟じゃなくて麻痺だよ!見捨てたんじゃなくて生きるために離れるしかなかったんだよ…!と叫びたくなるほど、親の呪縛の根深さが描かれています。歪で険しい人生を歩んできた二人の姿は、せっかく自由になれたのに、羽が傷ついてるせいで上手く飛べずにもがく鳥を見ているようで、胸が痛みました。

    BL願望を現実に持ち込む腐女子、理想の王子様像をぶつけてくる夢女子の描写も強烈で、カミングアウトの当然視や、断られることを想定しない傲慢さに強い憤りを覚えました。理由を問い詰める必要がどこにあるのか?優しさの皮を被った無神経は、暴力と紙一重だと改めて思います。この二人、後に茶飲み仲間になりますけど、反省してませんよね?

    家族について考えさせられる場面も多く、親や家庭にトラウマがある方は読むのに注意が必要かもしれません。
    子供は、親の理想を叶える為の道具でも、カウンセラーでも、サンドバッグでもない。ありふれた家庭の中に潜む抑圧や、有害な男性性の連鎖が齎す影響が滲み出ていて、親の呪いを断ち切る難しさを感じました。逃げることもできただろうに、正面から向き合った真城と奏の勇気に拍手を送りたいです。

    結婚式に参列して、気持ちとしては結婚したいだろうに、現状どうにもならないから「真城さえいれば」と願ってからのあのサプライズ…あれは泣きますよ。いつか絶対に役所と式場に行こう。二人を結婚させてくれよ…。
    普通に不満を溜めて、喧嘩もして、でもその都度話し合って乗り越えていく。そんな二人の関係が、まさに〈家族〉の形で、読み終えた後には幸せが胸に残りました。

    修学旅行で二人が知らぬ間に誰かの救いになっていたという描写にも、希望を感じました。3巻終盤までは読むのに気合いが必要でしたが、それでも、読んで良かったと思える作品です。
  • 葬思相愛

    日尾ねり

    哀悼の権利
    ネタバレ
    2025年7月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 黒羽葬儀社に勤める白鳥太陽と、その会社の跡取りであり、幼馴染であり、恋人でもある黒羽史人。二人が葬儀を通して故人に寄り添い、その最期を見届けていく物語です。

    心温まる別れの描写がある一方で、誰にも打ち明けられない関係を抱えたまま生きることの苦しさ、そして二人が築いてきた愛を、確かなものとして遺すことができるのかという不安。その問いが、読む側にも突きつけられます。大切な人を悼む時間や儀式が、ただ〈故人に同性のパートナーがいる〉というだけで、政治的な意味を帯び、闘いの場になってしまう――そんな社会の歪みに、強い憤りを覚えました。

    異性愛が当然とされる社会。結婚や子供を望まれること、ゲイではない太陽への負い目…。そうした思いに苦しむ史人に対して、太陽はその全てを包み込むように、前向きに、真っ直ぐに、自分たちの関係を肯定していく。その大きな愛に胸が熱くなりました。

    孫の誕生が期待されるような家族関係の中で、いずれ大きな壁にぶつかるかもしれない。けれど、太陽と史人のような、大切な人との大切な関係が、誰からも疑問視されない日が来て欲しいと、心から思いました。だからこそ、婚姻の平等が一日も早く実現されて欲しい。太陽と史人、どちらが先かわかりませんが、いつか「社会に認められた関係」として、喪主挨拶をする姿を見届けられたらと思います。

    それから、最後のチラシに救われました。亮平さんと夢見た未来は、亮平さんが守ってくれた。一人は寂しいかもしれないけど、幸せに生きていって欲しいです。

    それにしても、「社会的に認められていない関係」なんて言われるけど、犯罪や搾取でもなく、ただ同性同士というだけで、結局は「社会が認めたくない」だけなんですよね。改めて、その理不尽さを噛み締めながら読みました。
  • がけっぷち漫画家の生存戦略【極】

    小坂つん

    ずっとハッピーエンド
    ネタバレ
    2025年6月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。小坂先生が描く人物はどうしてこんなにも色気があるのか…。汗の匂い、体温、息遣いまでが伝わってくる写実性。しっかりした骨格に、程良く筋肉と脂肪がついた身体つきも最高。いそうでいない、素朴で端正な顔立ちがたまりません。

    青年誌での連載に限界を感じていた漫画家・古賀直輝。友人の橘恭平に「どうせ辞めるならBLで勝負してみないか」と提案され、彼の脚本で作画を担当することに。未経験のエ口シーンは書けないと言う古賀に「じゃあ試してみる?」と迫る恭平。流れに任せて関係を持ってしまう二人だが――。
    本当に創作の為だけ?それとも…。恋も夢も実践あるのみ!前向きな気持ちになれるストーリー。

    ノンケ×ゲイの関係性の中でも、相手との出会いをきっかけに、今までの違和感の正体に気づき、セクシュアリティを自覚する展開がとても好きで、大変ありがたかったです。棚ぼた式(セルフぼたもち感あるけど)に片思い相手と寝ただけに、予防線を張る恭平も切なくてぐっときました。恭平のもやもやが高まる前に、きちんと覚悟を見せる古賀の真面目さも格好良かったです。

    軌道に乗ったまま現状に甘えることもできたはずなのに、あえて新たな挑戦を選んだ古賀も、それを喜ぶ恭平も最高。この幸せがずっと続きますように。
  • 風の色まで憶えてる

    きみの隣が春だった
    ネタバレ
    2025年6月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 一目惚れした瞬間を捉えたような、美しい表紙に惹かれて購入しました。繊細で、ゆらゆらと微かにきらめくような、大切にしまっておきたい飴細工のような物語。綺麗で初々しくて、かえって直視できず、眩しさに目を細めるような気持ちで読みました。

    男子校の宝こと道音静一に一目惚れした、森満津留。美しい、結婚したい、見たい、もっと知りたい、と、夢中になる森。ある日のインクルーシブ授業で、男も好きになれることを自覚。どうにか近づきたいと願う中、なんとバイト先に道音が入ってくる。距離が縮まるにつれ、森の思いは膨らむばかり。一方、外見に寄ってこられたり、性的ないやがらせに晒されてきた道音も、森の穏やかな雰囲気に心を許し始めていく。
    迷いを捨て、自分らしく、誠実に向き合おうとする森の存在は、道音の中で大きくなっていく。しかしある日、森に好きな人がいることを立ち聞きしてしまい…。
    春雷のように恋に落ちた森、風に身を委ねるように恋した道音。二つの恋が交わる時の、風の色まで憶えてる――。

    n人目の実直な攻め!n作目の実直な攻めはいいぞ!でした。しかもお兄ちゃん属性。数あるお兄ちゃんみの中でも、誠実さ、真面目さ、頼り甲斐…どれも上位に入るレベル(個人調べ)。まだ高校生でこれとは恐れ入ります…将来有望すぎる。

    キス慣れしていない恋人を愛しく思ったり、精通について冷静に聞いたり、オープンにするか伺いつつ、必要な場面では堂々と彼氏呼びができる高校一年生の経験値is何(笑)言葉の端々から道音を大切に思う気持ちが伝わってきて、たまりませんでした。個人的にこういう人をスパダリと呼びたい。

    尊重したい、大切にしたいという思いが込められた台詞が多く、印象に残りました。この先も、美しい記憶を沢山積み重ねていって欲しい二人です。
  • アネモネ劇場〜あの頃の僕たちの青春物語上映中〜【タテヨミ】

    NOK-HAE/Zoy

    誰にも奪えない、共に生きる自由
    ネタバレ
    2025年6月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 舞台は80年代、軍事政権下のソウル。薬学科に首席合格したイ・ソンホは、父の抑圧と期待から激しい頭痛に苦しんでいた。ある日、公園で出会った着ぐるみ姿の青年シム・ドグォンに癒されていたところ、鎮痛剤の副作用で倒れてしまう。目覚めた先はドグォンの家。彼にキスをされると不思議と痛みが和らぐことに気づいたソンホは、頭痛がするたびに、ドグォンが働く映画館で逢瀬を重ねるように。そこは、抑圧され、隠れて暮らすゲイの居場所であり、交流の場だった。激動の時代、暴力と支配に抗いながら、利害の関係から始まった二人は、次第に心を通わせていく。しかし、断ち切れない過去、家という檻が二人の関係に暗い影を落とし始め…。痛みの中で出会い、寄り添い、愛を選んだ青年たちの青春ドラマ――。

    時代背景にぴったりのレトロで瑞々しい画風や、立体感のある人物設定に、強く惹き込まれました。籠の中の鳥として育ったソンホと、社会の底に追いやられ必死に生きてきたドグォン。育った環境の違いからぶつかりながらも惹かれ合い、互いの存在を通して成長し、価値観も変化していきます。

    悲恋になりやしないか、最終話までハラハラする展開に終盤は祈るような気持ちで読みました。ソンホが自らの選択、自らの足でドグォンを迎えに行く場面は、本当に美しかったです。新婦含め、最高の結婚式でした。
    ドグォンが語った〈男を好きな理由〉にも、心を揺さぶられました。自分の存在に根拠を求めざるを得ない人にとって、それはどれほど救いになるか。
    ドグォンを愛することで、人形ではなく一人の人間として自我を取り戻したソンホが、未来も愛も諦めようとしていたドグォンを解放していく物語には、確かな希望が灯っていました。

    そして、ドグォンのまさに目から蜜が落ちるとはこのこと!な、ソンホへの眼差しの甘さたるや。
    数え切れないほどのセッ久も、長身で筋肉質なドグォンと白うさぎのようなソンホという対比は見応えがありました。(準備ほぼなし+生ェ…ですが)

    国家に青春を奪われる時代、導かれるように出会い、自らの意思で愛を選んだ二人。どうか、全ての人が、自分らしく生き、安心して愛を育める社会でありますように。そして、その平和が長く続きますように。

    ちなみに、外伝は精力(文字通り)増し増しです。でもそれだけではなく、爽快感と多幸感のある結末に救われました。健康被害がなくて何より(笑)
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  • 夏を焼きつけて

    金田力金男

    今を生きる
    ネタバレ
    2025年6月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。『陽炎がゆれている』と同じ世界線の、また別の物語。

    運動神経抜群の三島清純と、新聞部の沼津嘉樹。二人は幼馴染。お腹の中の弟と共に母を失った三島、「なにがあってもずっとキヨの味方だから」と誓った沼津。部活の勧誘を断り続ける三島は、亡き母と弟との約束に、いまだ囚われたままだった。三島が気がかりで仕方ない沼津。そして迎える、幽霊が出ると噂される盆踊りの夜。懐かしい香りに導かれるまま、三島が邂逅を果たした相手とは――。

    夏が似合う、黄泉比良坂のような神社での不思議な体験。愛は時空を超えて届くということ。忘れることは裏切りじゃない、受容と同化なんだ、そう語りかけてくるような物語に、深く心を動かされました。

    そして『陽炎〜』の二人のおまけも最高でした。たった2ページなのに。じんわり暑い夏の夜、花火の匂いや音、非日常的な空間。照れ臭くて、でも心は高鳴って、じっとり汗ばむような空気感。お互いがお互いにだけ向ける、特別な眼差し。その全てが伝わってきて、胸がいっぱいになりました。凄いです。
  • 陽炎がゆれている

    金田力金男

    陽炎の先に見えた光
    ネタバレ
    2025年6月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙に惹かれて購入しました。とても好きな画風です。
    ジャンルはBLですが、ブロマンスの方が近いかと思います。

    突然田舎にやってきた転校生、熱海。足に事故の後遺症を抱えている彼を見て「俺なら耐えられない」と呟く陸上部員、鴨宮。鴨宮は、ひょんなことから、熱海の絵のモデルを務めることとなる。かつては陸上で戦った二人。負けても折れずに走る鴨宮。一方、事故で全てを失い、止まったままの熱海。走りたい、走れない、二人一緒なら走れる――。

    立ち上がれないほど打ちのめされることもあるかもしれない、八つ当たりしたくなるときもある、周囲を恨んでしまうときもある、それでも踏み出さないことには進めない、次こそは、次こそはと進んでいくうちに、新しい景色が見えてくる。美しい薄明光線を見たときのような、そんな希望溢れる結末に感動しました。

    最後に、ヘルプマークをつけた方を見かけたら、誰もが気配り目配り心配りができるような、他者を思いやる社会になって欲しいと切に願います。
  • 鳴かぬ蛍は青に焦がれる

    仁嶋中道

    君が君のままでいられるように
    ネタバレ
    2025年6月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高校の学生寮で同室になった、宇佐美晃と青凪灯矢。ある日、宇佐美は自分がゲイであることをカミングアウトする。嫌がられることを覚悟していたが、青凪はごく自然にそれを受け止める。それどころか、自身の腕にある異所性蒙古斑(青あざ)を指し、「たまにビクッとされるからお互い様」と笑ってみせる。そんな青凪に、宇佐美は恋をしてしまう。しかし、青凪には既に彼女がいた。青凪のあざを隠そうとする彼女への怒り、怒らない青凪への苛立ち。そんな感情の渦の中で、宇佐美は思わず告白し、キスをしてしまう。自然体のまま一緒にいられる楽な関係、親友同士、二人が辿り着く先は――。

    二人とも誠実で、真っ直ぐで、良い。実に良い。特に、傷をなかったことにせず、怒れない青凪の為に声を上げることができる宇佐美の人間性には心を打たれました。

    要らぬ気遣いや望まない善意から、本人は最初は気にしていなかったことでも、気にした方がいいのかも…と次第に萎縮していってしまう流れ、本当につらいですよね。優しさの皮をかぶっている分、余計にたちが悪く、時には悪意以上に人を傷つけることもあると思います。

    そんな無意識の差別や、後ろめたさに巻き込まれて、青凪と彼女は別れることになりますが、彼女を悪者にしないところが良かったです。指摘されて、何が悪かったかを考え、謝って成長する…それができる人間は本当に貴重です。そして、私自身もそういう風にありたいと思わせてくれました。もちろん、指摘される前に自ら気づけたら、それが一番なのですが。

    青凪の告白も、誠実で優しかったです。男である宇佐美と同じ気持ちでいたい。でも今まで異性愛しか知らなかったから、同じような「好き」になるかはわからない。だからこそ「変わっていく自分を見て欲しい」と伝える。相手が不安にならないよう、男同士であることを踏まえて言葉を選ぶ姿勢があまりにも真摯で。そんな告白、泣くに決まってる。

    …正直、失恋から即恋に落ちる宇佐美も、彼女と別れて間もないのに同性との恋愛を考えられる青凪も、切り替えが早すぎると思わなくもないのですが(笑)
    それでも、恋人になってから、少しずつ、探り探り、同意を得ながら進んでいく姿に、誠実さと未来への希望を感じました。ありのままを大切にし合える関係が、ずっと続きますように。
  • 恋から始めてくれないか?

    栗之丸源

    推し活と初恋
    ネタバレ
    2025年6月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。栗之丸先生作品=実直かつ良識的な人物が出てくる確率が高い説(私調べ)を、改めて強化してくれる作品でした。

    漫画以外は二の次で、平気で恋人を傷つける漫画家・千野と、そんな千野を密かに推す、千野の元上司・香坂。
    生活能力がまるでない千野の為に、香坂が身の回りの世話を買って出る日々。ところがある〆切明けの朝、千野から「俺とセ.フレにならない?」と突拍子もない提案をされ、香坂の日常が少しずつ乱されていく…。

    推しからの誘惑。普通なら舞い上がるような展開で、すんなり事が進むかと思いきや、同意なしの接触をしっかり拒絶し、NOを言える香坂がとても良かったです。断る権利大事。生での挿入や非同意の危険性にも言及があり、作品全体への信頼感が増しました。

    恋人としてはクズかもしれませんが、恋愛規範に縛られたくない千野の価値観には共感しました。信頼の篩の網目が細かいというか何というか、まさに「ラッキーがめちゃくちゃ重ならないと発生しない現象」(このコマの千野の表情の可愛さたるや!)…とはいえ、いくら価値観が違っても、恋人を性欲解消の道具のように扱っちゃ駄目です。

    恋愛と性愛を切り分ける千野、分けられない香坂。経験は豊富なのに「恋はしたことがない」と語る千野、頭では拒否しているのに心が言うことを聞かない香坂。そんな二人が、それぞれ気持ちを自覚し、恋が加速していく心の動きが丁寧に描かれていて良かったです。

    そして、何より最高だったのは千野が洗浄を手伝うシーン!これ相当な愛情がなければできない行為(フェティシズムや仕事は除く)ですよね。香坂の過去にもありましたが、本来なら大切に扱うべき器官であり行為なのに、それを蔑ろにするのは酷いことじゃないですか…。指にもゴムをつけてくれるところにも優しさを感じ、ぐっときました。

    同族としての直感ですが、千野は奇跡的に恋愛と性愛が重なった今、きっと香坂のことを一途に愛してくれると思ってます。読後感は温かく、幸せな気持ちになれました。

    違いは間違いじゃない。それぞれに価値があって、美しい。
  • ひだまりが聴こえる【単行本版】

    文乃ゆき

    共生社会を目指して
    ネタバレ
    2025年6月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 夢なし金なし元気だけはある主人公・佐川太一と、美形クールな聴覚障碍者(後天的要因で難聴)の杉原航平が、ひょんなことからお互いの人生に関わり合い、かけがえのない存在へ変わっていく成長譚。

    マジョリティがマジョリティであることに説明は不要なのに、マイノリティは常に存在理由について説明させられる、そんな不均衡な社会のあり方に、希望を見出したくなる作品でした。

    平等が公平とは限らない、マジョリティの中で本人の意思を尊重する形で配慮することの難しさ、必要な配慮に必要以上の感謝が求められることなど、現実にある壁や、飲み込んできたであろう言葉に胸が詰まりました。
    航平は、美形であるが故に注目を集め、勝手に期待されては落とされるような残酷な経験も多かったのではないでしょうか。
    「障碍をもって生きるということは寂しさに慣れる作業だ」とは、太一の上司の元彼女の台詞ですが、諦めと悲しみが込められた一言が重く響きます。そう言わせてしまう社会に抗いたいものですね。

    航平の友人であるマヤや、太一の就職先での出会いを通し、健常者の特権性や、無意識にしている差別を、読者自身にも自覚させるような作りが良いと思いました。

    ただ、すぐに殴る蹴る頭突きをするなどの太一の暴力性(どんな事情があったとしても正当防衛以外の暴力は×)に辟易してしまい、『春夏秋冬3』で途中下車することにします。誰もが自分らしく健やかに過ごせて、他者への思いやりを持てるゆとりのある社会になりますように。

    ところで、本作はBLかヒューマンドラマか論争…男女がいれば本筋に無関係でもラブを発生させられがちな世の常を思えば、どんなに薄くてもボーイズがラブしてるんだからBLなんだよ!と個人的には思います。
    しかし、L要素の少なさから取ってつけた感があるように見えてしまうというか、ノンケ同士で友情から欲情、恋愛関係に発展するのは、あり得なくはないけど、簡単に成立するものでもないので、せめて航平はゲイ寄りバイ〜ノンケ寄りバイであった方がより現実的な説得力があったのでは、と思ってしまいました。
    とはいえ、人の数だけ性的指向や恋愛観があると思うので、過剰な照れ隠しをせず対話を意識すれば、一気に進展するような気もします。若人たち、ファイト!
  • 星の降る教室

    サノアサヒ

    自ら選べるということ
    ネタバレ
    2025年6月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 星、宇宙、定時制高校、年齢も環境もばらばらな人々が育む絆…という設定で別の小説(ドラマ)を連想し、興味本位で購入してみました。

    舞台は高校の夜間部。高認を取るために通う主人公・降田志津香は、家計を助けるために中学卒業後にホストクラブで働いてきた苦労人。ある日の下校中、線路内に横たわる同校昼間部の生徒・冴島柊星を発見する。周囲との違いに思い悩み自死しようとする柊星に寄り添い慰める志津香だったが、「好きになってもいいですか?」と、柊星が夜間部に転部してきて――歳の離れたクラスメイトになった二人が、生きづらい社会で息継ぎをするように恋に落ちるストーリー。

    正直性行為までいくと思ってなくて、いやいや…27と17(途中で18になります)…これプラトニックじゃだめだったんですかね…という気持ちになりました、すみません。

    志津香さんのハードモード人生といっても、ひとり親家庭の貧困問題に学歴差別、学費なんかは行政や社会保障の分野であって、その家庭に生まれただけの個人が背負うことじゃないとか、保護と引き換えに教育を奪う大人は果たして恩人なのかとか、かといって帰れる家のない少年に家に帰れとは言えないとか、多数派と違うというだけで自死を考えるほど追い詰められる社会の偏見や同調圧力とか、そちらの方に関心が向いてしまい、主軸の恋愛にあまりはまれませんでした。

    少子化に伴い、夜間定時制の廃止方針がじわじわと広がりを見せているようですが、誰でも、どんな事情や環境であっても、学びたいと思ったときに学び始められる、学び直せる場が社会にあることの大切さを痛感します。

    作家様あとがきの、「ほどけても切れてなければまた編めます」という言葉にもじーんとしました。
    自ら切ってしまったり、切られたり、切らざるを得ないこともあると思うので、切れても新しい毛糸をもつことができる、そんな優しい社会になって欲しいと思いました。
  • ぼっちゃん、追い込み愛ですよ。【コミックス版】

    軟式こんにゃく

    だが体格はいい
    ネタバレ
    2025年6月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 書店でバイトする高校生の富士日和は、唯一のバイト仲間である恋之介に興味津々。強面ヤンキーなのにかわいいPOPを作り猫を愛でるギャップの塊と仲良くなりたいと思う日々。ようやく話す間柄になったある日、店長の佐久山に呼び出される。なんと恋之介はヤ◯ザの組長の息子で、佐久山は教育係、この書店は日和との恋を成就させる為に開いたとのこと。奥手すぎる恋之介の為に、クリスマスまでに恋人になれと断れない提案をされる日和。恋之介と懇ろになる秘密の作戦が今始まる――。

    試し読みで期待しましたが、展開優先で心情描写が置き去りにされているように感じてしまいました。

    日和は、ヤ◯ザの提案を断れず、男同士の新世界に戸惑い、気持ちの整理がついていないはずの段階で、翌日には恋之介のことをかわいいと思い頬を赤らめる。
    更に次のページではもうクリスマス目前。イブ当日も佐久山のミッション遂行を意識していたのに「恋してたんだ、ずっと前から」と告げるのは、ちょっと唐突に感じました。
    自覚が遅かったとも取れるかもしれませんが、ずっと前から恋していたことを示す描写が作中にない以上、都合良く感じてしまい、取り繕ってるようにも映りました。

    そして、自然消滅の危機をもたらす椿先生。高校生相手に挑発したり翻弄したり、悪い大人ぶって虚しくならないか心配です。佐久山との関係を匂わせてますが、印象が悪くて個人的にはふーん…という感想に(笑)

    椿先生に惑わされたあと、すれ違いからの急展開も気になりました。一コマで音信不通になり、いつの間にか受験や進学、上京の準備が始まっていて、思わずページを戻して確認しました。その間の心情がわからないまま、一生を共にしたいという覚悟や愛の告白に至るので、もう少し心の動きが描かれていたら、私のような読解力のない読者にもありがたかったです。
  • 相思相愛【タテヨミ】

    Antstudio/KEN

    与えても与えても足りない相思相愛
    ネタバレ
    2025年6月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 親友の類に片思いしていた主人公・友が、ゲームのギルドで出会ったヤ◯ザの恭介(196cm!)と相思相愛になるまでのストーリー。類が二人の仲を阻もうとしたり進展させたりしながら進みます。36話で一旦完結、37〜45話は外伝です。

    人懐っこくて誠実な友が終始可愛かったです。そんな友に雛鳥のようについていく恭介さんも可愛いは可愛いんですが、友にだけ途方もなく優しい一方で、友以外には容赦ない冷酷さを見せるギャップにはやや引きました。

    恭介さんがつい強圧的な態度をとってしまっても、嫌なことは嫌、友達はこんなことしない、とはっきり伝える友には好感が持てます。類に対する不満にしろ就活回にしろ、対等だと思えること、尊重し合えることを大切に考える友を好きにならずにはいられません。

    二人の関係性が、恋愛感情への発展に伴い、対等な恋人に向かう様子が丁寧に描かれていて良かったです。すれ違いそうになる前に本心を打ち明けることができるんですよね、この二人。一人で悶々とする時間が少ないというか、それがすごく良い。
    とはいえ人によっては一発退場レベルのデートDVをロマンチックに美化しているようにも見えるので、二度としないで欲しい。(ヤ◯ザに遵法精神や品行方正を求めても仕方ないけど)

    それでも、同性に対して抱く初めての感情への戸惑いや葛藤、受容までの恭介さんの変化にはぐっときました。
    雰囲気に流されてるだけとか、初めての友人に執着してるだけとか、怒りに任せてるだけとか、私が恭介さんに確かめたいことを友が全部聞いてくれて安心しました。

    好きになった弱みから、類に強く出れなかった友ですが、恭介さんに注がれる愛情から自尊感情を取り戻し、自分の意思を伝える姿は格好良かったです。喧嘩別れにせず、ちゃんと話して、自ら終止符を打って、改めて親友としてよろしくできる友の誠実さが眩しい!

    友を通じて、ギルドメンバー、更には類まで、恭介さんの交友関係が広がっていくのもぐっときました。勇気を出して手に入れた大切な人たちとずっと幸せでいて欲しいです。(裏稼業はほどほどに)
  • あずきとすきはバカに煮らせろ【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

    あたる

    あんこ愛が伝わる
    ネタバレ
    2025年6月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 運動中にぱったり倒れたコンサル会社勤務の阿部たかおと、阿部を助けた製餡所の社長代理・百井聡一の、あんこのPRを通して育むラブストーリーです。

    世の中いいものが売れる訳ではないのが難しいところですが、愛する商品をいかに買ってもらうか誠実に考え行動する二人を見ていて、温かいぜんざいを食べたときのようにほっこりしました。

    仕事への情熱を軸に縮まる距離、一線を超えた途端に見えてくるしがらみ、年齢差や保身から突き離してはみるものの、気持ちを再確認しただけだった…と、軽いキスでハッピーエンド。すごく日本BLドラマっぽい!(伝われ)

    描き下ろしにて、阿部さんが急に経験豊富なおじさんみを出してきてて、そういえばしごできおじさんだったなと思い出しました。ところで、90と75って健康寿命的な差は結構ありますからね、適度に運動して糖分控え目にして下さいね〜!
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  • 穴のあくほど 【電子限定特典付き】

    はいき

    筋!毛!汗!蒸!
    ネタバレ
    2025年6月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 毛祭りなレビューが気になり購入してみました。
    レビュー通り、体毛が主役級の作品です。つるすべ好きな方、BLはファンタジーな方、内容重視な方にはおすすめしません。逆に体格重視、むしろ現実派、ストーリーよりもセッ久が見たい!な方にはおすすめです。

    表題作は自動車整備士×営業、収録作は警察官×ヤンキーで、心情描写はかなり少ないです。
    前者はまだしも後者は突っ込みどころ満載で、「お巡りさんこっち(何らかの処分)です!」でした(笑)交番内でやるな(笑)職権濫用するな(笑)

    それでも、栄養バランスの摂れた食生活の中でたまに食べる茶色飯のような満足感を得られました。
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  • 俺たちの善と恋について(分冊版)

    みーち

    この関係は長く続く(確信)
    ネタバレ
    2025年6月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙買いしました。善と言われて買わない訳にはいかないですよね。しかも切れ長の目、しっかり眉、太い首、広い肩幅、体の厚み、最高です。表紙を除いて31pでした。

    外面だけはいい優等生八嶋と、騒がしい海野の、青春の1ページ。二人とも実直で微笑ましかったです。

    意外な一面を見たときに我が身を省みたり、一面だけを見て判断したことを謝ったり、素直に言葉にできる八嶋の善性、困っている人がいれば考える前に体が動く海野の善性、その違いにぐっときました。

    ぱっと見陽キャな海野の方が内面とのギャップがありそうで、物語の奥行きを感じます。(下駄箱での八嶋への目つき素晴らしい)
    今はまだクラスメイト以上友人以下くらいの関係性ですが、ケンカップルとのことで、どこをどう好きになって恋人関係に至るのか今から楽しみです。期待を込めて星4にします。
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  • 【単話】抱きたい2人

    栗之丸源

    猫にネコ
    2025年6月8日
    作家様買いです。29Pのうち本編は24Pです。
    元タチ現ネコの秋佑が、やっぱり恋人の槇を抱いてみたい!と悶々するストーリー。

    『眠れないから〜』に続き、今回の好きになる理由やきっかけもぐっときました。二人とも真面目で思いやりがあって終始ラブラブで、短編とは思えない満足感でした。話し合いと合意と相性ですね、何事も。
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  • その渇きさえ飲みほして【単行本版】

    一色いち

    やさしいせかい
    ネタバレ
    2025年6月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ クーポン対象になっていたので購入してみました。
    友愛と恋愛の違い、違う好きなのか同じ好きなのかを確かめていく幼馴染BLです。

    唯一無二の親友で幼馴染の翔平が、自分のことを恋愛対象として好きなことを知り、親友を失いたくないゆえに「付き合おう」と提案する岳。一方の翔平は、自分の好きと岳の好きが違うことを理解していて、離れる努力をしたりします。しかし、友人や家族の後押しで割とすぐ両思いに。結局どこがどう渇いてたんだっけ…?

    岳の好きは翔平のような恋愛感情というより、母親の姿がちょっと見えないだけで不安でいっぱいになる幼い子供のように見えて、心配といえば心配なんですが、思春期に確固たるアイデンティティを持ってる方が珍しいか。

    何はともあれ、母親から離れられて良かったです。お母さんも恋愛依存から抜け出せたらいいんですが…。
    自分に母親を重ねて不安になったりするかもしれないけど、自分は自分であって母親ではないことを忘れないで欲しいです。
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  • きみ色に汚されたい

    さがのひを

    きみ色は赤
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 水彩が綺麗で表紙買いしました。一巻のみの感想です。

    幼馴染である佐々木桜海と高原映空。両片思いの二人は五年越しに大学で再会。それぞれ後ろめたさを抱え踏み出せずにいたが、衝動に突き動かされ気持ちを確かめ合う王道ストーリー。

    桜海が映空を好きになった理由は理解できますが、映空の方は、泣いている桜海が好きなのか、自分だけを頼る桜海が好きなのか、桜海を泣かせたいのか、傷ついてる桜海に興奮するのか、核となる感情が私の読解力ではわかりませんでした。

    「チカンと同じじゃねーの?」と距離を置くらいなのに、寝てる相手にキスするのは不誠実に感じられますし、桜海のキスまではぐっと堪えて欲しかったです。

    衆人環視の中、それも仕事現場での突然のキスは社会常識としてどうなんだという気もしますが、マネージャーが計画通り顔だったので、桜海込みでのオファーだったのか?思わぬところからチャンスが舞い込む、さすが大SNS時代。

    汚されたい、ぐちゃぐちゃにされたい、ぐちゃぐちゃに泣かせてやりたい、めちゃくちゃにしたい、と言う割にはさほど…と思ってしまったのですが皆さんどうですか…?
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  • 小林先輩は女の子でシたい

    うり

    鞭が足りてへん鞭が
    ネタバレ
    2025年4月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 催眠術により女の子になったと思い込んでいるバーテンダーの小林が、女の体で男に抱かれてみたいと後輩の高津に迫るところから始まる女体化(?)BLです。中盤までは男女(中身は男男)のセッ久なので、苦手な方はご注意下さい。

    試し読みで、高津の家を訪れた目に光がない小林の姿が妙にツボにはまり購入しました。
    女扱いされたいとか、女に見られたいとか、そう何度も高津に要求するのは酷な気がします。セッ久以外の部分で高津に惹かれる小林の心理描写も少ないので、小林にとって都合の良い関係に見えてしまいました。

    女の子が好きで女体化してる時は格好良く見えるけど男の時は普通、セッ久は最高というのは、高津視点で読むとなかなかつらいものがありました。良好な関係が長く続くと良いなと思います。

    王様プレイでの潜在Mぶりに星+1、描き下ろしのギャグ漫画(でいいんですかね)も面白かったです。
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  • 幽霊社員の篠崎さん

    ハロト

    会社のn不思議
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『あした晴れたら、公園で』が良かったのでこちらも読んでみました。

    サラリーマンの吉井と、異動先にいた幽霊社員の篠崎の不思議な出会いの物語。38Pです。本物の幽霊でも面白かったかも?

    穏やかな上司に同僚、理解ある職場、実質的家賃補助があるスペーシアに私も転職し(て二人の行く末も見守り)たい。
    いいね
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  • 40までにしたい10のこと

    マミタ

    田中ェ…
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 恋人もなく10年以上独りで過ごす主人公・十条雀。恋愛を諦めつつ、ある日思い立ち〈40までにしたいことリスト〉を作る。しかし部下である田中慶司にリストを撮られてしまう。同じくゲイだと言う慶司のペースに巻き込まれていく雀だったが、リストが終わるのが惜しいと、気づいたら恋が走り出していた中年上司と強気な部下のラブストーリー。

    人の心の機微には鈍感なくせに妙なとこで勘が鋭い人っていますよね。趣味仲人気取り、特技下衆の勘繰り、個性無自覚無神経な、もう一人の田中の振る舞いがボディーブローのようにじわじわ効いて、準主役並みの存在感でした(笑)
    なくす努力はできでも完全になくすことはできないのが偏見なのに、偏見がないなどと自負する人間を信用したり打ち明ける訳がない定期、差別は大抵悪意のない人がする定期、過剰にお節介を焼きたがる人間のバウンダリーどうなってる定期…。田中の振り見て我が振り直せ、ですね。

    最初から上から目線で、セクハラや脅迫まがいのことをした慶司のこともいまいち信用しきれなかったので、私には合わなかったんだと思います。骨(田中)を断とうと肉(雀)を切るどころか挽肉にしてもうてるやん…と引いたまま読み終えました。甘さと優しさは似て非なるものだと改めて思います。
  • きみは尻尾を隠せない【デジタル特装版】

    榮田m.

    素直が一番
    ネタバレ
    2025年4月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 警察官=実直に描かれている確率が高いの経験則で購入しました。実直かというと微妙なところでしたが、歩み寄りが丁寧で良かったです。

    パトロール中の警察官・此代柊護は、不審な動きをしていた早良椿に声をかける。また話しかけてと連絡先を渡された柊護だったが、早速コンビニで再会。椿に犬のしっぽが生えている幻覚に困惑しながら、成り行き上デートすることに。椿が挙動不審な理由は柊護への片想いだと発覚。辛い記憶から踏み出せない柊護と、ひたむきに伝え続ける椿のラブストーリー。

    木偏に春で椿、冬で柊、綺麗な名前ですよね。椿の花言葉は「控えめな優しさ」、柊は「用心深さ」とのことで(※諸説あり)二人にぴったりで素敵です。

    それにしても、一度かけられた(かかってしまった)呪いはどうしてこうも頑固なのか…かける方は一瞬でも、かかった方は一生背負わされてしまう、やりきれません。誰も悪くないので尚更切ないですが、結果的にお互い良きパートナーに巡り会えて良かったです。素直で一途な椿となら安心して一緒にいられるんじゃないでしょうか。

    政府におかれましては注視してないで一刻も早く同性婚を法制化していただいて、元彼さんたちも婚姻関係を結べる日がくることを願ってます。
  • YOUNG GOOD BOYFRIEND

    ダヨオ

    どうだっていいんだよもうそんなのは
    ネタバレ
    2025年3月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ さすがにちょっとこうせめて年齢差何とかならんかったか…と思わずにはいられない前作でしたが、うっかり水沢に感情移入してしまい、高津が水沢のことでちゃんと苦しくなってるか確認してきました。

    案の定、冒頭から「そこ!在学中!校内!」と頭を抱える羽目になり、違反した自分への失望と逸脱への興奮に葛藤が止まらない風紀委員の気持ちで読みました。
    アイドルと付き合っちゃったじゃねーんだわ…むしろアイドル(成人)の方が安心安全まである。

    情けなく手を震わせる高津をもっと苦しめたいという衝動を抑えて読んでいたのに、水沢の〈正解〉を見て叫びそうになりました。ばかは高津だよ…一生びくびくと不安に苛まされながら寿命が延びる思いで生きて欲しい。怖くてどうにかなりそうで呪われたまま水沢のそばで幸せな人生を送って欲しい。

    番外編、35歳と55歳。つまり、45と65、55と75、65と85になっていくということですよ。当然、介護や死別が脳裏に浮かんでくる訳です。不謹慎かつ無配慮な感想で大変申し訳ないのですが、高津を看取る水沢を見たくなってしまった罪をここに懺悔します。アーメン。

    水沢の為に健康に長生きしてね、先生。
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  • 群青ハレーション

    noji

    沢井先輩に可愛がられたい人生だった
    ネタバレ
    2025年3月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。爽やかできらきらで鮮やかな青春に胸がうずうずすること間違いなし!

    その美少年ぶりでバズった「奇跡の一枚」くんこと主人公・丹生蓮。見学に行った写真部で、部長の鷹宮に出迎えられる。見世物にされていた丹生を助けてくれた鷹宮だったが、彼もまた「奇跡の一枚」越しに見ていることにがっかりする丹生。話を聞いてみると、あの一枚を撮った張本人だと言う。一瞬怒りを抱いたものの、写真への純粋な興味や情熱をくすぐられ入部。写真甲子園を目指し切磋琢磨する内に恋心が芽生える、高校生の甘酸っぱくてきらきらした青春ストーリー。

    いや〜青春っていいですね!眩しいよ若人たちが!一生懸命で微笑ましい。不甲斐ないとか悔しいとかの感情すら尊い。全力で青春する若者のなんと健やかなことか。
    それにしても自撮りは気をつけられても他撮りまではな…デジタルネイティブ世代の方がネットリテラシー高そうなんですが実際どうなんでしょう。とりあえず、凸るような性犯罪者は全員逮捕起訴されてどうぞ〜!
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  • 川果町よろづ奇縁譚

    四宮しの

    魂に自我の釘を打つ
    ネタバレ
    2025年3月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。黄泉比良坂的事務所に導かれ、自分という存在に辿り着く…まさに奇縁譚。物語に惹き込まれるのはもちろん、何と言っても攻めが実直!実直な攻め!優しい(不器用)から優しい(嫉妬深い)に成長した姿があまりにも希望で、完結してることに絶望しました。

    鈴島鑑定調査事務所からバイトのスカウトを受けた主人公・平子千佐は、人に「誰かに似てる」と思わせてしまう特技を持つ大学生。社長の鈴島と、鑑定員の魚住とで複雑怪奇な依頼を解決していく中、二つの大きな事件に巻き込まれていきます。

    一件目。取り替えられた壺から出てきたのは、悍ましく切ない秘密、自己同一性の欠片、運命の約束。壺の調査依頼をした天花寺家のぼん、オトヒコとの再会。

    二件目。オトヒコの告白に心が揺らぐ千佐。難儀な宿命が繋ぐ縁。愛に満ちた白昼夢。予見か嫉妬か、愛は時空を超える。自己の統合と受容。
    幽玄で詩的なあの一瞬、何度読み返しても素晴らしい。これからは冬がきて雪が降るたびに、あの日に追いついただろうかと思いを馳せるんだな…。

    社長と魚住の馴れ初めも、艶かしくて悲しくて惹き込まれました。空白の期間にお互いをどう思って生きてきたかを考えるだけで胸がいっぱいになります。

    本人の意思ではなさそうな女装の理由と(厄除けとかだと思いますが)、最大でも4歳差とはいえ、オトヒコが高3の誕生日を迎えてるのかが明言されていれば、より没入できたかなと思いました。しかし、オトヒコの年齢は人間年齢でいいんだろうか。現実世界もわからないことだらけだし、異世界のことはわからないままでもいいか。

    胡蝶がみても荘子がみてもどちらも夢には違いない、夢であることを知っていることが大切なんだと感じる作品でした。
  • かわいいせんせい【コミックス版】

    河飯じろう

    ナラサメ…!
    ネタバレ
    2025年3月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 中高一貫校の剣道部、高等部顧問の爽やか真面目な鮫原先生と、中等部顧問のアンチ武道な飄々とした宮田先生のラブストーリーです。

    鮫原先生が幸せならOKです!なんですが、宮田先生がいまいち信用できず複雑な気持ちで見守っていました。今作品を読んでいて、ゲイだという〈弱み〉を知られた相手に絆されていく展開は好みではないという気づきを得ました。
    絆されるのは仕方ないとして、相手が隠してきた重大なことを揶揄うとか付け込む人を好きになれないというか、そこに卑怯さを感じる融通の利かない読者ですみません…。
    逆に、翻弄する攻めと素直な受けが好きな方にはおすすめだと思います。

    宮田先生の「ずっと一緒」や「絶対別れない」を言いたくない去るもの追わずなスタイルは家庭環境からくるものですかね。ここの心情をもう少し知りたかったです。
    どつかれてこそ強くなる!しばけば良い記録が出る!みたいな精神論という名の暴力は平成に戻してきましょうね〜!

    それにしても奈良山可愛すぎるだろ…宮田先生と正反対のタイプだけど奈良山…奈良山じゃだめでした…?いや奈良山じゃだめか…。
  • あした晴れたら、公園で

    ハロト

    晴れたら、雨でも、また明日
    ネタバレ
    2025年3月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ トランペット愛好家として表紙買いしない訳にはいかないと購入して大正解!

    主人公・東海林敏樹が、息苦しさから逃れようと見つけた公園で、トランペッター・日野春人と出会い、穏やかに恋が始まるストーリー。34Pです。

    自分にとって普通ではない「普通」が絶え間なく押し寄せてくる、誰も悪くないのがわかるから曖昧に笑うしかない、そんな息苦しさに心当たりがある方におすすめしたいです。

    差別や偏見、決めつけや思い込みを完全に0にすることは難しいけど、気づけるように考えること、気づかされたことを反省していくことはできる。視座を高く、視野を広く、視点を柔らかくもって人と関わることの大切さを改めて感じます。

    「じゃあ、また」「また明日」のやり取りのなんと温かいことか。晴れやかでほっとひと息つけるような作品でした。
  • 愛追うふたり

    仁嶋中道

    末永くお幸せに
    ネタバレ
    2025年3月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 母親が若い男と歩いていた噂を聞いた主人公・高砂一樹。友人からママ活の話を聞いたばかりで嫌な想像が駆け巡る中、母親と男がいる場面を目撃。止めるはずが出てきた言葉は「俺ともママ活して下さい!!」だった。謎の男・住吉圭吾に、ママ活もといカズ活をするうちに、母親と家族と向き合う勇気を得ていくストーリー。

    ママ活の理由を知りたくて購入しましたが、ママ活する必要あった…?我が子が「私たちと何も変わらない」という当たり前のことに気づく為に、なぜ他人から話を聞かねばならないのか理解に苦しみました。
    当事者の声の中に息子の声が含まれてるんですか?息子の声は「生の声」には含まれなかったんですか?
    性的指向や性自認がなんであれ、カミングアウトしようと思えるほど信頼されたことを喜びましょうよ親なら。

    …と思っていたら、理解や受容どころじゃない差別主義者、血も涙もない圭吾の親が出てきて途方に暮れました。擬似家族愛(親子愛)を味わう為に始めたママ活で食い繋いでるっぽい圭吾の精神的な基盤、心配すぎる。

    いつ家族になりたいと思うほど好きになったのか、私の読解力ではわかりませんでしたが、これからは高砂家の一員として安心して暮らして欲しいです。家族とは、血の繋がりではなく心の繋がりによって成立するものだと、改めて思います。

    それはそうと、家族になろうったって、同性婚が法制化されなきゃ家族にはなれないじゃん…同居人やパートナーで良いのかもしれないけど、それは法的な家族ではないじゃん…水を差してすみません。
    一樹と圭吾が、法的にも社会的にも家族になれる日が一日も早く訪れますように。
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  • 25時、赤坂で 番外編

    夏野寛子

    何でもない日おめでとう
    2025年3月16日
    セール対象だった時に本編のついでに購入しました。仕事したりデートしたり、羽山さんと白崎くんの日常です。

    3巻まで購入しましたが18p-25p-18pなので、満足感は人それぞれになるかと思います。

    本編で可哀想可愛いと思ってた篠田マネージャーが、今回も地味に可哀想可愛いです。受賞スピーチで感謝の意を表されて泣く篠田さん(忘れられて泣く篠田さんも美味い)も見たいし、週刊誌対策に胃を痛める篠田さんも見たい。もはや篠田さん視点で本編を読みたいまである(?)
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  • 25時、赤坂で

    夏野寛子

    演技仕事は大変だ
    ネタバレ
    2025年3月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ドラマ『昼のゆめ』で恋人役を演じることになった、人気俳優・羽山麻水と、新人俳優・白崎由岐。芝居の為の恋人ごっこから本物の恋人になっていくストーリー。

    結構わかりやすい公私混同ぶりに、いつ週刊誌にすっぱ抜かれるか、SNSで暴露されるか怯えながら読んでましたが、今のところ(5巻)大丈夫そうです。野次馬がいない世界、良いことですね。

    恋人役を演じた俳優が実生活でも恋人になる王道ストーリーなのでさらさら〜と読めてしまい、劇中劇『青い海の向こう』の方が印象に残りました。張り詰めた静寂の中に響き渡る青木の台詞だけでも観に行く価値がありそうです。
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  • ピンクのアイツは嫌でも出会う間柄【タテヨミ】

    somae

    王道ちょろいん
    ネタバレ
    2025年3月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 韓国漫画でしばしば見る、90年代少女漫画風の絵ってどうしてこんなに可愛いんや…と気づいたら最終話まで購入していました。フルカラー、毛量多め、肩幅太平洋、股下5m最高です。

    ちょろすぎて可哀想可愛い主人公・衣良と、衣良をおもしれー男認定してちょっかいをかけるゴールデンスプーン・祐介が恋人になるまでのストーリーです。(没入感が損なわれるだけでなく原作者への敬意に欠くジャパナイズやめてくれ)

    器物損壊(しかも過失)の償いとしての不同意わいせつから突然恋愛感情が発生してて、完全に置いてけぼりになりましたが、翻弄される内に絆されていく衣良はすごく可愛いです。ついからかいたくなる気持ちに同意します。

    これが正常だと引かれた線からはみ出たら無条件に不幸だなんて、そりゃ線を決めた側から見たらそうだろうけど、自ら選んで決めたことは全て正常範囲だし幸せを感じるに決まってるんだよな〜と、同意したい従兄弟の翔と3Pしてたアキ兄のスピンオフが読みたいです。

    ところでピンクのアイツと言うくらいだから、てっきり染めてるものだと思ってたら父親もピンク髪で笑いました。
  • とろとろ秘湯で恋、はじまる。【単行本版/コミックシーモア限定特典まんが付き】

    南国ばなな

    一旦落ち着こう
    ネタバレ
    2025年3月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで、早乙女が浅島に近づいた理由が気になり、セールで購入してみました。

    駅で絡んできたイケメン・早乙女臣の提案を受け入れ、失恋傷心旅行のお供として温泉に行くことにした主人公・浅島壱春。旨い話のコース料理を堪能していると、旅行中のSNSを見た友人から「一緒にいる男がお前を探し回っていた」と不穏な電話がかかってくる。早乙女はなぜ浅島を旅行に誘ったのか――憎しみに変わった愛を取り戻すストーリー。

    落ち着きのない受けと思い込みの激しい攻めがずっと走り回ってるような印象で、私には合いませんでした。綺麗な思い出は綺麗なまま封をして、たまに眺めるくらいがちょうど良い、そんなことを考えました。
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  • 色咲き

    四宮しの

    七色に輝く砂子
    ネタバレ
    2025年3月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 七色それぞれに輝く、ありそうでない、なさそうである世界を覗くような短篇集。

    〈白〉初恋。フェティシズムが先か心が先か、わかるよ庭瀬。
    〈赤〉恩返し。正直の頭に神宿る。
    〈黄〉安心安全を得られなかった人間は黄信号で止まれない。正しさは彼らのブレーキにはなれない。それでも正しさはブレーキだ。
    〈緑〉神と崇められる悪魔が楽園に堕ちた。差別は人を殺し、自らの首を絞める。そこに愛はない。
    〈青〉人間とアンドロイドの宿命。そうしてさみしさを抱え死ねない君の背中がさみしい。
    〈紫〉ロクデナシで優しい人さらい。子供はさらうな…いや置いていくな…真っ当に守ってくれ…。
    〈灰〉黄信号は止まる、安全に止まれないなら進む。わかったあとの道は広く、新しく、眩しい。

    初めて読んだ作家様でしたが、世界観が好みで、別作品も読んでみたいと思います。
    色づいていることも、色づけられることも、色分けできないことも、混ざり合って別の色になることもあるけれど、それぞれが美しい色だということを考えさせられました。
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  • 生きとし生ける

    長谷川未来

    過去は死なない
    ネタバレ
    2025年3月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「俺はなぜ生きているのか」祖父の遺した手帳に記された叫びが聞こえる。彼の人生を物語にしたいと、舞台である門司港を訪れた小説家の古賀。そこで生き生きと輝く地下アイドルの望に出会う。まるで用意されていたかのように望から繋がる祖父の痕跡。それは、硝煙と血の臭い立ち込める、戦争の記憶だった。

    【1巻】祖父・古賀照久を知る望の曾祖母、照子との出会い。中国に出征した戦友だという照子の父・正太郎と照久。戦争トラウマによる暴力の連鎖。命をもってしても償いきれない侵略行為。見えてる世界見てきた世界が全く違う、標的として逃げ惑うしかなかった本土の女子供と、お国を守る名目で女子供まで虐殺してきた兵士。語れなかった語ろうとしなかったその罪が、握り潰され火をつけられた〈譽〉によって炙り出されるようです。

    【2巻】照久が生まれ育った八幡で知る、敗戦後の暮らし。満州から来たという静子との出会い。行く船も帰る家も家族も失った静子、そして正太郎とで始まる共同生活。鮮やかになっていく記憶に掻き立てられる創作意欲が踏みつけていくものとは。やがて出版された『残照』をきっかけに、静子と対面を果たす古賀が突きつけられた真実とは。
    引き揚げ時(だけではないけど)の性暴力や中絶の水際作戦など、現代人なら学習しているであろう歴史知識に乏しく囃し立てる望の母親、知識がありながら小説としての〈面白さ〉を優先したであろう古賀には失望しました。いや、予想はできたので失望するほど期待はしてませんでしたが。負の歴史が教えられない、知られていない、知ろうとしない、認める訳にはいかない社会の歪みに何度失望したらいいのでしょう。
    後世の人間が強引に踏み込まないと暴けない歴史はあると思います。しかし、その対象は常に加害であって被害には必ず寄り添わなければならないと改めて痛感しました。
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  • YOUNG BAD EDUCATION

    ダヨオ

    純愛してんじゃねーよ…
    ネタバレ
    2025年3月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。2作品収録されています。表題作が、教師が20歳も下の生徒に手を出す話とは知らずに購入し、罪悪感と背徳感に苛まされながらページを捲る指を止められませんでした。ここに懺悔します。

    主人公・高津康作、37歳、高校教師。泥酔したある夜に公園で休んでいると、2年間ずっと目で追ってきた担任する生徒・水沢譲が目の前に現れる。欲望を吐き出しながら「俺はどうすればいい」とキスをしたが最後、ふざけんなよなかったことにすんなよしねむかつくぐちゃぐちゃにしたい、と水沢に翻弄される日々が始まる。やがて自宅を突き止めた水沢に「すぐに大人になるよ」と引きずり出されていく――。

    年賀状が巳だと思ったら一昔前の作品なんですね。そう思うと、20歳差の教師と生徒という題材でも納得(はできないけど未成年者に対する性暴力やグルーミング、教育者の性犯罪に対する社会の目の変化という意味で理解することは)できます。
    でも先生、自分が成人式に出る頃に生まれた子ですよ…更に教え子ときた。好きとか目で追ってしまうとかじゃねーんだよ、普通に犯罪、犯罪なんだけど、その罪をきっかけにくすぐられていく水沢の加虐心の方に不覚にもぐっときてしまった。
    反省してますが、先生もちゃんと反省してるか(ボーナストラックにて4年半は怯え続けてることを確認)ばかでどうしようもない先生がどうしようもなく水沢のことで苦しくなってるか、続編で確認してこようと思います。

    もう1作『君はいたずらな火種』宅配業者の中野と作家の山佐の、誘い誘われる話。煙草の煙のようにもわ〜と広がったかと思えばす〜っと消えていくような、熱に浮かされた出来事のような印象でした。一人の作家のためだけに用意される本棚、良いですね。想像を掻き立てられます。
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  • アバウト ア ラブソング【単行本版】

    夏野寛子

    瓶の蓋を閉める勇気
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ バンドマンとコンビニ店員を掛け持ちする星名みづきと、バイト先の眩しくてかわいい瀬戸佑成が恋人になるまでの5年間の物語。

    たとえ漫画であっても成人と未成年者の恋愛を肯定的に描くことに反対する会代表を自称する身としては、高校生だと発覚した後の理性の働きにほっとする反面、突き離すつもりで消えない残り香を刻みつけていく星名はなんてずるい大人なんだと途方に暮れました。
    会わないと言いながら追いかけ、影響を与えることを恐れながら縛ろうとする、それを自らずるいと予防線まで張られたら、何も言えず忘れられもしない…。

    なし崩し的に攻められるのに弱いらしい瀬戸くん、星名さんを好きになったきっかけも若さゆえに見えてしまうんですよ。親に将来の夢すら言えず相談する前からヤケを起こす高校生、そこに現れる優しく話を聞いて受け止めてくれる色っぽいお兄さんなんて…罪な大人だ全く。
    広い世界に出て、様々な出会いや経験を重ねてから再会、気持ちを再確認しても充分間に合うほど若いという自覚を若者が持つことは難しいと思うけど、そこをなんとか…。

    17歳から22歳。瀬戸くんが望んだとしても、二度とない貴重な青春を待つことに使わせた重みを星名さんは噛み締めて欲しいです。
    瓶の底にきらめく遠い思い出のまま蓋をした方が、私にとっては美しい終わりだと思いました。
  • やたらやらしい深見くん【単行本版特典ペーパー付き】

    松本あやか

    別に失敗とかないんだし
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 自称100点満点のクソナルシスト営業マン、梶。ひょんなことから地味でダサい技術部の深見と一緒に出張することに。眼鏡を外した深見の美形ぶりとやらしさに興奮し、流されるままにセッ久。0点どころか100点の相性だと自信満々の梶に対し「絶対に好きにならないで」とセ.フレになることを承諾する深見。言葉とは裏腹に心も欲しくなっていく梶と、恋愛はできないという深見の、体から始まる友情(?)物語。

    深見はアロマンティックと推定しますが、この理解されない感じ、応えられないのに期待されてしまう感じは、読んでて胸が痛みます。ただ、2巻ラストを見ると完全に無理というよりは、デミロマンティックやグレイロマンティックの方が近いのかもしれません。

    しかし、恋愛感情が湧かないと自認する人物が運命の人とやらに出会い恋愛を知る、という展開が好きではないのでそのリスクは回避したい。深見の心中は気になるところですが、私は2巻で途中下車します。

    幼稚で傲慢な梶に好感を持てなかったのも大きいです。
    外面ばかり気にして、内心では毒づき周囲を見下し、人に点数をつける。その高すぎる自尊心は、自己肯定感の低さと背中合わせに見えます。人からの評価に安心し、人を評価することで自分の価値を確かめるというのは、果たして自分に自信のある人間のすることなのか疑問に思います。
    貼り付けたような笑顔で二面性を伺わせる人、信用できなくないです?同じ職場にいたら絶対警戒してしまう。

    セッ久ばかりではなく、対話をして理解を深めながら、お互いにとって良い着地点が見つかることを祈ってます。
  • 先生と、ずっと

    らくたしょうこ

    続・実直な攻めはいいぞ〜!
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『先生と、それから』のピュアカップル、新社会人になり日々成長中の咲翔くんと、じじい度幼児度に拍車がかかりネガティブまっしぐらな佐和田のそれからの続き、ずっとその先を思うストーリー。今作も素晴らしかったです。

    まずスポーツ用品メーカーに就職する堂本咲翔!解釈の一致に乾杯!らくた先生天才!人によっては苦手に思うかもしれないけど、邪な部分がなくて一生懸命で素直で真面目な咲くん、本当に無限に愛せる。咲くんが評価される世の中であれ。

    そして佐和田。なんと古文の先生だったんですね?白衣着てるし化学か生物だとばかり…謎は更に深まりましたが、それもまた佐和田らしさなのでしょう。
    洞察力のある咲くんにはお見通しですが、おじさんは一生虫のいい話に怯えてて欲しい。それでこそ佐和田、私の好きな佐和田。過剰な不安は破滅への道標だと気づき、涙と鼻水でぐずぐずにしながら乗り越える成長ぶりには泣かされました。

    前作の鷹見に続き、またしても厄介な横槍男の登場(笑)人の話を聞かない、思い込みの激しい早とちりな子供のせいで、精神年齢は咲くんの方が上だろうに、佐和田に釣り合ってないと悔しがる咲くんが可哀想可愛い。大人なのは君の方だよ〜!と叫びたい。

    しかし、この一件で、教師としての佐和田の信頼度が上がりました。一生懸命さ故に視野が狭くなりがちな子供に対し、寄り添いながらも無責任に耳心地良いことは言わない、より多くの選択肢を提示し、知見を与えるのが大人の義務だなんて、すごく誠実な先生だと思います。

    真摯に向き合い、素直に愛情表現してくれる咲くんに対し、同じく真摯に向き合わなければと、保険もかけず悲観もせず、君が大事で好きで幸せで怖かったと伝えられた佐和田を褒めたい気持ちになりました。
    やはり実直な攻めには実直な受け、これしかない。

    90になっても二人一緒に楽しく健やかに生きるには佐和田は不摂生がすぎるので、今すぐ適度な運動とバランスの良い食生活を実践して下さいね〜!私も、じじい編まで読むつもりで、らくた先生のご健康とご活躍を祈りながら健康を意識して生きていきたいと思います。

    それにしても、職場での佐和田先生のポジションが羨ましい!私も「うっ…!よろろろ…」と色んなことを許されたい。
  • 先生と、それから

    らくたしょうこ

    実直な攻めはいいぞ〜!
    ネタバレ
    2025年3月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ らくた先生の絵に一目惚れして購入しました。

    掴みどころのなさがいけ好かない教師・佐和田令に、事あるごとに突っかかっていた主人公・堂本咲翔。クソガキ扱いしてくる佐和田にイラついていた時、彼がゲイだという噂を聞く。対等になりたくて鎌をかけたはずが、思わぬカミングアウトに寄り添ってくれた佐和田と過ごす時間は増えていき――「迎えに行くから!」と卒業後に押しかけると、経験豊富な大人だと思っていた佐和田は実は童貞で…!?包容力溢れるのびしろしかない年下によしよしされる、万年うじうじ美人年上のピュアラブストーリー。

    今作品を好きな点その一、咲翔くんが私の理想に近いザ・実直な攻めで素晴らしい。真面目で健気で言葉を惜しまなくて誠実で強い。生活力もある。狡い人間に出し抜かれそうになる真面目あるあるも良い。その狡さにも正面から立ち向かう姿がもっと良い。欲望に打ち勝つほどの実直さが尊くて眩しい。大切にしたい。実直で熱血な若者に幸あれ。

    その二、元教え子(若者)に手を出したことを延々と引きずる佐和田が良い。咲翔くんの前では出さないで欲しいけど、たとえ在学中、成人前に何もなくても、元教師側(おじさん)は一生罪悪感に苛まされるくらいで丁度良いと個人的に思ってます。子供側の気持ちを理解しながら、その好意を利用しなかった、手を出した責任を感じている、それでも末永く一緒にいたいと寂しがったり謝ったり葛藤を隠せない人間臭さが良いです。めんどくせ〜と言いながら5歳児とじじいの相手をしてくれる咲翔くん、これこそスパダリでは?むしろ佐和田で良いのか…?いや、佐和田だから良いんだよ。

    佐和田の扱い方をどんどん心得ていく、日々成長中の咲翔くんの広い背中が眩しいです。実直な攻めの良さを噛み締められる一冊でした。

    全方位最低不審男こと鷹見も無事全てを失ってて安心しました。元妻とエリナちゃん、100%幸せになってね!
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  • はいらなくても、いいじゃないか【コミックス版】

    ゆざきさかおみ

    千差万別で手探りの愛すべき普通
    ネタバレ
    2025年3月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 図書室に置いても良いくらい、性教育に相応しいと思う作品でした。性に悩む全てのカップルや、脱童貞マインドへのヒントが散りばめられています。

    映画館で意気投合したヒロとトーマ。映画談義に花を咲かせる内に良い雰囲気になりホテルへ…いざという段階になって穴小のヒロ×棒大のトーマという組み合わせであることが判明。挿入だけがセッ久じゃない!と創意工夫を凝らすヒロに対し、挿入に囚われて不安を膨らませていくトーマはやがてすれ違っていき――「そういうの全部ひっくるめて愛だろうがッ」相手への思いやりに勝る普通って何?我慢しなきゃいけない普通って何?の答えを見つけていく愛の物語。

    私がヒロさんの考えに共鳴しているというだけで、トーマも別に嫌なやつではないんですが、今後関係が揺らいだ時に蒸し返すようなことにならなきゃいいな〜と一抹の不安がよぎってしまいました。それができていれば序盤で話が終わってしまうのですが(笑)切れ痔経験ある時点で想像力を働かせよう、受けの方がハイリスクなのに…と残ったままのもやもやで星-1。

    意思表示をすること、意思を否定しないこと、思いやること、話を聞くこと、話をすること、そのどれもがセッ久はもちろんコミュニケーション全般に欠けてはならないと改めて思います。私も橘先輩の舎弟になりたい。

    それにしても、ヒロさんの邦画ポスター問題には笑いました。ハ◯キストに喧嘩売るヒロさんの記事読みたすぎる。むしろ既に読んでる可能性まである。KuTooのTシャツ着てるのでジェンダー問題全般に明るそうなところも好感が持てます。ただ、現実のLGBTQはちょっと…みたいな方には受けない内容かもしれません。

    ヒロさんが言うように、切なくなりがちだった一昔前の同性愛作品を観た上でBLを読んでいると、普通に日常を生きて普通に悩んで普通に幸せな普通の同性愛が沢山描かれるようになったことは喜ばしいことだと思います。

    社会通念的にも信仰的にも強固な異性愛規範を打ち崩そうとも、打ち崩せるとも思いませんが、せめて価値観が異なる人間にも人格があり、信念があることをそのまま認め、理解できずとも否定することなく尊重し合える社会になって欲しいと切に願う、そんな作品でした。
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  • 悪人の躾け方

    ダヨオ

    BL界屈指のパワーカップル
    ネタバレ
    2025年2月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ロンリープレイグラウンド』の悪人こと雨津木が、出入りの清掃業者である針間に躾けられていくスピンオフ。
    ねじ伏せられるバリタチが好みという訳ではなかったのですが、「あんな奴」なんかに開発されていく高慢な人間の姿は何とも言えない良さがありました。

    スピン元通りの悪人というよりは、父からの抑圧、男らしさの押し付けによって歪んでいった人物のように思います。支配という形で愛されてきた(愛ではない)人間に、相手を思いやる温かい愛を注げと言ったって難しいよな〜…と、元妻と雪文の7年間を思うと自分で気づいて欲しかった気もしますが、雨津木の心情は理解できました。

    いまいち理解しきれなかったのは針間の方です。長い間一途に思い続け、人によっては致命的に嫌われそうなやり方をしてまで強引にものにしたいと思う動機にしては弱いと感じてしまいました。運命ってのは他人に理解できないものだろうし、他人の理解を得る必要もないんですけどね。

    開けさせた口に飲みきれなくても注ぎ続けるのは愛なのか、でも途切れることなく注がないと空になってしまう穴の空いたバケツの心にとっては愛なのか、などと考える作品でした。
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  • ロンリープレイグラウンド

    ダヨオ

    尊重なき愛は愛にあらず
    ネタバレ
    2025年2月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。
    中華料理屋のバイト・慧介が、既婚の会社社長・雨津木から離れられない囚われの愛人・雪文を救い出す、解放と自立のストーリー。

    7年か〜…7年に及ぶ不倫…不倫そのものは民事で争ってくれという感じですが、7年間も愛人として公私ともに恩恵に預かってきた雪文の倫理観のなさ、主体性のなさに好感を持てませんでした。
    衣食住や仕事の世話と引き換えに搾取され、逃げたくても逃げられない、逃げようとも思わなくなる状態だったのかもしれませんが、家庭を壊してみたり関係は続けてみたり、一貫性のない態度にやきもきさせられました。
    それだけ愛情を欲して苦しんでいたのでしょうが…買い与える愛で心は満たされないってことだよ社長!

    それでも、慧介の影響で、自らの足で一歩ずつ動き出していく雪文の姿にはぐっときました。慧介の健やかさ、真っ直ぐさがとても良くて、この手を取れば光ある方へいけると確信できるような眩しさがあります。やはり実直な攻めは良い。

    これからは、誰にも支配されない、自分のことは自分で決めて、自分が選んだ大切な人と、自分の人生を生きていって欲しい。主体的に生きることの尊さを改めて思います。

    雪文の心をへし折って名誉毀損までしておきながら、みっともなく縋り付く社長さんはリベンジポルノ防止法違反で逮捕起訴されて下さいね〜と思いきや!一枚上手な針間一郎なる出入りの清掃業者が登場!こちら二人のスピンオフがあるとのことで楽しみが増えました。
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  • 探偵事務所の飼い主さま【分冊版】ベビーシッター編

    noji

    続編をどうか…!
    ネタバレ
    2025年2月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本編で大好きになったカップル、フミさんと狼くんの左狐探偵事務所物語再び!

    今回は、狼くんの昔馴染みから回ってきた赤ちゃんを預かるという依頼。忠実忠実しくお世話する二人に涙が出る。もうこれ家庭だよ、家族だよ…。生活感の中に散りばめられるこだわりのインテリアも可愛くて、あの空間で二人が共に生活していることが伝わってきて、胸がいっぱいになりました。

    フミさんの為に実利的な努力をする狼くん、実直で大好きです。狼くんの逞しさを好ましく思い、独立した個人として尊重しつつもやっぱり気になってしまうフミさんも大好き。軽いキスしかしてませんが、満足度は高かったです。でもしっかり見たい気持ちも正直ある(笑)続編でも番外編でも何でもずっと見ていたい二人の事件譚、ぜひシリーズ化を期待しています。

    最後に、狼くんやめいちゃんのような、大人の勝手に巻き込まれる子供が一人でも減りますように。
    また、巻き込まれても親から離れても生きていけるセーフティネットが張り巡らされた社会になりますように。
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  • 探偵事務所の飼い主さま

    noji

    【相棒】(あい-ぼう)約束した男、恋人
    ネタバレ
    2025年2月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ なんと気づけばレビュー100作目!表紙買いしたドタバタ探偵バディもの、すごく好みの作品でした。

    舞台は左狐探偵事務所。気品と色香溢れる元警察の探偵・左狐史佳と、史佳を慕ういかついピンク頭の助手・中村狼。依頼主から引き取ったペットたちに囲まれ、事件を解決したり巻き込まれたりしながら、保護者から相棒、そして恋人へ…サスペンスとしても面白いバディラブ!ぜひ映像化して頂きたい、連ドラ映えしそうな魅力があります。

    狼くんの実直さが素晴らしくて、闇社会が手薬煉引いて待ってる穴の前にいるような環境で育ちながら、持ち前の意思の強さと向上心で真っ直ぐ歩いていく。善悪の判断を間違えない優しさ、強さがある。それら全てを運の良さにまとめる謙虚さに、史佳さんが可愛がりたくなる気持ちがとてもよくわかります。
    賢くて飄々としてるのにちょろくてビビりな史佳さんはもっと可愛い。
    狼くんが好き好き言ってるようで、実は史佳さんの方が狼くんから離れられないような関係も最高…!愛する大型狼に懐かれる美人狐の構図のなんと麗しきことかな…。

    欲を言えば、あんなことやこんなことも恋人同士になってからの攻防も読みたかったのですが(むしろ一番知りたい部分だったのですが笑)続編に期待して良いでしょうか?某警察バディドラマのように長く続く相棒でいて欲しい二人です。
  • 純情でなにが悪い 番外編

    冬縞しぐれ

    いつか見せてよ
    2025年2月26日
    晴れて恋人同士になったはじめと諒太。完璧余裕彼氏の可愛い姿を見る為に奮闘する番外編です。

    諒太のバイトが気になってましたが、学費分は充分稼いでいたようで安心しました。

    弱点に飛びついて守りががら空きになる、はじめの詰めの甘さが本当に可愛い…!
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  • 純情でなにが悪い

    冬縞しぐれ

    純情浪漫!
    ネタバレ
    2025年2月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 理想の初セッ久を実現するべく、プロに頼むことにした篠原はじめ。ところが、指名した諒太は、はじめの外見から遊び慣れてると誤解、強引に仕事をこなす。夢を壊され傷心のはじめだったが、なんと大学で諒太に再会。リベンジに別の人を指名するも、何故かやってきたのは諒太だった。リクエスト通りの甘い時間を提供してくれた諒太に感謝するはじめだったが、諒太の方には別の感情が芽生えていて――最悪な印象から始まる、王道同級生BL。

    いや〜〜意外にも攻めの方が純情なのが良かったです。生活力があるのも最高。でも、デリで学費を効率的に稼ぐまでは理解するけど、じゃあ尚更真面目に講義受けようぜ。楽単と目的の講義は分けて考えるタイパ重視勢かもしれないし、それもまた自由ではありますが。

    純情だからって真面目という決めつけは良くないけど、学費の為にバイトして、バイトの為に講義で寝るって本末転倒じゃない?そうはいっても払えなきゃ退学だし…と掘っても仕方ないところを延々と掘ってしまいました。

    キャラクターの背景と、セッ久以外で惹かれ合う心情をもっと詳しく知れたら嬉しかったです。

    一言伝えれば良いことを(その一言が言えないのもわかる)、3週間も悶々とこね続けてしまうのも若さ、青春の回り道ですね。多幸感が伝わってくる、純情同士の両想いがいかに尊いかを再確認する作品でした。
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  • スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-B

    永井三郎

    混乱、衝動、無力、そして受容
    ネタバレ
    2025年2月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ステレオタイプのキャラクターやホモフォビアの描写に「一昔前すぎるだろ!」と思わず突っ込みましたが、本当に一昔前(12年前)の作品で驚きました。バックラッシュに曝されながら進んではいるんだとも、男らしさ女らしさの他に多様性という箱が出現しただけで、本質的には変わってないとも思う2025年から、複雑な気持ちで読みました。

    改めて、バラエティやお笑い番組での同性愛いじりの罪深さを思います。同性愛者をはじめ性的少数者は虐めていい属性なんだと、笑っていい存在なんだと社会に植え付けた罪はとても償いきれるものではありません。あの頃を思うと、なぜ地上波ゴールデンでBLができないとか、BL原作なのにBLを濁すBLドラマとは何事かとかで怒れるのも進んできた故なんだなと思います。(それとこれとは別の話)

    物語に出てくる、閉鎖的な地域社会も、幼稚ないじめも、子供を尊重するどころかその主体性を認めようともしない親も、全部最悪。姿をくらまして野放し状態の性暴力教師がもっと最悪。最悪の全部盛りで休み休みじゃないと読めませんでした。三島の気高さと、三島の母親と、夢野の成長だけが救いです。

    鍵を預けてもう二度と開けないであろうパンドラの箱を抱え、自分を押し殺して生きていく桐野を思うと胸が締め付けられました。というか、パンドラの箱なんて悲しいこと言うなよ…大切な自分自身だよ…。

    それもまた彼の選択だと尊重したい気持ちもありますが、自分を偽って生きていくことの苦しみを吐き出せる存在はいるのか、本当の自分を解放できる場はあるのか、心配でなりません。

    桃源郷なんて目指さなくたって、どこでも、好きな場所で、望んだ場所で、自分らしく生きられるのが健全で公正な社会のはずなのに、社会(政府)に個人の性的指向や性自認に口を出す権利はないのに、たったそれだけのことすら実現に向かわない。悔しい。それでも上を向いて前に向かって進んでいくしかないのでしょう。その強さを三島が教えてくれました。
  • 昨日をもう一度

    らくたしょうこ

    幻想を打ち砕く
    ネタバレ
    2025年2月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いなのに、辛口になってしまい心苦しいのですがお許し下さい…。

    高校時代に目撃した、現在の同僚である女性教師・静川と同級生・神藤のキスに囚われ、遂には母校で教鞭を取るまでになった主人公・高森。ある日訪れた居酒屋で神藤と再会する。夜の校舎に入りたいと言う神藤に導かれ、時間が止まったままの社会科準備室で、お互い誰かを重ねたキスをする二人だった――自ら止めた時計の針を再び動かしていくストーリー。

    まず、大前提として「最低のこと」をさせたのは生徒である神藤ではなく、教師の静川です。静川個人の感情がどうであれ、法的にも倫理的にも絶対に跳ね除けるべきでした。まあそれを言ってしまうと多くの物語は始まる前に終わってしまうのですが(笑)職業倫理を守るどころか平気で破っておきながら、罪の意識もなく同じ学校で教師を続ける静川の存在に引っかかって、ストーリーに集中できませんでした。

    内心で何を考えようが自由ですが、高森のように〈何もできない〉が当たり前で、生徒側(未成年)がいくら勘違いしようが、教師側(成人)からは絶対に破ってはいけない。規範意識はもちろん、子供を傷つけた事実すら無かったことにする、そんな教師の為に貴重な時間を費やして残るのは後悔だけですから。(私怨で言ってる訳ではありません)

    たかが漫画、されど漫画ですよ…せめて静川に何らかの制裁が欲しかったです。教師(成人)にとっては薄れゆく記憶の一片でしかないのに、生徒(未成年)にとっては忘れられない傷になってしまうこの不均衡…これが美しい過去に見えます?

    ただ、合意の上の関係で、一度招き入れたとはいえ自宅に押しかけられ、無理矢理何かされた静川は静川で、なかったことにしないと前に進めなかったとも思うので、あえて忘れたことにしたのかもしれません。真相は静川のみぞ知る。

    ……漫画作品にマジレスすることをやめられない一読者の愚痴になりましたが、偶像に理想を投影してわかった気になるな、目の前の人間に向き合え、という趣旨には共感しました。
    気楽になったり、こんがらがったり、時計を止めたり進めたりしながら、過去を受容していく、人生はそうやって動いていく、ということを思いました。
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  • レンタルタマちゃん

    らくたしょうこ

    現実ェ…
    ネタバレ
    2025年2月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みもせず、作家様買いしました。以下辛口になります、すみません。

    逼迫する財政、過疎化、人手不足、地域格差、公共事業の民営化、形骸化した社会保障…と、冒頭から現代日本社会の問題てんこもりで暗澹たる気持ちになりました。
    自己責任論を窘めつつ、市民を見捨てられないお役人・矢澤と猫レンタルでやってきたタマの巡り合わせの物語です。

    舞台である〝社会保障制度を手放してしばらく経った国〟という設定があまりにも…あまりにもシビアだし、そう遠くない未来だし、そっちに気を取られて無駄に落ち込みました。
    国が堂々と〈棄民〉する世界線…皆さん民意を示さなかったんですかね?金のない人間、金のない自治体は見捨てられて当然だと?まさか社会保障と引き換えに手取り増(幻想)でも選んだんですか?自ら人権を放棄することを選んだんですか?
    …と、この世界の政治、市民社会の方が気になって話が入ってきません。(現実社会だって今作品世界の前段階にいるようなものなのでそこまで驚くことでもないのですが。)

    タマの境遇も悲惨すぎて、BL以前に、削られた福祉の犠牲者感があるんですよ。食べていく為に違法な仕事に手を染めざるを得ないような厳しさがある。終わり自治体に救いがある訳でもないところが更に厳しくて、社会を、民主主義を諦めた今作品の腑抜けた市民に怒りすら感じます。

    ディストピアに近い世界に生きているとディストピア作品は楽しめないんだな〜と改めて思いました。
    社会保障や公共事業は一度手放したら二度と市民の手には戻らないことを肝に銘じるべきだと痛感します。
    BL要素も少なく、社会派と呼ぶには中途半端で、猫である必要すら正直わからない。首長選びの大切さを感じるのみでした。
  • 蝶と花の関係性【電子限定特典付き】

    akabeko

    犬〜!
    ネタバレ
    2025年2月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 潜在ドMの花田咲太郎が、会社の先輩である蝶野一片と出会い才能を開花させ、蝶野もまたドSの花を開かせるストーリーで表題作。

    SMと聞いて購入しましたが、個人的に受け入れ難い設定の一つ〈性虐.待を上書きするようなセッ久(エロ)〉があり、純粋な気持ちでは楽しめませんでした。たとえ漫画であろうと、子供を性的に搾取し、トラウマを刻み込む邪悪な大人たちへの怒りが上回ってしまって、精神的に漫画どころではなくなってしまうんですよ…。

    社内をはじめ公共の場で本番までするのも受け入れ難かったです。良識的に振る舞ってこそ楽しめるSMだと思いませんか?いつでもどこでも欲の赴くままはただの非常識です。それでも、SM自体は割と好みでした。嘔吐描写があるので、苦手な方は注意です。

    トラウマの影響を無視できない性的嗜好が天性と言われると微妙な気もしますが、お互いぴったりの相手に出会えて良かったです。

    「ハウス」からの「わん♡わん♡」に+1で星3にしました。他2作品収録されています。
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  • お巡りさん、また明日【コミックス版】

    池尻モジオ

    着痩せでも隠しきれない肩幅太平洋
    ネタバレ
    2025年2月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ お祭りの警護にきたザ・お巡りさんこと武田陽人は、倒れてきたステージの下敷きになりそうなところを、民間警備会社の長尾朔良に助けられる。その頼もしさを好きだと言う武田を「ケーサツは嫌いだ」と突っぱねた長尾だったが、言葉とは裏腹にその優しさにときめきを止められなくなっていく――。

    筋骨隆々警官BLを期待しましたが、絵の雰囲気がアメコミっぽくて私には合わなかったようです。Boom!とかOops!とか出てきてもそのまま読めると思いました。

    ホモソ文化を煮詰めて塊にしたような組織の中で、好奇の目や侮蔑的な眼差しに晒されながら、自分を偽ることに耐えきれなくなる長尾の心中は察するに余りありますが、それを理由に別の警察官への八つ当たり、試し行為という名の不同意わいせつはな〜…。
    ホテルに連れ込んで以来一気に距離を縮めてくるのも苦手でした。やはり私は、同意を得ながら徐々に関係を築いていく方が好みなようです。

    武田がとにかくお人好しなので、どうしても強引に押し切られた印象を抱いてしまい、冒頭の丸井誠也(武田の後輩)状態で読んでました。長尾の前で弱さを晒け出して、それもまた自分なんだと受け入れて、様々な抑圧から解放されて欲しいです。

    ヘラクレスばりの体格の良さに+1で星3にしました。
  • 新装版 うしみつどきどき古書店譚

    tacocasi

    家庭円満、商売繁昌!
    ネタバレ
    2025年2月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 大学院生の小宮くんと、下宿先の大家で古書店店主の〈君とならどこまでも〉なファンタジーBL。

    常世と隠世との境目のような世界で繰り広げられる、神様たちとの軽妙なやりとりが面白かったです。
    健気で真面目な小宮くんと、度量が大きくて飄々とした陽蔵さん(ニシさま)カップルが可愛すぎる!
    今生の別れも覚悟しましたが、とんとん拍子に解決して良かったです。八百万もいれば柔軟に対応できるんやね。
    長い間心を砕くことが多かったであろうニシさま、これからは幸せで健康に過ごして欲しいです。

    ところで、応援書店特典を見て、陽蔵さんの暮らしぶりが理想すぎて嫉妬心を覚えました(笑)実質在宅勤務かつ週休2日の実働6時間、推定持ち家で家賃なし、借金返済しながらも多少余裕のある生活できてるのが普通に羨ましく、なりたいBLキャラランキング暫定1位になりました。
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  • 君に降る言の葉は【単行本版】【シーモア限定特典付き】

    イズミハルカ

    愛を恐れ愛を欲する
    ネタバレ
    2025年2月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家・円城桜と、その著書『雪の果て』に救われた小松日向。ある日、クラスメイトであり、円城桜として執筆活動をしていた五十嵐雪人から、次回作の為に恋人ごっこの相手になることを提案される。ごっこから始まった恋人関係でも、気持ちは次第に本物になっていく。大きな気持ちほど、言葉にして伝えられない。やがてすれ違ってしまう二人。そんな淡い恋が思い出になろうとするとき、思わぬ形で気持ちが通じ合う――。

    思ったことを口にできる小松くんと、書く言葉は雄弁でも話す言葉は少ない五十嵐くんの、お互い得意な分野で相手を想うところが良かったです。

    正しさよりも〈空気〉が優先される集団、保身や利己の為なら平気で人に罪をなすりつける低劣野郎に立ち向かった小松くん偉い。なのに、バカだの失敗だの卑下しちゃって可哀想に。「もっといいやり方」を考えるのは大人の仕事なのに、教師は一体何をしていたのか。五十嵐くんが小松くんの反省を否定してくれて安心しました。真面目さを抑圧する必要なんてない。

    それにしても、二年越しのラブレター…読まれないかもしれないのに読むことを期待して書かれる手紙(小説)って、どうしてこんなにぐっとくるんでしょうか。小松くんの中で思い出になっていなくて良かったです。
    欲を言えば、友情が恋愛感情に変化する心情描写がもう少しあればな、と思いました。

    人と接することが億劫で誰も寄せ付けずにいたいのに、愛することは心臓を差し出すようだと恐れているのに、大切な人と分かち合いたいと思うのがまさに思春期という感じがして、何だか叫び出したい衝動に駆られました。
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  • 真夜中の俺を見て【単行本版】

    Luria

    人気商売は大変だ
    ネタバレ
    2025年2月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ Vtuberのまひる(菅原真夜)とマネージャーの荻野が公私共にパートナーになっていくストーリー。

    残念ながら私には合わなかったようです。面倒見のいい兄さんが最高というだけで、特に世話焼きが好きな訳ではないという気づきがありました。

    ところで荻野さんが使ってるゴムってリトマス紙製なんですか…?それともゴム越しに腸液を感知できる特殊能力持ちなんですか…?とにかく、荻野さんは真夜くんの腸管をメンタルと同等かそれ以上に労ってあげて欲しいです。
  • キラキラしても、しなくても 分冊版

    小池定路

    これぞ青春、これぞ成長痛
    ネタバレ
    2025年2月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ キラキラしても、しなくても、どれもがきらめく青春群像劇。もがきながら成長していく思春期の甘酸っぱさ、ほろ苦さを存分に味わえます。若者たちの未来にエールを送らずにはいられない個人的ベストオブ学園BL。

    【けいたとゆうき】
    寄り添いから自信に、自信から期待に、期待から生まれる恋。老成されてる慶太先輩が良い。素直になるって良い。
    【しゅうとあまね】
    表紙の二人。第二次性徴をとりまく好意と好奇。しゅうちゃんがモテないは嘘、こういう子は社会人になってから爆モテする。あまねの公正な思いやりは、しゅうちゃんと父親譲りだろうな。兄さんだからしっかりしないとと気持ちに蓋をする年上に、先に一歩踏み出すのはいつもそばにくっついていた年下という最高の構図で締め括る、素晴らしい結末。本当の家族になれる日が一日でも早く訪れますように。
    【あおととあけお】
    ゲイとストレートの双子。最低な提案の裏にあった優しさ。朱生が人に好かれる理由がよくわかる。お人好しで時々間違うけど、人の心に対して真摯に向き合ってる。もちろん蒼人も。
    【まこととしずか】
    大切な人の大切な人をだしにした罪は重い。佐竹先輩の実直さを舐めるなよ。君、内容によっては名誉毀損罪に触れてるからな、もっと反省しろ。
    【せたとなかのとたかでら】
    話をして痛みを分かち合って受容していく。寄り添う心をきちんと言葉にして、かけがえのない友人になるであろう世田と高寺に泣かされた。一番好きなストーリー。
    【あおととまこと】
    不自由で息苦しくてもインターネットを警戒してくれてありがとう。蒼人と静の実直さ、勘の良さに助けられる。人生の時間の分かち合いにも、卑怯者にも性別は関係ない。「動くんだ」
    【しずかとひろき】
    誠実な兄妹。誠実なカップル。誠実に向き合うことができたら、それが伝われば、許されれば、やり直せる。

    全編を通して、寄り添いと分かち合いが描かれていたのがとても良かったです。弱音を吐くな、強くあれと言われがちな男社会の中では難しいのに、弱さや複雑な胸の内を打ち明けられる、それを馬鹿にせず耳を傾け受け止めようとする、そんな思いやりと実直さがどの人物からも感じられて、胸がいっぱいになりました。

    富と権力を手にして、原作に忠実かつ演技力重視のオーディションを経て実写ドラマ(全23話)にしたいという欲望を抑えきれません。
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  • あした虹がでなくても

    きはら記子

    自我アイデンティティ
    ネタバレ
    2025年2月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで続きが気になり購入しました。
    トークアプリで偶然繋がった、ドラァグクイーンとしてステージにも立つゲイバーの店員ホイップと、不眠症のサラリーマン植木が恋人になるまでのストーリー。

    恋のときめきというより、マイクロアグレッションを受けるしんどさがぐっさり刺さってしまいました。
    言葉の選択を悉く間違えていくな…悪気はないし普通はそんなもんか…いやでも思いやりがあれば…と期待と落胆を交互に巡らせていましたが、間違いだと気づく・傷つけたと謝れるだけでも充分凄いのかもしれません。
    湘吾(バーの常連客の恋人でノンケ)にしたような相談を、当事者に聞かない程度には植木さんに思慮分別があって良かったです。言いたいことを代弁してくれた湘吾くん、世田さんと末永くお幸せに。

    ところで面接でカミングアウトした学生さんは結局どうなったんですか…?自分らしく働けそうな会社から内定を貰えているといいのですが。
    いいね
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  • 恋するサディスティックサービス【電子限定漫画付き】

    渡辺馨

    サディスティックサービス…?
    ネタバレ
    2025年2月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ Sの振りばかりが上手くなる自称Mであるバンドマンのすばるが、ある日連れて行かれたバーのオーナーにMだと見抜かれ、ずぶずぶとはまっていくストーリー。

    すばるくんが想像していたようなSMではなかったので拍子抜けと言ってはなんですが、言葉責め以外も見たかったです。首絞めも事後ですし。というか、すばるくんの脳内イメージの方を期待してしまいました…。
    痛そうとか危険な描写はほぼないので、SMに抵抗がある方でも読みやすいかと思います。
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  • 君と夢見るエンドロール

    呼吸のしやすさ、それ即ち生きやすさなり
    ネタバレ
    2025年2月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 淵先生の他作品が素晴らしかったので、こちらも読んでみました。

    青春に学問に奮闘せんと上京した学部一年の梨木学は、般教で取った映画論の講師で院生の赤澤満と出会う。映画をきっかけに満に懐くが、自分の中に独占欲や嫉妬心が芽生えていることに気づく学。そんな学の瑞々しい感性に、満もまた心惹かれていく。ノンケしか好きになれないゲイの満と、純真無垢な学が、お互いの生きやすさを見つけていくラブストーリー。

    大学という場から吸収できるもの全てを吸収しようとする学くんの意欲的な姿勢が素晴らしい。私も学くんくらい最大限コマ取ってみっちり頑張れば良かった〜と後悔に頭抱えました(笑)農学部で勉学に励む碧くんと、遠距離から碧くんを想う郷くんが見られたのも嬉しかった。

    淵先生の作品に出てくるホモソ文化から遠い男性って興味深いんですよね、碧くんも学くんも文くんも。周囲に染まれず染まらず、自分らしい道を見つける強さに尊敬の念を抱きます。
    そして、恋愛対象と性愛対象にずれがある満さん。その絶望、その腹立たしさに強く共感しました。市場は異性愛基準ですからね〜…。

    傷と矛盾と経験とみっともなさと、複雑な感情が渦巻いて動けない満さんを包み込むのが、恋愛初心者も初心者で邪なところが一切ない学くんというのも良い。
    「生きづらさに巻き込んでごめん」の答えが「生きやすくなったよ」、こんなに救われるような愛の告白ってあります?いやない。改めて淵先生の言葉の選択と感性が大好きです。

    エンドロールが終わっても、すぐに次の上映が始まるように、長く続く二人でいて欲しいです。

    (読み放題にて)
  • 三夜前線【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    鰺坂こうや

    何夜でも見たい
    ネタバレ
    2025年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 三作品収録されています。どれも絵がすっきりと綺麗で好みでした。

    『三夜前線』
    営業トップの真塩さんの、経理の吉野くんへの片想いが実る社内BLで、表題作です。他人が必要そうに見えない完璧な真塩さんが、色んな愛おしさを込めて吉野くんをずぶずぶと可愛がってるのが可愛い。

    『佐藤くんと佐藤さん』
    以前読み放題で読んだことがあるのでレビューは割愛します。一日も早く同性婚と選択的夫婦別姓が認められますように。

    『明日のこと』
    高校時代、友人と呼ぶにはあまりに濃密な時間を過ごしていた圭都と界人が、数年の時を経て、暮らしを共にしていくストーリー。短編なので難しいとは思いますが、仕事の背景や心情描写がもう少しあると良いなと思いました。

    (読み放題にて)
    いいね
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  • 猫かわいがりたいっ!【電子限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】

    山田シマコ

    猫に学ぶ素直な心
    2025年2月10日
    猫と聞いて読んでみたら、思いの外可愛くて猫吸い一回分の効果が得られました。

    2作収録されており、1作目は猫カフェの店長・金子と、常連客の大神の社会人BLで、表題作です。大神さんが猫ちゃんに嫌われる理由がよくわかります(笑)猫ちゃんとも金子くんとも上手くいって良かった。

    もう1作の『おはようマイダーリン』が好みの作品で、ぜひ続編か前日譚を読んでみたいと思いました。同棲中のカップル、学部2年の天馬と院生の理人の、賢者の贈り物的な物語。わかりやすい天馬と、勘が鋭い先輩だから、変に拗れることがなくただ微笑ましかったです。明朗快活でおせおせな年下よりも、硬派で落ち着いた年上の方が内心余裕ないのってどうしてこんなにグッとくるんだろう……。

    (読み放題にて)
    いいね
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  • 思春期エトセトラ【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    もちの米

    聖域のようなもんではなく聖域
    ネタバレ
    2025年2月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『思春期エトセトラ』
    親友同士の龍吉と乙哉の、妄想と現実の境界線を越えたり越えなかったりする青春ラブストーリーで、表題作。両想いかつ乙哉の心が広いおかげで、青春的にも社会的にも龍吉が救われます。引き続き現実と妄想の区別を死守して欲しい。

    『センチメンタルドレスコード』
    可愛いものを愛するゆうくんと、主体性が曖昧な歯科医の先生の話で収録作です。

    未成年と成人の恋愛(という名のグルーミング)は合意の上でも犯罪です。30過ぎて罪の意識どころか、何なら善行くらいに考えてそうな攻めのことを、最後まで受け入れられませんでした。体を売ろうとしている未成年なんて、明らかに保護の対象なのに(中には保護されたくない子たちもいるのでしょうが)お礼や好意という形で結果的に買ってますよね。洋服を買う、歯の治療をする、メイクをする、ここで終わりのあしながおじさんでいるべきでした。

    慕ってくれる相手、それも子供に対して「土足でええらしい」「汚してもかまへん」これらの発想が出ること自体、深い闇を感じます。それが「俺の愛情表現っておかしいんかなぁ」に繋がっているのでは?

    可愛いものを愛する気持ち、可愛いくなりたい気持ちを肯定して尊重してくれる点においてはいい大人だけど、未成年に性行為(性的接触)を求めた瞬間悪い大人になるということに気づくには、17歳はあまりに子供です。
    でも幸せならOKです!と言いたいところですが、たとえ漫画作品でも、法的にも個人的な倫理観としてもOKではないので辛口評価になって申し訳ないです。

    (読み放題にて)
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  • 俺の部下がエロい妄想をやめてくれない【シーモア限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    背筋

    喧嘩したらどうなるんだろう
    ネタバレ
    2025年2月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 他人の思考を覗ける超能力を持つ主人公・狭山。会議で聞きそびれたことを確認しようと、隣にいた後輩・金子の頭の中を覗いてみると、そこにはSMプレイの世界が広がっていた…って相手俺!?と動揺する狭山の、サラリーマンサイキックラブ。

    思考を覗いて意識しちゃう狭山さんも、超能力を知ってすぐに受け入れる金子くんも、どちらも順応性が高くてすいすいと結ばれます。思考を読む・読まれる前提のコミュニケーションでは、裏腹な態度を取ってしまってのすれ違いとかは起きなさそうでちょっと羨ましい。

    覗こうとしなくても思考が直接流れてくるのか、覗かない限り認識できないのかわかりませんでしたが、脳内で反応を伺う金子くんに言葉で返す狭山さんが色っぽくて可愛かったです。でも社内ではやめて下さいね〜。

    (読み放題にて)
    いいね
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  • 【同人誌版】Don’t talk to me

    ぞう工場

    真面目って最高だ
    ネタバレ
    2025年2月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 実直な攻めも実直な受けもどちらも素晴らしい、芯の通った人間は最高、真面目ど真ん中最高、ぞう工場先生の絵も好みで最高、最高に囲まれて幸せな読後感に包まれています。

    出会い系のマッチング相手が嫌いな同僚・瀧宮だった主人公・山田。逃げるみたいで嫌だとセッ久するが「相性がいい」「仲良くなりたい」と近づいてくる瀧宮。その誘いに最初こそ抵抗したものの、距離が縮まるにつれ、お互い待ち焦がれていた相手だと知るサラリーマンラブです。

    偏見や差別、元彼からの酷い扱いで臆病にならざるを得なかった山田ですが、気弱な訳ではなく、むしろ芯が通ってて意思を言葉にできる強さがあるのが眩しくて尊い。そんな山田を数年間にわたり想い続ける瀧宮の審美眼よ…!瀧宮も真面目で信頼の置ける人なのが、社会人BLとして素晴らしかったです。つれない態度にもめげずに思いやり深く山田を包み込んでくれる瀧宮の愛に涙が出る…。山田よ、過去を思い出せないくらい瀧宮と幸せな日々を過ごしてくれよな!

    バーの場面、朝食の場面は、私が今まで読んだBLの中でも、屈指の名シーンになりました。受け入れた後は変に意地を張らず、素直に気持ちを伝えられるのも、真面目な大人らしくて良かったです。
    同性婚が法制化されていれば、二人は結婚を選べたんだろうなと思うと本当にもどかしい…婚姻の平等が一日でも早く実現されることを願っています。

    (読み放題にて)
  • たまにきずあと【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    汐見ろせ

    きずあとを愛で覆う
    ネタバレ
    2025年2月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高森側の人間なので、倫理フィルター越しに自戒しながら読みました。実直な攻めは良い定期も発動。

    ある日、廊下ですれ違った同級生・八城の腕にある大きなケロイドに目を奪われた高森。その眼差しに何かを感じ取った八城から、歯が折れるほどの重い拳を食らってしまう。以来八城を避けていたが、ひょんなことから勉強を教わる仲になり、あの日の理由を聞くこととなる。フェティシズムから始まるラブストーリー。

    殴って歯を折るって、傷害の中でも重い罪なんですよ。〈廊下でぶつかった相手を殴ったら相手の歯が折れた〉という事実だけを見れば、何らかの処分があって当然なのに、何もしない学校と、率先して差別的な冷やかしをする教師に呆れました。殴った本人も大した罪とは思ってなさそうですし、高森が怒らなくても、高森の保護者くらいは怒って欲しかったです。治療費請求できたと思うよ高森くん。

    ケロイドフェチかつ猛獣が懐いた感覚で、高森が八城を好きになる理由はわかりますが、八城はいつ高森に恋愛感情を抱いたんだろう。八城が高森に求めたあの行動は、被害の上書きというか、私にはトラウマの再演のようにも見えて、恋愛感情から生じてるのか判断がつきませんでした。

    殴った日から抱かれてもいいと思うまでの心情を深く知りたかったですが、私の読解力の問題かもしれません。それにしても、性犯罪者許せん!子供にトラウマ植え付けるなんて。もちろん大人相手でもだめですが。

    それでも、百獣の王マインドの猫を可愛がる大型犬の組み合わせは、ずっと可愛いです。理性で己の欲望を抑え込もうとする高森と、フェティシズムを逆手に取って永遠に尻に敷く八城のこれからも見ていたいです。フェティシズムと続編への期待を込めて4にしました。

    収録作『おはようおねぼうさん』幼馴染であり恋人の知哉と豊の、起こしたいと起きられないを巡るストーリー。某鉄道会社のベッドに置く形の目覚ましがいいらしいですよ〜!

    (読み放題にて)
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  • 晴れない世界で君だけ見える

    三日ミタ

    ビー玉見るたび胸が苦しくなるやないか
    ネタバレ
    2025年2月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで続きが気になり購入しました。
    顔にノイズが入って認識できず、人との関わりを避ける鳥住悠陽と、鳥住が唯一顔を認識できる兎川壱月の相互救済ストーリーです。

    過去が、過去がさ…個人的にこの世で許せないもののてんこ盛りで、正直ラブどころではありません。もっと早く虐.待に気づいていたら、周囲の大人が窘めていれば、医療や福祉に繋げていれば…と怒りと悲しみでいっぱいになりました。

    PTSDとしての相貌失認(推定)と人格形成を歪めた責任は、ゲロごときじゃ取れないんだよ。そもそも人の人生を狂わせた責任は取ることができないんだから、せめて被害者に会わないよう生涯にわたり配慮するか、最初からやるなという話。

    加害者は加害者で親の言動を真似してるであろうことも、暗澹たる気持ちにさせられます。親の写し鏡とはまさにこのこと。大人の噂話からいじめが発生したりもしますからね、倫理を教えられる大人でありたいものです。

    兎川母のその後や、町を去った兎川さんがどう生きてきたのかまではわかりません。しかし、手に職をつけ、同僚やお客さんに慕われる兎川さんのこれまでの歩みを思うと、涙が出ます。どんなに暗い過去があっても、光ある方へ歩んでいけるのが強さであり、希望なんだと改めて思いました。
  • 弱気なきみと永いしあわせ

    木丈ですく

    ポラリス(隠喩)万能説
    ネタバレ
    2025年1月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 同性が好きかもしれないと、セッ久サークルポラリスに申し込んだ大学生の諒。いざ行ってみて怖気づいてるところを「二度と来るなよ」と連れ出したのは、いつかカフェで見かけたイケメンだった。その後大学でイケメンと再会、別学科の慎士先輩だと知る。お礼だけじゃなくて先輩と何かになりたい…弟?違う、恋人…?というストーリー。

    運命的な出来事の連続、全員善人、すれ違いの芽はすれ違う前に詰むスタイル(大事)で、ノーストレス!たまにはあっさりしたものが食べたいという時に読みたいBLでした。

    慎士先輩の何やら重そうな過去がさらさら〜と流れていき、ポラリスの存在は浮いてるような気もしますが、大好物である兄弟分BLを一口味わえたので満足してしまいました。どちらが良い悪いという話ではありませんが、素直な年下ほど勇気があるところにもぐっときました。
  • 巣箱の王子様

    秋平しろ

    社会が考える幸せ≠個人の幸せ
    ネタバレ
    2025年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 細いペンですっきり描いたような美形が好きで購入してみました。同性愛者という秘密を持つ青柳と、青柳がおとぎの国の王子様と憧れる浅桐部長の相互救済ストーリーです。

    ゴミ屋敷のドキュメンタリーを見て、心の空洞を埋める為に溜め込まざるを得ない人々がいるんだなと思ったことを思い出しました。
    だらしないと責める人もいるだろうに、部長を慮れる青柳、推せる!…と思ったのですが。親孝行の為に、結婚と孫の顔見せまで視野に入れていることが判明し、真顔になりました。青柳よ、君がそんな人身御供みたいな真似に無頓着なやつだとは思わなかった…。真面目で優しくて可愛いんですけどね、女性は男性を一人前にする為の存在ではありませんから。

    結婚と子供の誕生を経て、初めて一人前として認められるような社会からの無言の圧力という背景は、部長の秘密の本丸にも共通するように思います。
    現代人は、生産性と少子化対策の為だけに存在する訳じゃないのに、ロマンティックラブイデオロギーから外れた人間の居場所は用意されない世界なんだよな〜と遠い目になりました。

    一緒に過ごす中で、部長の気持ちも段々青柳に傾いていき、お酒の力でセッ久には至るのですが、そこからのすれ違いがもどかしくてもどかしくて…。
    しかし、着地点からは男らしさという呪いからの解放を感じられたので、晴れやかな読後感がありました。お互いがお互いの居場所になるという結末に救われます。
    自分の幸せが誰かの幸せでもある人生が最良だと、誰もが言える社会が良いなと思う作品でした。

    最後に一点だけ。山田部長、それはカミングアウトの強要に当たるのでは?いい人なんですけどね、いい人なんだけど…。
  • 辻英司は恋をしない【単行本版/コミックシーモア限定特典まんが付き】

    rasu

    職場ではほどほどに
    ネタバレ
    2025年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『三森さんのやらしいおくち』のスピンオフ、辻さんと朝野くんの物語です。

    いくら興奮してても職場ではだめですよ!全方位に危険!スピン元は診察室、こちらでは会議室にエレベーターに…法令遵守でお願いしますよ!

    辻さんに意地悪な印象があったせいか、三森さんへの未練でぐだぐだな状態のまま、三森さんをダシに朝野くんを試すような行為に好感が持てませんでした。それくらい自分の意思で確かめようぜ。

    惚れたもん勝ち?絆されたら負け?いや勝ち負けじゃないか、恋愛は。
    恋人になってからは可愛いが止まらない辻さん、朝野くんが我慢してきた倍可愛がって欲しいです。気持ちを飲み込んできた分、ちゃんと意思を伝え合おうとする姿勢は素敵でした。
    いいね
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  • 雪の妖精

    芹澤知

    映像として再生される情景
    ネタバレ
    2025年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 雪深い北海道の地で出会った、動物写真家の成美輝一と地元の農家の穂村春樹の、雪解けの春のように心温まるストーリー。

    厳しい冬を乗り越えるように、それぞれの孤独や寂しさを埋めていく姿にじーんとしました。その地に根付く農家と、世界を飛び回る動物写真家という対極にいる二人が、「おかえり」と「ただいま」でしっかり繋がってるというのも素敵です。

    性的指向については、雄同士のつがいの件とテントでの独白で仄めかされてるようにも読めますが、個人的にはもう少し詳しく知りたかったです。葛藤が欲しい訳でも表明して欲しい訳でもないのですが、少女漫画の眼鏡をかけてBLを読んでる感覚でした。(伝われ…!)

    全体的に静謐な雰囲気が良く、映像化したら更に綺麗だろうなと思います。
    いいね
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  • 恋もプレイも初心者ですが【電子限定おまけ付き】

    黒田くろた

    勉強熱心でよろしい
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙買いです、りぼん可愛すぎる…!

    毎回目立つ変装で美少年のSMモノを借りていく客が気になるアダルトショップの店員・翠は、ある日その客が同じ大学に通う斗亜だと気づく。斗亜からSM願望を聞かされた翠は、軽い気持ちでSをやると提案。見様見真似でやってみることに。プレイを通し、淡白で無愛想だった翠の心境に、やがて変化が表れていく――。

    SMをきっかけにした王道ストーリーで、作家様が仰る通りSMっぽくないSMだからか、全体的にほのぼのしてます。
    おせっかい保護者会の皆もいい子たちだし、本人たちも割とすんなり恋人になれるので初心者の読者も安心して読めるかと思います。しかし、初心者と言われると上級者編まで見たくなるのが世の常…。見守りたい、その成長!
    いいね
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  • スウィートシュガースウィート【特典付き】

    束原さき

    ピピー!そこ!食べ物を粗末にしない!
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙買いです。粉砂糖のようにさらさら〜とした作品でした。製菓の専門生である理央と警察官の羽角が、毎朝電車に乗り合わせる仲から恋人になっていくストーリーです。

    市民からの差し入れを堂々と受け取る公務員ェ…というのは置いておいて。羽角さんが理央くんを好きになった核心的理由が描かれてない(「それだけじゃない」と言ったきりですよね?流石にドジさってことはあるまい…いやそれでも良いんだけど…)にも関わらず、同棲を約束する仲にまで発展して終わったので、その過程を知りたいと思いました。羽角さんの経歴はわかりますが、人となりがわかるエピソードが少ないところに勿体なさを感じます。
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  • 知らない傷痕

    らくたしょうこ

    攻めの懐と愛が深い
    ネタバレ
    2025年1月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。
    痛くされないと興奮しない(痛くというより暴力を振るわれたいが近いと思うので、苦手な方は注意です。)遼也と恋人の幸司が、それぞれの傷痕に触れて分かち合っていく物語です。

    これ絶対深刻なトラウマがあるじゃんと思ってたら予想通りで…にも関わらず、カウンセリングなどを受けさせて貰えるような環境ではなかったようで、ただただ胸が痛みました。

    幸司くんの深い愛情が救いですね、あの場面で涙が出るというのは、心から遼也のことを思ってるんだろうな。背負わなくて良い罪ではありましたが、赦しを乞う苦しみから解放されて本当に良かったです。

    それはそうと、今後やりすぎない程度に楽しむであろう、痛くないけど激しくて危なくない趣味と、倫理的な葛藤と欲で頭がぐるぐるする幸司くんの姿をもっと見たかったです。
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  • とんだクズ男ですが何卒ヨロシク

    小坂つん

    まーくんの属性に世話焼きを追加
    ネタバレ
    2025年1月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『Keep up with me !』の二人のその後が描かれてると聞き購入しました。表題作+短編4本です。

    『とんだクズ男ですが何卒ヨロシク』
    バイト先のクズな先輩コージにどうしても惹かれてしまうゲイである歩の話。クズというか自堕落な雰囲気が私の好みではなかったです。やめときやめとき〜!

    『to be continued !!』
    過去にしこりを残したままの幼馴染のけいたと航が“お試し”する話。航くんの心情が知りたい。

    『俺の幼馴染がちょっとヤバイ』
    ギャンブル酒タバコがやめられないフリーターのてっちゃんを囲いたい幼馴染くんの話。てっちゃんの方がもぞもぞしてて可愛い。

    『寝ても覚めても』
    年下まーくんに愛想をつかされないか心配になった透さんの話。まずこの二人が約10年(『Keep up with me !』あとがきより)続いてることに感動しました。でも10年目にして家事負担の偏りに気づくなんて遅すぎる(笑)いやそんなもんか。まーくんの思いやりに涙が出ます、そんな切ない心配しないで。沢山好きと伝えて素直に反応してまーくんを安心させて欲しいものです。短編でもいいので二人の新刊期待してます。

    『初恋の呪縛』
    報われない片想いと報われるかもしれない片想いの話。やはり実直な攻めは最高定期!傷つけられてもいいそれでも諦めない系の真っ直ぐさかと思いきや打算もあるところがまた良し。

    『そこはご遠慮願いマス』
    表題作番外編。コージさんの節操のなさがどこからきてるのか気になってしまう。隣人に同情します。

    『Keep up with me !』を気に入った方なら買って損はないと思います。
  • ラストエスケープ(分冊版)

    大橋キッカ

    ちゃんと伝える主義
    ネタバレ
    2025年1月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ やっっっぱ実直な攻めは素晴らしい!晴れ渡る空に香る薫風のような日高くんがとにかく良い!美形かつ筋肉質でもある!もちろん受けである匂坂さんの顔も良い!

    疲労感から強制的に眠る為に一夜限りの関係を繰り返す不眠症のサラリーマン・匂坂は、転勤してきた新人・日高と成り行きで寝ることに。膨らんでいく日高への気持ちを認める前に、遠ざけることを選んだ匂坂だったが――。

    他人に深入りしないようになった過去があり、傷つけるのも傷つくのも嫌だから、他人と向き合わないという回避型の匂坂さん。その意思は堅いですが、まあ真正面から気持ちを伝えていく日高くんですよ。駆け引きもなしに真っ直ぐ目を見て、言いたくても言えないことを汲み取ってくれて、混乱ごと受け止めてくれるこの誠実な姿勢。これはもはやスパダリと言っても良いのではないでしょうか。

    …と言いながら、女性としか経験がない日高くんが、同性である匂坂さんを好きになる理由に、もう少し説得力が欲しかったのも事実です。いや、好きになる理由なんて人の数だけあっても良いか。

    精神的には初恋っぽい匂坂さんの見え隠れする素直さと可愛さに悶絶する日高くんと、愛されて満たされていく匂坂さんが愛おしい。二人の姿をずっと見ていたいです。

    ところで先生、たとえその苦しみと厳しさを知っていたとしても、一過性として一蹴はだめですよ。真摯に聞きましょう。実家訪問する仲になったら、姉に会わない訳にはいかないでしょうが、それについてどう考えてるのかわからずじまいでした。
    進展の為に用意された感はありますが、どうか彼女の選択が自ら納得したものでありますように。

    (読み放題にて)
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  • 陰と日向のボーダーライン

    大島かもめ

    王子にはツバメの寒さがわからない
    ネタバレ
    2025年1月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 好青年と評判の新入社員・柴村は、ゲイであることを抑圧しながら生きてきた。ある日、憧れの丸山課長が、公園で行きずりの男とセッ久している場面を目撃してしまう。勢いでカミングアウトした結果、課長と付き合うことになる。しかし、課長との関係が深くなるにつれ、これが恋人関係なのかと苦悩していくストーリー。表題作です。

    そっちの道は危ないぞー!と心配していた通りの結末になり、思わず呻きました。というのも、柴村は自己犠牲を厭わないタイプの真面目さがあるように見えるので、課長のような試し行為をせずにはいられない人と、相性が良いようで最悪だと思うのです。突き放したり、下手に流せない実直さから、俺の前でしか…俺がいないと…と共依存の沼に足を踏み入れてしまう。

    課長の背景には同情すべき部分もありますが、嫌がる行為をしたり、相手の意見を尊重しないで良い理由にはなりません。そもそも、中堅と新入社員の年齢差ですよ?そこに愛はあるんか?と聞きたいです。私には恋愛感情というより、愛されて育ってきたであろう柴村に対する征服欲に見えてしまいました。不安があれば言葉にして、課長自身も救われて欲しかったです。

    …いや、課長は救われたいと思ってないか?でも、柴村も共依存に片足突っ込んでそうだよな?そもそも、閉鎖的な村社会で抑圧しながら生きてきた人間は、本当に「他人に与えられる人間」だろうか?

    疑問は尽きませんが、どうか日向を選び、あたたかい関係を築いていって欲しいと願ってます。

    収録作の『街角のプロローグ』は、日本人留学生と下宿先のイタリア人の物語です。露骨な差別もマイクロアグレッションも両方きついよな〜と思いつつ、「日本にいて差別されない」ではなく、日本にいると気づこうとしない限り差別に気づくことは難しいので、される側になって初めてショックを受けるのではと思いました。差別意識や偏見がないか、常に自省していきたいものです。

    (読み放題にて)
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  • それでも君と恋がしたい!【電子限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】

    黒田くろた

    攻めの理性を全力応援
    ネタバレ
    2025年1月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 清掃会社の営業・本田が、週に一度の癒しである出入り先のコンビニ店員・葉月とひょんなことから体の関係になり、やがて本気になっていくストーリー。

    いや〜やはり実直な攻めというのは良いものですね!真面目さと流されやすさの間で右往左往してるのも良い。今後葉月くんの気持ちが揺れ動くことがあっても、誠実に向き合って関係を確かなものにしていくんだろうなと思います。

    ところで、どんなに情があろうが、借金を借金で返すとか一発逆転狙いで変なビジネスに手を出すような人とは縁を切った方がいい、切実に。
    いいね
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  • 恋わずらい穴わずらい【単行本版(シーモア限定描き下ろし&電子限定描き下ろし付)】

    ツブキ

    笑あり涙あり肛門知識あり
    ネタバレ
    2025年1月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 肛門科医である雄谷が、同窓会で出会った明日見から「前立腺がちゃんと機能してるか診てくれ!」と頼まれたことをきっかけに、初恋を知っていくストーリー。

    自尊心を削られてきた明日見にとって、常に直球勝負かつ相手への思いやりを惜しまない雄谷は輝いて見えただろうと思います。元彼に説いた攻めの極意、素晴らしかったです。

    社会による差別や偏見、明日見の思いやり、雄谷の真面目さ故にすれ違ってしまった時はどうなることかと思いましたが、無事に初恋も実ってめでたしめでたし。

    ところで、肛門科医による異物挿入()が頼もしくて笑いました。いや笑い事ではないんですが、BLを読んでいると受けの肛門や内臓を心配することが多々あるので、謎の安心感があります。

    やっぱり実直な攻めって良いな〜…実直なあまり解釈がずれてたり面白くなってしまう雄谷も可愛いし、そんな雄谷だからこそ、身を委ね幸せを感じられる明日見も可愛いです。順風満帆な未来に向かって、公私共にパートナーとして幸せでいて欲しい二人でした。
  • 社内恋愛お断り

    ダヨオ

    【急募】二人の馴れ初め
    2025年1月18日
    作者様買いです。営業部の鬼エース・高井戸と、健気な後輩・澄田の社内恋愛(短編)です。

    高井戸さんの掌の上で転がされる澄田くんのなんとまあ可愛いこと!何枚も上手な高井戸さんだけど、澄田くんのことが可愛くて仕方ないのが伝わってきて最高でした。
    いいね
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  • コワモテの隣人がΩだった時の対処法

    ニクヤ乾

    コワモテというより黒髪美人
    ネタバレ
    2025年1月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバースは現実の格差社会(特に男女格差)の再生産のように感じることが多く、進んで読もうとは思わないのですが、性欲が薄く理性的なαと聞いて読んでみました。

    隣人同士である、Ωの匂いに鈍感な体育会系エリートα・晃太と、ヒートの強さに苦しむコワモテなΩ・宮永が惹かれあっていくストーリー。

    晃太のいちいち真面目で律儀な言動が、一周回って面白かったです。αの暴力性に自覚があるのも、ヒート中の気遣いも、何とか理性で抗おうとするのも全部最高です。歯を噛み砕く勢いで欲望に打ち勝とうとするα、本当に栄養価が高い。

    殴った人数分怖い目に遭わされてきたであろう宮永さん、これからは沢山愛されて、安心して幸せに過ごして欲しいです。

    ところでハッピーエンドに水を差して申し訳ないのですが、両想いで匂うということは一方の気持ちが離れた段階で感じ取れなくなるということですよね?
    そうなっても隣に住み続けるかはわからないけど、ヒートのたびに宮永さんの匂いを思い出しては苦しむ晃太を見たくないといえば嘘になる(笑)
    いいね
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  • 新装版 お守りくん

    tacocasi

    魔除け面が何となく怪しい件
    ネタバレ
    2025年1月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 下記3本立てです。

    『横井くんの字事情』
    字にコンプレックスがある横井くんと書道教室の泉先生のラブストーリー。素直な横井くんと惑わせ屋な先生の組み合わせがいい!

    『ペロの言い分』
    飼い主であるきいちの忠犬として生きるペロ(自称)が人間に戻るストーリー。対等な関係と主体性のある人物が好きな私には合わなかったようです。

    『お守りくん』(表題作)
    霊障体質の大野くんとまるでお守りのように守ってくれる小林くんの、ありやなしや恋の予感のストーリー。霊媒行為で勘違いさせるBLあるある。大学生編も見てみたいです。
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  • はじまりはナカから 完全版【R18版】

    みちのくアタミ

    まずは泌尿器科へ
    ネタバレ
    2025年1月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 興味本位で買ったものの、しばらく寝かせてから読みました。

    趣味と実益を兼ねて尿道開発グッズ販売をする糸口の元に、ある日上司の基山から注文が入る。使い方指南という名目で基山の開発にはまる糸口だが、やがて独占欲が芽生えてくというストーリー。

    細かいことが気になって申し訳ないのですが、警察への届出が必要な内容の副業はコンプラ違反にならないんですかね?個人輸入なのか処方薬なのかよくわからない抗生物質を他人に飲ませるのも普通に怖いし、まずは医者を頼ってくれ自然治癒しないんだから…。

    ストーリー自体エロありきで気にする必要はないんですが、尿道炎(自己判断)を繰り返して何か合併症を引き起こすのではと心配の方が勝ちました。体を大切にして欲しいです。
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  • Keep up with me!

    小坂つん

    まーくん…!
    2025年1月14日
    バイト先の先輩で失恋記録を更新し続ける透と、透に片想いするまーくんの話です。

    上気した感じの画風は色っぽいのに、二人の空気は真面目そうで可愛くて良いギャップがありました。
    別作品に約10年後の二人の話が収録されているようなので、ぜひそちらも読んでみます。
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