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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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  • きみ色に汚されたい

    さがのひを

    きみ色は赤
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 水彩が綺麗で表紙買いしました。一巻のみの感想です。

    幼馴染である佐々木桜海と高原映空。両片思いの二人は五年越しに大学で再会。それぞれ後ろめたさを抱え踏み出せずにいたが、衝動に突き動かされ気持ちを確かめ合う王道ストーリー。

    桜海が映空を好きになった理由は理解できますが、映空の方は、泣いている桜海が好きなのか、自分だけを頼る桜海が好きなのか、桜海を泣かせたいのか、傷ついてる桜海に興奮するのか、核となる感情が私の読解力ではわかりませんでした。
    「チカンと同じじゃねーの?」と距離を置くらいなのに寝てる相手にキスするのは不誠実に感じられますし、桜海のキスまではぐっと堪えて欲しかったです。
    衆人環視の中、それも仕事現場での突然のキスは社会常識としてどうなんだという気もしますが、マネージャーが計画通り顔だったので桜海込みでのオファーだったのか?思わぬところからチャンスが舞い込む、さすが大SNS時代。

    汚されたい、ぐちゃぐちゃにされたい、ぐちゃぐちゃに泣かせてやりたい、めちゃくちゃにしたい、と言う割にはさほど…と思ってしまったのですが皆さんどうですか…?
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  • 小林先輩は女の子でシたい

    うり

    鞭が足りてへん鞭が
    ネタバレ
    2025年4月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 催眠術により女の子になったと思い込んでいるバーテンダーの小林が、女の体で男に抱かれてみたいと後輩の高津に迫るところから始まる女体化(?)BLです。中盤までは男女(中身は男男)のセッ久なので、苦手な方はご注意下さい。

    試し読みで、高津の家を訪れた目に光がない小林の姿が妙にツボにはまり購入しました。
    女扱いされたいとか、女に見られたいとか、そう何度も要求するのは酷な気がするというか、セッ久以外の部分で高津に惹かれる小林の心理描写が少ないので、小林にとって都合の良い関係に見えなくもなかったです。何度考えても女の子が好きで女体化してる時は格好良く見えるけど男の時は普通、セッ久は最高というのは高津視点で読むとなかなかつらいものがありました。良好な関係が長く続くと良いなと思います。

    王様プレイでの潜在Mぶりに星+1、描き下ろしのギャグ漫画(でいいんですかね)も面白かったです。
    いいね
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  • 幽霊社員の篠崎さん

    ハロト

    会社のn不思議
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『あした晴れたら、公園で』が良かったのでこちらも読んでみました。

    サラリーマンの吉井と、異動先にいた幽霊社員の篠崎の不思議な出会いの物語。38Pです。本物の幽霊でも面白かったかも?

    穏やかな上司に同僚、理解ある職場、実質的家賃補助があるスペーシアに私も転職し(て二人の行く末も見守り)たい。
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  • 40までにしたい10のこと

    マミタ

    田中ェ…
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 恋人もなく10年以上独りで過ごす主人公・十条雀。恋愛を諦めつつ、ある日思い立ち〈40までにしたいことリスト〉を作る。しかし部下である田中慶司にリストを撮られてしまう。同じくゲイだと言う慶司のペースに巻き込まれていく雀だったが、リストが終わるのが惜しいと、気づいたら恋が走り出していた中年上司と強気な部下のラブストーリー。

    人の心の機微には鈍感なくせに妙なとこで勘が鋭い人っていますよね。趣味仲人気取り、特技下衆の勘繰り、個性無自覚無神経な、もう一人の田中の振る舞いがボディーブローのようにじわじわ効いて、準主役並みの存在感でした(笑)
    なくす努力はできでも完全になくすことはできないのが偏見なのに、偏見がないなどと自負する人間を信用したり打ち明ける訳がない定期、差別は大抵悪意のない人がする定期、過剰にお節介を焼きたがる人間のバウンダリーどうなってる定期…。田中の振り見て我が振り直せ、ですね。

    慶司のこともいまいち信用しきれなかったので、私には合わなかったんだと思います。骨(田中)を断とうと肉(雀)を切るどころか挽肉にしてもうてるやん…と引いたまま読み終えました。甘さと優しさは似て非なるものだと改めて思います。
  • きみは尻尾を隠せない【デジタル特装版】

    榮田m.

    素直が一番
    ネタバレ
    2025年4月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 警察官=実直に描かれている確率が高いの経験則で購入しました。実直かというと微妙なところでしたが、歩み寄りが丁寧で良かったです。

    パトロール中の警察官・此代柊護は、不審な動きをしていた早良椿に声をかける。また話しかけてと連絡先を渡された柊護だったが、早速コンビニで再会。椿に犬のしっぽが生えている幻覚に困惑しながら、成り行き上デートすることに。椿が挙動不審な理由は柊護への片想いだと発覚。辛い記憶から踏み出せない柊護と、ひたむきに伝え続ける椿のラブストーリー。

    木偏に春で椿、冬で柊、綺麗な名前ですよね。椿の花言葉は「控えめな優しさ」、柊は「用心深さ」とのことで(※諸説あり)二人にぴったりで素敵です。

    それにしても、一度かけられた(かかってしまった)呪いはどうしてこうも頑固なのか…かける方は一瞬でもかかった方は一生背負わされてしまう、やりきれないですよ。誰も悪くないので尚更切ないですが、結果的にお互い良きパートナーに巡り会えて良かったです。素直で一途な椿となら安心して一緒にいられるんじゃないでしょうか。
    政府におかれましては注視してないで一刻も早く同性婚を法制化していただいて、元彼さんたちも婚姻関係を結べる日がくることを願ってます。
  • YOUNG GOOD BOYFRIEND

    ダヨオ

    どうだっていいんだよもうそんなのは
    ネタバレ
    2025年3月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ さすがにちょっとこうせめて年齢差何とかならんかったか…と思わずにはいられない前作でしたが、うっかり水沢に感情移入してしまい、高津が水沢のことでちゃんと苦しくなってるか確認してきました。

    案の定、冒頭から「そこ!在学中!校内!」と頭を抱える羽目になり、違反した自分への失望と逸脱への興奮に葛藤が止まらない風紀委員の気持ちで読みました。
    アイドルと付き合っちゃったじゃねーんだわ…むしろアイドル(成人)の方が安心安全まである。

    情けなく手を震わせる高津をもっと苦しめたいという衝動を抑えて読んでいたのに、水沢の〈正解〉を見て叫びそうになりました。ばかは高津だよ…一生びくびくと不安に苛まされながら寿命が延びる思いで生きて欲しい。怖くてどうにかなりそうで呪われたまま水沢のそばで幸せな人生を送って欲しい。

    番外編、35歳と55歳。つまり、45と65、55と75、65と85になっていくということですよ…当然、介護や死別が脳裏に浮かんでくる訳です。不謹慎かつ無配慮な感想で大変申し訳ないのですが、高津を看取る水沢を見たくなってしまった罪をここに懺悔します。アーメン。

    水沢の為に健康に長生きしてね、先生。
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  • 群青ハレーション

    noji

    沢井先輩に可愛がられたい人生だった
    ネタバレ
    2025年3月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。爽やかできらきらで鮮やかな青春に胸がうずうずすること間違いなし!

    その美少年ぶりでバズった「奇跡の一枚」くんこと主人公・丹生蓮。見学に行った写真部で、部長の鷹宮に出迎えられる。見世物にされていた丹生を助けてくれた鷹宮だったが、彼もまた「奇跡の一枚」越しに見ていることにがっかりする丹生。話を聞いてみると、あの一枚を撮った張本人だと言う。一瞬怒りを抱いたものの、写真への純粋な興味や情熱をくすぐられ入部。写真甲子園を目指し切磋琢磨する内に恋心が芽生える、高校生の甘酸っぱくてきらきらした青春ストーリー。

    いや〜青春っていいですね!眩しいよ若人たちが!一生懸命で微笑ましい。不甲斐ないとか悔しいとかの感情すら尊い。全力で青春する若者のなんと健やかなことか。
    それにしても自撮りは気をつけられても他撮りまではな…デジタルネイティブ世代の方がネットリテラシー高そうなんですが実際どうなんでしょう。とりあえず、凸るような性犯罪者は全員逮捕起訴されてどうぞ〜!
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  • 川果町よろづ奇縁譚

    四宮しの

    魂に自我の釘を打つ
    ネタバレ
    2025年3月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。黄泉比良坂的事務所に導かれ、自分という存在に辿り着く…まさに奇縁譚。
    物語に惹き込まれるのはもちろん、何と言っても攻めが実直!実直な攻めでございますよ!優しい(不器用)から優しい(嫉妬深い)に成長した姿があまりにも希望で完結してることに絶望しました。

    鈴島鑑定調査事務所からバイトのスカウトを受けた主人公・平子千佐は、人に「誰かに似てる」と思わせてしまう特技を持つ大学生。社長の鈴島と、鑑定員の魚住とで複雑怪奇な依頼を解決していく中、二つの大きな事件に巻き込まれていきます。

    一件目、取り替えられた壺から出てきたのは、悍ましく切ない秘密、自己同一性の欠片、運命の約束。壺の調査依頼をした天花寺家のぼん、オトヒコとの再会。

    二件目、オトヒコの告白に心が揺らぐ千佐。難儀な宿命が繋ぐ縁。愛に満ちた白昼夢。予見か嫉妬か、愛は時空を超える。自己の統合と受容。
    幽玄で詩的なあの一瞬、何度読み返しても素晴らしい。これからは冬がきて雪が降るたびに、あの日に追いついただろうかと思いを馳せるんだな…。

    社長と魚住の馴れ初めも、艶かしくて悲しくて惹き込まれました。空白の期間にお互いをどう思って生きてきたかを考えるだけで胸がいっぱいになります。
    本人の意思ではなさそうな女装の理由と(厄除けとかだと思いますが)、最大でも4歳差とはいえ、オトヒコが高3の誕生日を迎えてるのかが明言されていれば、より没入できたかなと思いました。しかしオトヒコの年齢は人間年齢でいいんだろうか…現実世界もわからないことだらけだし、異世界のことはわからないままでもいいか。

    胡蝶がみても荘子がみてもどちらも夢には違いない、夢であることを知っていることが大切なんだと感じる作品でした。
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  • かわいいせんせい【コミックス版】

    河飯じろう

    ナラサメ…!
    ネタバレ
    2025年3月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 中高一貫校の剣道部、高等部顧問の爽やか真面目な鮫原先生と、中等部顧問のアンチ武道な飄々とした宮田先生のラブストーリーです。

    鮫原先生が幸せならOKです!なんですが、宮田先生がいまいち信用できず複雑な気持ちで見守っていました。今作品を読んでいて、ゲイだという〈弱み〉を知られた相手に絆されていく展開は好みではないという気づきを得ました。
    絆されるのは仕方ないとして、相手が隠してきた重大なことを揶揄うとか付け込む人を好きになれないというか、そこに卑怯さを感じる融通の利かない読者ですみません…。
    逆に、翻弄する攻めと素直な受けが好きな方にはおすすめだと思います。

    宮田先生の「ずっと一緒」や「絶対別れない」を言いたくない去るもの追わずなスタイルは家庭環境からくるものですかね。ここの心情をもう少し知りたかったです。
    どつかれてこそ強くなる!しばけば良い記録が出る!みたいな精神論という名の暴力は平成に戻してきましょうね〜!

    それにしても奈良山可愛すぎるだろ…宮田先生と正反対のタイプだけど奈良山…奈良山じゃだめでした…?いや奈良山じゃだめか…。
  • あした晴れたら、公園で

    ハロト

    晴れたら、雨でも、また明日
    ネタバレ
    2025年3月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ トランペット愛好家として表紙買いしない訳にはいかないと購入して大正解!

    主人公・東海林敏樹が、息苦しさから逃れようと見つけた公園で、トランペッター・日野春人と出会い、穏やかに恋が始まるストーリー。34Pです。

    自分にとって普通ではない「普通」が絶え間なく押し寄せてくる、誰も悪くないのがわかるから曖昧に笑うしかない、そんな息苦しさに心当たりがある方におすすめしたいです。

    差別や偏見、決めつけや思い込みを完全に0にすることは難しいけど、気づけるように考えること、気づかされたことを反省していくことはできる。視座を高く、視野を広く、視点を柔らかくもって人と関わることの大切さを改めて感じます。

    「じゃあ、また」「また明日」のやり取りのなんと温かいことか。晴れやかでほっとひと息つけるような作品でした。
  • 愛追うふたり

    仁嶋中道

    末永くお幸せに
    ネタバレ
    2025年3月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 母親が若い男と歩いていた噂を聞いた主人公・高砂一樹。友人からママ活の話を聞いたばかりで嫌な想像が駆け巡る中、母親と男がいる場面を目撃してしまう。やめるよう言うはずが、出てきた言葉は「俺ともママ活して下さい!!」だった。謎の男こと住吉圭吾にママ活もといカズ活をするうちに、母親と家族と向き合う勇気を得ていくストーリー。

    ママ活の理由を知りたくて購入しましたが、ママ活する必要あります?と言ったら話が始まらないのは承知の上で…。
    我が子が「私たちと何も変わらない」という当たり前のことに気づく為に、なぜ他人から話を聞かねばならないのか理解に苦しみました。
    当事者の声の中に息子の声が含まれてるんですか?息子の声は「生の声」には含まれなかったんですか?
    性的指向や性自認がなんであれ、カミングアウトしようと思えるほど信頼されたことを喜びましょうよ親なら…と思っていたら、理解や受容どころじゃない差別主義かつ血も涙もない圭吾の親が出てきて途方に暮れました。
    擬似家族愛(親子愛)を味わう為に始めたママ活で食い繋いでるっぽい圭吾の精神的な基盤、心配すぎる…。

    惹かれ合う描写があっさりめに感じたので、いつ家族になりたいと思うほど好きになったのか私にはわかりませんでしたが、これからは高砂家の一員として安心して暮らして欲しいです。
    改めて、家族とは血の繋がりではなく心の繋がりによって成立するものだと思います。

    それはそうと、家族になろうったってさ、同性婚が法制化されなきゃ家族にはなれないじゃん…同居人やパートナーで良いのかもしれないけど、それは法的な家族ではないじゃんって水を差してすみません。
    同じ権利が保障されてるはずなのにね、一樹と圭吾が法的にも社会的にも家族になれる日が一日も早く訪れますように。
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  • 25時、赤坂で 番外編

    夏野寛子

    何でもない日おめでとう
    2025年3月16日
    セール対象だった時に本編のついでに購入しました。仕事したりデートしたり、羽山さんと白崎くんの日常です。

    3巻まで購入しましたが18p-25p-18pなので、満足感は人それぞれになるかと思います。

    本編で可哀想可愛いと思ってた篠田マネージャーが、今回も地味に可哀想可愛いです。受賞スピーチで感謝の意を表されて泣く篠田さん(忘れられて泣く篠田さんも美味い)も見たいし、週刊誌対策に胃を痛める篠田さんも見たい。もはや篠田さん視点で本編を読みたいまである(?)
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  • 25時、赤坂で

    夏野寛子

    演技仕事は大変だ
    ネタバレ
    2025年3月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ セール対象になった話題作はとりあえず読むの精神で5巻まで読みました。夏野先生の作品は『アバウトアラブソング』に続き2作目です。

    人気俳優・羽山麻水主演のドラマ『昼のゆめ』で恋人役に抜擢された、新人俳優・白崎由岐。
    芝居に迷いがある白崎が、役を掴む為、性的指向を確かめる為に足を踏み入れたゲイバーに現れたのは「相手俺じゃダメかな」と囁く羽山だった。
    作品の世界と現実世界を行き来しながら、芝居の為の恋人ごっこから本物の恋人になっていくストーリー。

    結構わかりやすい公私混同ぶりに、いつ週刊誌にすっぱ抜かれるかSNSで暴露されるか怯えながら読んでましたが、今のところ(5巻)大丈夫そうです。野次馬がいない世界、良いことですね。

    恋人役を演じた俳優が実生活でも恋人になる王道ストーリーなのでさらさら〜と読めてしまい、劇中劇『青い海の向こう』の方が印象に残りました。張り詰めた静寂の中に響き渡る青木の台詞だけでも観に行く価値がありそうです。
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  • ピンクのアイツは嫌でも出会う間柄【タテヨミ】

    somae

    王道ちょろいん
    ネタバレ
    2025年3月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 韓国漫画でしばしば見る、90年代少女漫画風の絵ってどうしてこんなに可愛いんや…と気づいたら最終話まで購入していました。フルカラー、毛量多め、肩幅太平洋、股下5m最高です!

    ちょろすぎて可哀想可愛い主人公・衣良と、衣良をおもしれー男認定してちょっかいをかけるゴールデンスプーン・祐介が恋人になるまでのストーリーです。(没入感が損なわれるだけでなく原作者への敬意に欠くジャパナイズやめてくれ…)

    器物損壊(しかも過失)の償いとしての不同意わいせつから突然恋愛感情が芽生えていて置いてけぼりになりましたが、翻弄される内に絆されていく衣良がとにかく可愛いです。ついからかいたくなる気持ちもわかります。

    個人的には、これが正常ですって引かれた線からはみ出たら無条件に不幸だなんて、そりゃ線を決めた側から見たらそうだろうけど、自ら選んで決めたことは全て正常範囲だし幸せを感じるに決まってるんだよな〜と同意したい従兄弟の翔と、3Pしてたアキ兄のスピンオフが読みたいです。

    ところでピンクのアイツと言うくらいだから染めてるものだと思ってたら父親もピンク髪で笑いました。
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  • とろとろ秘湯で恋、はじまる。【単行本版/コミックシーモア限定特典まんが付き】

    南国ばなな

    一旦落ち着こう
    ネタバレ
    2025年3月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 早乙女の目的を知りたかったところ、セールになってたので購入してみました。

    駅で絡んできたイケメン・早乙女臣の提案を受け入れ、失恋傷心旅行のお供として温泉に行くことにした主人公・浅島壱春。
    旨い話のコース料理を堪能していると、旅行中のSNSを見た友人から「一緒にいる男がお前を探し回っていた」と不穏な電話がかかってきて…憎しみに変わった愛を取り戻すストーリー。

    落ち着きのない受けと思い込みの激しい攻めがずっと走り回ってるような印象で、私には合わなかったようです。綺麗な思い出は綺麗なまま封をしておくのもまた一興だと思いました。
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  • 色咲き

    四宮しの

    七色に輝く砂子
    ネタバレ
    2025年3月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 七色それぞれに輝く、ありそうでない、なさそうである世界を覗くような短篇集。

    〈白〉初恋。フェティシズムが先か心が先か、わかるよ庭瀬。
    〈赤〉恩返し。正直の頭に神宿る。
    〈黄〉安心安全を得られなかった人間は黄信号で止まれない。正しさは彼らのブレーキにはなれない。それでも正しさは揺らぐ訳にはいかない。
    〈緑〉神と崇められる悪魔が楽園に堕ちた。差別は人を殺し、自らの首を絞める。そこに愛はない。
    〈青〉人間とアンドロイドの宿命。そうしてさみしさを抱え死ねない君の背中がさみしい。
    〈紫〉ロクデナシで優しい人さらい。子供はさらうな…いや置いていくな…真っ当に守ってくれ…。
    〈灰〉黄信号は止まる、安全に止まれないなら進む。わかったあとの道は広く、新しく、眩しく見える。

    初めて読んだ作家様でしたが、世界観が好みでまた別作品も読んでみたいと思います。
    色づいていることも、色づけられることも、色分けできないことも、混ざり合って別の色になることもあるけれど、それぞれが美しい色だということを考えさせられました。
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  • 生きとし生ける

    長谷川未来

    過去は死なない
    ネタバレ
    2025年3月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「俺はなぜ生きているのか」祖父の遺した手帳に記された叫びが聞こえる。彼の人生を物語にしたいと、舞台である門司港を訪れた小説家の古賀。そこで生き生きと輝く地下アイドルの望に出会う。まるで用意されていたかのように望から繋がる祖父の痕跡。それは、硝煙と血の臭い立ち込める、戦争の記憶だった。

    【1巻】祖父・古賀照久を知る望の曾祖母、照子との出会い。中国に出征した戦友だという照子の父・正太郎と照久。戦争トラウマによる暴力の連鎖。命をもってしても償いきれない侵略行為。見えてる世界見てきた世界が全く違う、標的として逃げ惑うしかなかった本土の女子供と、お国を守る名目で女子供まで虐殺してきた兵士。語れなかった語ろうとしなかったその罪が、握り潰され火をつけられた〈譽〉によって炙り出されるようです。

    【2巻】照久が生まれ育った八幡で知る、敗戦後の暮らし。満州から来たという静子との出会い。行く船も帰る家も家族も失った静子、そして正太郎とで始まる共同生活。鮮やかになっていく記憶に掻き立てられる創作意欲が踏みつけていくものとは。やがて出版された『残照』をきっかけに、静子と対面を果たす古賀が突きつけられた真実とは。
    引き揚げ時(だけではないけど)の性暴力や中絶の水際作戦など、現代に生きる女性なら学習しているであろう歴史知識に乏しく囃し立てる望の母親、知識がありながら小説としての〈面白さ〉を優先したであろう古賀には失望しました。いや、予想はできたので失望するほど期待はしてませんでしたが。負の歴史が教えられない、知られていない、知ろうとしない、知ることができない、認める訳にはいかない社会の歪みに何度失望したらいいのでしょう。
    後世の人間が傲慢にでも踏み込まないと暴けない歴史はあると思います。しかし、その対象は常に加害であって被害には必ず寄り添わなければならないと改めて痛感しました。

    続編、期待しています。
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  • YOUNG BAD EDUCATION

    ダヨオ

    純愛してんじゃねーよ…
    ネタバレ
    2025年3月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。2作品収録されています。表題作が教師が20歳も下の生徒に手を出す話とは知らずに購入し、罪悪感と背徳感に苛まされながらページを捲る指を止められませんでした。ここに懺悔します。

    主人公・高津康作、37歳、高校教師。泥酔したある夜に公園で休んでいると、2年間ずっと目で追ってきた担任する生徒・水沢譲が目の前に現れる。
    欲望を吐き出しながら「俺はどうすればいい」とキスをしたが最後、ふざけんなよなかったことにすんなよしねむかつくぐちゃぐちゃにしたい、と水沢に翻弄される日々が始まる。
    やがて自宅を突き止めた水沢に「すぐに大人になるよ」と引きずり出されていく……。

    年賀状が巳だと思ったら一昔前の作品なんですね、そう思うと20歳差の教師と生徒という題材でも納得(はできないけど未成年者に対する性暴力やグルーミング、教育者の性犯罪に対する社会の目の変化という意味で理解することは)できます。
    でも先生、自分が成人式に出る頃に生まれた子ですよ…更に教え子ときた。好きとか目で追ってしまうとかじゃねーのよ、紛うことなき犯罪、犯罪なんだけど、その罪をきっかけにくすぐられていく水沢の加虐心の方に不覚にもぐっときてしまった。
    どうしよう、反省してますが、先生もちゃんと反省してるか(ボーナストラックにて4年半は怯え続けてることを確認)ばかでどうしようもない先生がどうしようもなく水沢のことで苦しくなってるか、続編で確認してこようと思います。

    もう1作『君はいたずらな火種』宅配業者の中野と作家の山佐の、誘い誘われる話。煙草の煙のようにもわ〜と広がったかと思えばす〜っと消えていくような、熱に浮かされた出来事のような印象でした。
    一人の作家のためだけに用意される本棚、良いですね。想像を掻き立てられます。
    いいね
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  • アバウト ア ラブソング【単行本版】

    夏野寛子

    瓶の蓋を閉める勇気
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ バンドマンとコンビニ店員を掛け持ちする星名みづきと、バイト先の眩しくてかわいい瀬戸佑成が恋人になるまでの5年間の物語。

    たとえ漫画であっても成人と未成年者の恋愛を肯定的に描くことに反対する会代表を自称する身としては、高校生だと発覚した後の理性の働きにほっとする反面、突き離すつもりで消えない残り香を刻みつけていく星名はなんてずるい大人なんだと途方に暮れました。
    会わないと言いながら追いかけ、影響を与えることを恐れながら縛ろうとする、それを自らずるいと予防線まで張られたら、何も言えず忘れられもしない…。

    なし崩し的に攻められるのに弱いらしい瀬戸くん、星名さんを好きになったきっかけも若さゆえに見えてしまうんですよ。親に将来の夢すら言えず相談する前からヤケを起こす高校生、そこに現れる優しく話を聞いて受け止めてくれる色っぽいお兄さんなんてさ…罪な大人だ全く。
    広い世界に出て様々な出会いや経験を重ねてから再会、気持ちを再確認しても充分間に合うほど若いという自覚を若者が持つことは難しいと思うけどそこをなんとか…。

    17歳から22歳。瀬戸くんが望んだとしても、二度とない貴重な青春を待つことに使わせた重みを星名さんは噛み締めて欲しいです。
    瓶の底にきらめく遠い思い出のまま蓋をした方が、私にとっては美しい終わりだと思いました。
  • やたらやらしい深見くん【単行本版特典ペーパー付き】

    松本あやか

    別に失敗とかないんだし
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 自称100点満点のクソナルシスト営業マン、梶。ひょんなことから地味でダサい技術部の深見と一緒に出張することに。眼鏡を外した深見の美形ぶりとやらしさに興奮し、流されるままにセッ久。0点どころか100点の相性だと自信満々の梶に対し「絶対に好きにならないで」とセ友になることを承諾する深見。言葉とは裏腹に心も欲しくなっていく梶と、恋愛はできないという深見の、体から始まる友情(?)物語。

    話題作はとりあえず読もうの精神で2巻まで読みました。深見がアロマンティックと推定しますが、この理解されない感じ、応えられないのに期待されてしまう感じは読んでて心が痛くなります。
    ただ、2巻ラストを見ると完全に無理というよりは、デミロマンティックやグレイロマンティックの方が近いのかもしれません。
    でも、恋愛感情が湧かないと自認する人物が運命の人とやらに出会い恋愛を知る、という展開が好きではないのでそのリスクは回避したい…深見の心中は気になるところですが、私は2巻でご馳走様かな。

    幼稚で傲慢な梶に好感を持てなかったのも大きいです。
    外面ばかり気にして内心では毒づき周囲を見下し人に点数をつける、その高すぎる自尊心は、自己肯定感の低さと背中合わせに見えます。人からの評価に安心し、人を評価することで自分の価値を確かめるというのは、果たして自分に自信のある人間のすることなのか疑問に思います。
    貼り付けたような笑顔で二面性を伺わせる人、信用できなくないです?同じ職場にいたら絶対警戒してしまう。

    セッ久ばかりではなく、対話をして理解を深めながら、お互いにとって良い着地点が見つかることを祈ってます。
  • 先生と、ずっと

    らくたしょうこ

    続・実直な攻めはいいぞ〜!
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『先生と、それから』のピュアカップル、新社会人になり日々成長中の咲翔くんと、じじい度幼児度に拍車がかかりネガティブまっしぐらな佐和田のそれからの続き、ずっとその先を思うストーリー。今作も素晴らしかったです。

    まずスポーツ用品メーカーに就職する堂本咲翔!解釈の一致に乾杯…!らくた先生の天才…!人によっては苦手に思うかもしれないけど、邪な部分がなくて一生懸命で素直で真面目な咲くん、本当に無限に愛せる。咲くんが評価される世の中であれ。

    そして佐和田。なんと古文の先生だったんですね?白衣着てるし化学か生物だとばかり…謎は更に深まりましたが、それもまた佐和田らしさなのでしょう。
    洞察力のある咲くんにはお見通しですが、おじさんは一生虫のいい話に怯えてて欲しい。それでこそ佐和田、私の好きな佐和田。過剰な不安は破滅への道標だと気づき、涙と鼻水でぐずぐずにしながら乗り越える成長ぶりには泣かされました。

    前作の鷹見に続き、またしても厄介な横槍男の登場…(笑)人の話を聞かない思い込みの激しい早とちりな子供のせいで、精神年齢は咲くんの方が上だろうに佐和田に釣り合ってないと悔しがる咲くんが可哀想可愛い…。大人なのは君の方だよ〜!と叫びたい。
    ですがこの一件で、教師としての佐和田の信頼度が上がりました。一生懸命さ故に視野が狭くなりがちな子供に対し、寄り添いながらも無責任に耳心地良いことは言わない、より多くの選択肢を提示し、知見を与えるのが大人の義務だなんて、すごく誠実な先生だと思います。

    真摯に向き合い素直に愛情表現してくれる咲くんに対して、同じく真摯に向き合わなければと、保険もかけず悲観もせず、君が大事で好きで幸せで怖かったと伝えられた佐和田を褒めたい気持ちになりました。
    やはり実直な攻めには実直な受け、これしかない。

    90になっても二人一緒に楽しく健やかに生きるには佐和田は不摂生がすぎるので、今すぐ適度な運動とバランスの良い食生活を実践して下さいね〜!私もじじい編まで読むつもりで、らくた先生のご健康とご活躍を祈りながら健康を意識して生きていきたいと思います。

    それにしても、職場での佐和田先生のポジションが羨ましい…!いやそれで良いのか佐和田令…しかし私も「うっ…!よろろろ…」と色んなことを許されたい(笑)
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  • 先生と、それから

    らくたしょうこ

    実直な攻めはいいぞ〜!
    ネタバレ
    2025年3月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ らくた先生の絵に一目惚れして購入しました。

    掴みどころのなさがいけ好かない教師・佐和田令に事あるごとに突っかかっていた主人公・堂本咲翔。クソガキ扱いしてくる佐和田にイラついていた時に彼がゲイだという噂を聞く。対等になりたくて鎌をかけたはずが、思わぬカミングアウトに寄り添ってくれた佐和田と過ごす時間は増えていき…「迎えに行くから!」と卒業後に押しかけると、経験豊富な大人だと思っていた佐和田は実は童貞で…!?包容力溢れるのびしろしかない年下男によしよしされる、万年うじうじ美人年上のピュアラブストーリー。

    今作品を好きな点その一、咲翔くんが私の理想に近いザ・実直な攻めで素晴らしい。真面目で健気で言葉を惜しまなくて誠実で強い。生活力もある。狡い人間に出し抜かれそうになる真面目あるあるも良い。その狡さにも正面から立ち向かう姿がもっと良い。欲望に打ち勝つほどの実直さが尊くて眩しい。大切にしたい。実直で熱血な若者に幸あれ。

    その二、元教え子(若者)に手を出したことを延々と引きずる佐和田が良い。咲翔くんの前では出さないで欲しいけど、たとえ在学中、成人前に何もなくても、元教師側(おじさん)は一生罪悪感に苛まされるくらいで丁度良いと個人的には思ってます。子供側の気持ちを理解しながら、その好意を利用しなかった、手を出した責任を感じている、それでも末永く一緒にいたいと寂しがったり謝ったり葛藤を隠せない人間臭さが良いです。めんどくせ〜と言いながら5歳児とじじいの相手をしてくれる咲翔くん、キングオブスパダリでは…?むしろ佐和田で良いのか…?いや佐和田だから良いんだよな…。

    佐和田の扱い方をどんどん心得ていく、日々成長中の咲翔くんの広い背中が眩しいです。実直な攻めの良さを噛み締められる一冊でした。
    全方位最低不審男こと鷹見も無事全てを失ってて安心しました。元妻とエリナちゃん、100%幸せになってね!
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  • はいらなくても、いいじゃないか【コミックス版】

    ゆざきさかおみ

    千差万別で手探りの愛すべき普通
    ネタバレ
    2025年3月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 図書室に置いても良いくらい、性教育に相応しいと思う作品でした。性に悩む全てのカップルや、脱童貞マインドへのヒントが散りばめられています。

    映画館で意気投合したヒロとトーマ。映画談義に花を咲かせる内に良い雰囲気になりホテルへ…いざという段階になって穴小のヒロ×棒大のトーマという組み合わせであることが判明。挿入だけがセッ久じゃない!と創意工夫を凝らすヒロに対し、挿入に囚われて不安を膨らませていくトーマはやがてすれ違っていき…。
    「そういうの全部ひっくるめて愛だろうがッ」相手への思いやりに勝る普通って何?我慢しなきゃいけない普通って何?の答えを見つけていく愛の物語。

    私がヒロさんの考えに共鳴しているというだけで、トーマも別に嫌なやつではないんですが、今後関係が揺らいだ時に蒸し返すようなことにならなきゃいいな〜と一抹の不安がよぎってしまいました。
    それができていれば序盤で話が終わってしまうのですが(笑)切れ痔経験ある時点で想像力を働かせよう、受けの方がハイリスクなのに…と残ったままのもやもやで星-1です。

    意思表示をすること、意思を否定しないこと、思いやること、話を聞くこと、話をすること、そのどれもがセッ久はもちろんコミュニケーション全般に欠けてはならないと改めて思います。私も橘先輩の舎弟になりたい…。

    それにしても、ヒロさんの邦画ポスター問題には笑いました。ハ◯キストに喧嘩売るヒロさんの記事読みたすぎる、むしろ既に読んでる可能性まである。KuTooのTシャツ着てるのでジェンダー問題全般に明るそうなところも好感が持てます。ただ、BLはファンタジーだから現実のLGBTQはちょっと…みたいな謎多き方々には受けない内容かもしれません。

    ヒロさんが言うように、切なくなりがちだった一昔前の同性愛作品を観た上でBLを読んでいると、普通に日常を生きて普通に悩んで普通に幸せな普通の同性愛が沢山描かれるようになったことは喜ばしいことだと思います。
    社会通念的にも信仰的にも強固な異性愛規範を打ち崩そうとも、打ち崩せるとも思いませんが、せめて価値観が異なる人間にも人格があり信念があることをそのまま認め、理解できずとも否定することなく尊重し合える社会になって欲しいと切に願う、そんな作品でした。
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  • 悪人の躾け方

    ダヨオ

    BL屈指のパワーカップル
    ネタバレ
    2025年2月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ロンリープレイグラウンド』の悪人こと雨津木が、出入りの清掃業者である針間に躾けられていくスピンオフ。
    ねじ伏せられるバリタチが好みという訳ではなかったのですが、「あんな奴」なんかに開発されていく高慢な人間の姿は何とも言えない良さがありました。

    スピン元通りの悪人というよりは、父からの抑圧、男らしさの押し付けによって歪んでいった人物のように思います。支配という形で愛されてきた(愛ではない)人間に、相手を思いやる温かい愛を注げと言ったって難しいよな〜…と、元妻と雪文の7年間を思うと自分で気づいて欲しかった気もしますが、雨津木の心情は理解できました。

    いまいち理解しきれなかったのは針間の方です。長い間一途に思い続け、人によっては致命的に嫌われそうなやり方をしてまで強引にものにしたいと思う動機にしては弱いと感じてしまいました。運命ってのは他人に理解できないものだろうし、他人の理解を得る必要もないんですけどね。

    開けさせた口に飲みきれなくても注ぎ続けるのは愛なのか、でも途切れることなく注がないと空になってしまう穴の空いたバケツの心にとっては愛なのか、などと考える作品でした。
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  • ロンリープレイグラウンド

    ダヨオ

    尊重なき愛は愛にあらず
    ネタバレ
    2025年2月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。
    中華料理屋のバイト・慧介が、既婚の会社社長・雨津木から離れられない囚われの愛人・雪文を救い出す、解放と自立のストーリー。

    7年か〜…7年に及ぶ不倫…不倫そのものは民事で争ってくれという感じですが、7年間も愛人として公私ともに恩恵に預かってきた雪文の倫理観のなさ、主体性のなさに好感を持てませんでした。
    衣食住や仕事の世話と引き換えに搾取され、逃げたくても逃げられない、逃げようとも思わなくなる状態だったのかもしれませんが、家庭を壊してみたり関係は続けてみたり一貫性のない態度にやきもきさせられました。
    それほど愛情を欲して苦しんでいたのでしょうが…買い与える愛で心は満たされないってことだよ社長さん…!

    それでも、慧介の影響で、自らの足で一歩ずつ動き出していく雪文の姿にはぐっときました。慧介の健やかさ、真っ直ぐさがとても良くて、この手を取れば光ある方へいけると確信できるような眩しさがあります。やはり実直な攻めは良い。

    これからは、誰にも支配されない、自分のことは自分で決めて、自分が選んだ大切な人と、自分の人生を生きていって欲しいですし、改めて主体的に生きることの尊さを思います。

    雪文の心をへし折って名誉毀損までしておきながらみっともなく縋り付く社長さんはリベンジポルノ防止法違反で逮捕起訴されて下さいね〜と思いきや!一枚上手な針間一郎なる出入りの清掃業者が登場してわくわく!こちら二人のスピンオフがあるとのことで楽しみが増えました。
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  • 探偵事務所の飼い主さま【分冊版】ベビーシッター編

    noji

    続編をどうか…!
    ネタバレ
    2025年2月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本編で大好きになったカップル、フミさんと狼くんの左狐探偵事務所物語再び!
    今回は、狼くんの昔馴染みから回ってきた赤ちゃんを預かるという依頼。忠実忠実しくお世話する二人に涙が出る…もうこれ家庭だよ、家族だよ…。生活感の中に散りばめられるこだわりのインテリアも可愛いし、あの空間で二人が共に生活していることが伝わってきて胸がいっぱいになりました。

    フミさんの為に実利的な努力をする狼くん、実直で大好きです。狼くんの逞しさを好ましく思い、独立した個人として尊重しつつもやっぱり気になってしまうフミさんも大好き。軽いキスしかしてませんが満足度は高かったです。でもしっかり見たい気持ちも正直ある(笑)続編でも番外編でも何でもずっと見ていたい二人の事件譚、ぜひシリーズ化を期待しています。

    最後に、狼くんやめいちゃんのような、大人の勝手に巻き込まれる子供が一人でも減りますように。
    また、巻き込まれても親から離れても生きていけるセーフティネットが張り巡らされた社会になりますように。
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  • 探偵事務所の飼い主さま

    noji

    【相棒】(あい-ぼう)約束した男、恋人
    ネタバレ
    2025年2月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ なんと気づけばレビュー100作目!表紙買いしたドタバタ探偵バディもの、すごく好みの作品でした。

    舞台は左狐探偵事務所。気品と色香溢れる元警察の探偵・左狐史佳と、史佳を慕ういかついピンク頭の助手・中村狼。依頼主から引き取ったペットたちに囲まれ、事件を解決したり巻き込まれたりしながら、保護者から相棒、そして恋人へ…サスペンスとしても面白いバディラブ!ぜひ映像化して頂きたい、連ドラ映えしそうな魅力があります。

    狼くんの実直さが素晴らしくて、闇社会が手薬煉引いて待ってる穴の前にいるような環境で育ちながら、持ち前の意思の強さと向上心で真っ直ぐ歩いていく。善悪の判断を間違えない優しさ、強さがある。それら全てを運の良さにまとめる謙虚さに、史佳さんが可愛がりたくなる気持ちがとてもよくわかります。
    賢くて飄々としてるのにちょろくてビビりな史佳さんはもっと可愛い。
    狼くんが好き好き言ってるようで、実は史佳さんの方が狼くんから離れられないような関係も最高…!愛する大型狼に懐かれる美人狐の構図のなんと麗しきことかな…。

    欲を言えば、あんなことやこんなことも恋人同士になってからの攻防も読みたかったのですが(むしろ一番知りたい部分だったのですが笑)続編に期待して良いでしょうか?某警察バディドラマのように長く続く相棒でいて欲しい二人です。
  • 純情でなにが悪い 番外編

    冬縞しぐれ

    いつか見せてよ
    2025年2月26日
    晴れて恋人同士になったはじめと諒太。完璧余裕彼氏の可愛い姿を見る為に奮闘する番外編です。
    諒太のバイトが気になってましたが、学費分は充分稼いでいたようで安心しました。
    弱点に飛びついて守りががら空きになる、はじめの詰めの甘さが本当に可愛い…!
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  • 純情でなにが悪い

    冬縞しぐれ

    純情浪漫!
    ネタバレ
    2025年2月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 理想の初セッ久を実現するべく、プロに頼むことにした篠原はじめ。ところが、指名した諒太ははじめの外見から遊び慣れてると誤解、強引に仕事をしていく。夢を壊され傷心のはじめだったが、なんと大学で諒太に再会。リベンジに別の人を指名するも、何故かやってきたのは諒太だった。リクエスト通りの甘い時間を提供してくれた諒太に感謝するはじめだったが、諒太の方には別の感情が芽生えていて……最悪な印象から始まる王道同級生BL。

    いや〜〜意外にも攻めの方が純情なのが良かったです、生活力があるのも最高。だがしかし!デリで学費を効率的に稼ぐまでは理解するけど、じゃあ尚更真面目に講義受けよう…いや、楽単と目的の講義は分けて考えるタイパ(?)重視勢かもしれない…それもまた自由だけどさ…純情だからって真面目という決めつけは良くないよな…でも学費の為にバイトしてバイトの為に講義で寝ることになって本末転倒にならない…?そうはいっても賄えなきゃ退学だしな…と掘っても仕方ないところを延々と掘ってしまいました(笑)
    キャラクターの背景と、セッ久以外で惹かれ合う心情をもっと詳しく知れたら嬉しかったです。

    一言伝えれば良いことを(その一言が言えないのもわかる)3週間も悶々とこね続けてしまうのも若さ、青春の回り道ですね…。多幸感がぎゅーっと伝わってくる、純情同士の両想いがいかに尊いかを再確認する作品です。
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  • スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-B

    永井三郎

    混乱、衝動、無力、そして受容
    ネタバレ
    2025年2月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ステレオタイプのキャラクターやホモフォビアの描写に「一昔前すぎるだろ!」と思わず突っ込みましたが、本当に一昔前(12年前)の作品で驚きました。バックラッシュに曝されながら進んではいるんだとも、男らしさ女らしさの他に多様性という箱が出現しただけで、本質的には変わってないとも思う2025年から、複雑な気持ちで読みました。
    改めて、バラエティやお笑い番組での同性愛いじりの罪深さを思います。同性愛者をはじめ性的少数者は虐めていい属性なんだと、笑っていい存在なんだと社会に植え付けた罪はとても償いきれるものではありません。あの頃を思うと、なぜ地上波ゴールデンでBLができないとか、BL原作なのにBLを濁すBLドラマとは何事かとかで怒れるのも進んできた故なんだなと思います。(それとこれとは別の話)
    ストーリーは、閉鎖的な地域社会も、幼稚ないじめも、子供を尊重するどころかその主体性を認めようともしない親も、全部最悪。姿をくらまして野放し状態の性暴力教師がもっと最悪。最悪の全部盛りで休み休みじゃないと読めませんでした。三島の気高さと、三島の母親と、夢野の成長だけが救いです。
    鍵を預けてもう二度と開けないであろうパンドラの箱を抱え、自分を押し殺して生きていく桐野を思うと胸が締め付けられました。というか、パンドラの箱なんて悲しいこと言うなよ…大切な自分自身だよ…。
    それもまた彼の選択だと尊重したい気持ちもありますが、自分を偽って生きていくことの苦しみを吐き出せる存在はいるのか、本当の自分を解放できる場はあるのか、心配でなりません。
    桃源郷なんて目指さなくたって、どこでも、好きな場所で、望んだ場所で、自分らしく生きられるのが健全で公正な社会のはずなのに、社会(政府)に個人の性的指向や性自認に口を出す権利はないのに、たったそれだけのことすら実現に向かわない。悔しい。それでも上を向いて前に向かって進んでいくしかないのでしょう。その強さを三島が教えてくれました。
  • 昨日をもう一度

    らくたしょうこ

    幻想を打ち砕く
    ネタバレ
    2025年2月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いなのに、辛口になってしまい心苦しいのですがお許し下さい…。

    高校時代に目撃した、現在の同僚である女性教師・静川と同級生・神藤のキスに囚われ、遂には母校で教鞭を取るまでになった主人公・高森。ある日訪れた居酒屋で神藤と再会する。夜の校舎に入りたいと言う神藤に導かれ、時間が止まったままの社会科準備室で、お互い誰かを重ねたキスをする二人だった……自ら止めた時計の針を再び動かしていくストーリーです。

    まず、大前提として「最低のこと」をさせたのは生徒である神藤ではなく、教師の静川です。静川個人の感情がどうであれ、法的にも倫理的にも絶対に跳ね除けるべきでした。まあそれを言ってしまうと多くの物語は始まる前に終わってしまうのですが(笑)
    職業倫理を守るどころか平気で破っておきながら罪の意識もなく同じ学校で教師を続ける静川の存在に引っかかって、ストーリーに集中できませんでした。
    内心で何を考えようが自由ですが、高森のように〈何もできない〉が当たり前で、生徒側(未成年)がいくら勘違いしようが、教師側(成人)からは絶対に破っちゃいけないという規範意識はもちろん、子供を傷つけた事実すら無かったことにする、そんな教師の為に貴重な時間を費やして残るのは後悔だけですから。(私怨で言ってる訳ではありません)
    たかが漫画、されど漫画ですよ…せめて静川に何らかの制裁が欲しかったです。
    教師(成人)にとっては薄れゆく記憶の一片でしかないのに、生徒(未成年)にとっては忘れられない傷になってしまうこの不均衡…これが美しい過去に見えますか?
    ただ、合意の上の関係で、一度招き入れたとはいえ自宅に押しかけられ、無理矢理何かされた静川は静川で、なかったことにしないと前に進めなかったとも思うので、あえて忘れたことにしたのかもしれません。真相は静川のみぞ知る。

    ……漫画に遵法精神を持ち込むことをやめられない一読者の愚痴になってしまいましたが、偶像に理想を投影してわかった気になるな、目の前の生身の人間に向き合え、という趣旨には共感しました。
    気楽になったり、こんがらがったり、時計を止めたり進めたりしながら、過去を受容していく、人生はそうやって動いていく、ということを思いました。
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  • レンタルタマちゃん

    らくたしょうこ

    現実ェ…
    ネタバレ
    2025年2月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みもせず、作家様買いしました。以下辛口になります、すみません。
    逼迫する財政、過疎化、人手不足、地域格差、公共事業の民営化、形骸化した社会保障…と、冒頭から現代日本社会の問題てんこもりで暗澹たる気持ちになりました。
    自己責任論を窘めつつ、市民を見捨てられないお役人・矢澤と猫レンタルでやってきたタマの巡り合わせの物語です。

    舞台である〝社会保障制度を手放してしばらく経った国〟という設定があまりにも…あまりにもシビアだし、そう遠くない未来だし、そっちに気を取られて無駄に落ち込みました。
    国が堂々と〈棄民〉する世界線…皆さん民意を示さなかったんですかね?金のない人間、金のない自治体は見捨てられて当然だと?まさか社会保障と引き換えに手取り増(幻想)でも選んだんですか?自ら人権を放棄することを選んだんですか?
    …と、この世界の政治、市民社会の方が気になって話が入ってきません。(現実社会だって今作品世界の前段階にいるようなものなのでそこまで驚くことでもないのですが。)

    タマの境遇も悲惨すぎて、BL以前に、削られた福祉の犠牲者感があるんですよ。食べていく為に違法な仕事に手を染めざるを得ないような厳しさがある。
    終わり自治体に救いがある訳でもないところが更に厳しくて、社会を、民主主義を諦めた今作品の腑抜けた市民に怒りすら感じます。

    ディストピアに近い世界に生きているとディストピア作品は楽しめないんだな〜と改めて思いました。
    社会保障や公共事業は一度手放したら二度と市民の手には戻らないことを肝に銘じるべきだと痛感します。
    BL要素も少なく、社会派と呼ぶには中途半端で、猫である必要すら正直わからない。首長選びの大切さを感じるのみでした。
  • 蝶と花の関係性【電子限定特典付き】

    akabeko

    犬〜!
    ネタバレ
    2025年2月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 潜在ドMの花田咲太郎が、会社の先輩である蝶野一片と出会い才能を開花させ、蝶野もまたドSの花を開かせるストーリーで表題作。

    SMと聞いて購入しましたが、個人的に受け入れ難い設定の一つ〈性虐 待を上書きするようなセッ久(エロ)〉があり、純粋な気持ちでは楽しめませんでした。
    たとえ漫画であろうと、子供を性的に搾取し、トラウマを刻み込む邪悪な大人たちへの怒りが上回ってしまって精神的にBLどころではなくなってしまうんですよ…。

    社内をはじめ公共の場で本番までするのも受け入れ難かったです。良識的に振る舞ってこそ楽しめるSMだと思いませんか?いつでもどこでも欲の赴くままはただの非常識です。それでも、SM自体は割と好みでした。嘔吐描写があるので、苦手な方は注意です。

    トラウマの影響を無視できない性的嗜好が天性と言われると微妙な気もしますが、お互いぴったりの相手に出会えて良かったです。

    「ハウス」からの「わん♡わん♡」に+1で星3にしました。他2作品収録されています。
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  • お巡りさん、また明日【コミックス版】

    池尻モジオ

    着痩せでも隠しきれない肩幅太平洋
    ネタバレ
    2025年2月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ お祭りの警護にきたザ・お巡りさんこと武田陽人は、倒れてきたステージの下敷きになりそうなところを、民間警備会社の長尾朔良に助けられる。
    その頼もしさを好きだと言う武田を「ケーサツは嫌いだ」と突っぱねた長尾だったが、言葉とは裏腹にその優しさにときめきを止められなくなっていき…というストーリー。

    筋骨隆々警官BLを期待しましたが、絵の雰囲気がアメコミっぽくて私には合わなかったようです。Boom!とかOops!とか出てきてもそのまま読めると思いました。
    ホモソ文化を煮詰めて塊にしたような組織の中で、好奇の目や侮蔑的な眼差しに晒されながら、自分を偽ることに耐えきれなくなる長尾の心中は察するに余りありますが、それを理由に別の警察官への八つ当たり、試し行為と言う名の不同意わいせつはな〜…。
    ホテルに連れ込んで以来一気に距離を縮めてくるのも苦手でした。私は同意を得ながら徐々に関係を築いていく方が好みなんだと改めて気づかされます。

    武田がとにかくお人好しなので、どうしても強引に押し切られた印象を抱いてしまい、冒頭の丸井誠也(武田の後輩)状態で読んでました。長尾の前で弱さを晒け出して、それもまた自分なんだと受け入れて、様々な抑圧から解放されて欲しいです。
    ヘラクレスばりの体格の良さに+1で星3にしました。
  • 新装版 うしみつどきどき古書店譚

    tacocasi

    家庭円満、商売繁昌!
    ネタバレ
    2025年2月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『新装版お守りくん』に続き、tacocasi先生作品2作目です。
    大学院生の小宮くんと、下宿先の大家で古書店店主の〈君とならどこまでも〉なファンタジーBL。

    常世と隠世との境目のような世界で繰り広げられる、神様たちとの軽妙なやりとりが面白かったです。
    健気で真面目な小宮くんと、度量が大きくて飄々とした陽蔵さん(ニシさま)カップルが可愛すぎる…!
    今生の別れも覚悟しましたが、とんとん拍子に解決して良かったです。八百万もいれば柔軟に対応できるんやね。
    長い間心を砕くことが多かったであろうニシさま、これからは幸せで健康に過ごして欲しいです。

    ところで、応援書店特典を見て、陽蔵さんの暮らしぶりが理想すぎて嫉妬心が芽生えました(笑)実質在宅勤務かつ週休2日の実働6時間で、借金返済しながらも多少余裕のある生活できてるのが普通に羨ましくて、なりたいBLキャラランキング暫定1位です。
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  • 君に降る言の葉は【単行本版】【シーモア限定特典付き】

    イズミハルカ

    君しかいない雪の校庭
    ネタバレ
    2025年2月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家・円城桜とその著書『雪の果て』に救われた小松日向と、クラスメイトであり、円城桜として執筆活動をしていた五十嵐雪人の、次回作の為の恋人ごっこから始まるラブストーリー。

    思ったことを口にできる小松くんと、書く言葉は雄弁でも話す言葉は少ない五十嵐くんの、お互い得意な分野で相手を想うところが良かったです。
    正しさよりも〈空気〉が優先される集団、保身や利己の為なら平気で人に罪をなすりつける低劣野郎に立ち向かった小松くん偉い(泣)なのにバカだの失敗だの卑下しちゃって可哀想に…「もっといいやり方」を考えるのは大人の仕事なのに、教師は一体何をしていたんでしょう。五十嵐くんが小松くんの反省を否定してくれて安心しました。真面目さを抑圧する必要なんてない。
    そんな良い関係の二人ですが、友愛から性愛に変わる心情をもう少し知りたかったです。

    それにしても二年越しのラブレター…読まれないかもしれないのに読むことを期待して書かれる手紙(小説)って、どうしてこんなにぐっとくるんでしょうか。小松くんの中で思い出になってなくて良かったです。

    人と接することが億劫で誰も寄せ付けずにいたいのに、愛することは心臓を差し出すようだと恐れながらも、大切な人と分かち合いたいと思うのがまさに思春期という感じがして、何だか叫び出したい衝動に駆られました。
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  • 真夜中の俺を見て【単行本版】

    Luria

    人気商売は大変だ
    ネタバレ
    2025年2月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ Vtuberのまひる(菅原真夜)とマネージャーの荻野が公私共にパートナーになっていくストーリー。
    残念ながら私には合わなかったようです。面倒見のいい兄さんが最高というだけで、特に世話焼きが好きな訳ではないという気づきがありました。
    ところで荻野さんが使ってるゴムってリトマス紙製なんですか…?それともゴム越しに腸液を感知できる特殊能力持ちなんですか…?とにかく、荻野さんは真夜くんの腸管をメンタルと同等かそれ以上に労ってあげて欲しいです。
  • キラキラしても、しなくても 分冊版

    小池定路

    これぞ青春、これぞ成長痛
    ネタバレ
    2025年2月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ キラキラしても、しなくても、どれもが輝いて見える青春群像劇。もがきながら成長していく思春期の甘酸っぱさ、ほろ苦さを存分に味わえます。若者たちの未来にエールを送らずにはいられない個人的ベストオブ学園BL。以下長文失礼します。

    【けいたとゆうき】寄り添いから自信に、自信から期待に、期待から生まれるキラキラした恋。老成されてる慶太先輩が良い。素直になるって良い。
    【しゅうとあまね】表紙の二人。第二次性徴をとりまく好意と好奇。しゅうちゃんがモテないは嘘、こういう子は社会人になってから爆モテする。あまねの公正な思いやりは、しゅうちゃんと父親譲りだろうな。兄さんだからしっかりしないとと気持ちに蓋をする年上に、先に一歩踏み出すのはいつもそばにくっついていた年下という最高の構図で締め括る、素晴らしい結末。本当の家族になれる日が一日でも早く訪れますように。
    【あおととあけお】ゲイとヘテロの双子。最低な提案の裏にあった優しさ。朱生が人に好かれる理由がよくわかる。お人好しで時々間違うけど、人の心に対して真摯に向き合ってる。もちろん蒼人も。
    【まこととしずか】大切な人の大切な人をだしにした罪は重い。佐竹先輩の実直さを舐めるなよ。君、内容によっては名誉毀損罪に触れてるからな、もっと反省しなさい。
    【せたとなかのとたかでら】話をして痛みを分かち合って受容していく。寄り添う心をきちんと言葉にして、かけがえのない友人になるであろう世田と高寺に泣かされた。一番好きなストーリー。
    【あおととまこと】不自由で息苦しくてもインターネットを警戒してくれてありがとう。蒼人と静の実直さ、勘の良さに助けられる。人生の時間の分かち合いにも、卑怯者にも性別は関係ない。「動くんだ」
    【しずかとひろき】誠実な兄妹。誠実なカップル。誠実に向き合うことができたら、それが伝われば、許されれば、やり直せる。

    全編を通して、寄り添いと分かち合いが描かれていたのがとても良かったです。弱音を吐くな、強くあれと言われがちな男性社会の中では難しいであろう、弱さや複雑な胸の内を打ち明けられる、それを馬鹿にせず耳を傾け受け止めようとする、そんな思いやりと実直さがどの人物からも感じられて、胸がいっぱいになりました。

    富と権力を手にして、原作に忠実かつ演技力重視のオーディションを経て実写ドラマ(全23話)にしたいという欲望を抑えきれない…!
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  • あした虹がでなくても

    きはら記子

    自我アイデンティティ
    ネタバレ
    2025年2月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで続きが気になり購入しました。
    トークアプリで偶然繋がった、ドラァグクイーンとしてステージにも立つゲイバーの店員ホイップと、不眠症のサラリーマン植木が恋人になるまでのストーリー。

    恋のときめきというより、マイクロアグレッションを受けるしんどさがぐっさり刺さってしまいました。
    言葉の選択を悉く間違えていくな…悪気はないし普通はそんなもんか…いやでも思いやりがあれば…と期待と落胆を交互に巡らせていましたが、間違いだと気づく・傷つけたと謝れるだけでも充分凄いのかもしれません。
    湘吾(バーの常連客の恋人でノンケ)にしたような相談を、当事者に聞かない程度には植木さんに思慮分別があって良かったです。言いたいことを代弁してくれた湘吾くん、世田さんと末永くお幸せに。

    ところで面接でカミングアウトした学生さんは結局どうなったんですか…?自分らしく働けそうな会社から内定を貰えているといいのですが。
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  • 恋するサディスティックサービス【電子限定漫画付き】

    渡辺馨

    恋>>>サディスティックサービス
    ネタバレ
    2025年2月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ Sの振りばかりが上手くなる自称Mであるバンドマンのすばるが、ある日連れて行かれたバーのオーナーにMだと見抜かれ、ずぶずぶとはまっていくストーリー。
    すばるくんが想像していたようなSMではなかったので拍子抜けと言ってはなんですが、言葉責め以外も見たかったです。首絞めも事後ですし。というか、すばるくんの脳内イメージの方を期待してしまいました…。
    痛そうとか危険な描写はほぼないので、SMに抵抗がある方でも読みやすいかと思います。
    いいね
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  • 君と夢見るエンドロール

    呼吸のしやすさ、それ即ち生きやすさなり
    ネタバレ
    2025年2月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 淵先生の他作品が素晴らしかったので、こちらも読んでみました。

    青春に学問に奮闘せんと上京した学部一年の梨木学は、般教で取った映画論の講師で院生の赤澤満と出会う。映画をきっかけに満に懐くが、自分の中に独占欲や嫉妬心が芽生えていることに気づく学。そんな学の瑞々しい感性に、満もまた心惹かれていく。ノンケしか好きになれないゲイの満と、純真無垢な学が、お互いの生きやすさを見つけていくラブストーリー。

    大学という場から吸収できるもの全てを吸収しようとする学くんの意欲的な姿勢が素晴らしい。私も学くんくらい最大限コマ取ってみっちり頑張れば良かった〜と後悔に頭抱えました(笑)農学部で勉学に励む碧くんと、遠距離から碧くんを想う郷くんが見られたのも嬉しかった。

    淵先生の作品に出てくるホモソ文化から遠い男性って興味深いんですよね、碧くんも学くんも文くんも。周囲に染まれず染まらず自分らしい道を見つける強さに尊敬の念を抱きます。
    そして、恋愛対象と性愛対象にずれがある満さん。その絶望、その腹立たしさに強く共感しました。市場は異性愛基準ですからね〜…。

    傷と矛盾と経験とみっともなさと、複雑な感情が渦巻いて動けない満さんを包み込むのが、恋愛初心者も初心者で邪なところが一切ない学くんというのも良い。
    「生きづらさに巻き込んでごめん」の答えが「生きやすくなったよ」、こんなに救われるような愛の告白ってあります?いやない。改めて淵先生の言葉の選択と感性が大好きです。

    エンドロールが終わっても、すぐに次の上映が始まるように、長く続く二人でいて欲しいです。

    (読み放題にて)
  • 三夜前線【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    鰺坂こうや

    何夜でも見たい
    ネタバレ
    2025年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 三作品収録されています。どれも絵がすっきりと綺麗で好みでした。

    『三夜前線』営業トップの真塩さんの、経理の吉野くんへの片想いが実る社内BLで、表題作です。他人が必要そうに見えない完璧な真塩さんが、色んな愛おしさを込めて吉野くんをずぶずぶと可愛がってるのが可愛い。

    『佐藤くんと佐藤さん』以前読み放題で読んだことがあるのでレビューは割愛します。一日も早く同性婚と選択的夫婦別姓が認められますように。

    『明日のこと』高校時代、友人と呼ぶにはあまりに濃密な時間を過ごしていた圭都と界人が、数年の時を経て、暮らしを共にしていくストーリー。短編なので難しいとは思いますが、仕事の背景や心情描写がもう少しあると良いなと思いました。

    (読み放題にて)
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  • 猫かわいがりたいっ!【電子限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】

    山田シマコ

    猫に学ぶ素直な心
    2025年2月10日
    猫と聞いて読んでみたら、思いの外可愛くて猫吸い一回分の効果が得られました。

    2作収録されており、1作目は猫カフェの店長・金子と常連客の大神の社会人BLで表題作です。大神さんが猫ちゃんに嫌われる理由がよくわかります(笑)猫ちゃんとも金子くんとも上手くいって良かった。

    もう1作の『おはようマイダーリン』が好みの作品で、ぜひ続編か前日譚を読んでみたいと思いました。同棲中のカップル、学部2年の天馬と院生の理人の、賢者の贈り物的な物語。わかりやすい天馬と勘が鋭い先輩だから、変に拗れることがなくただ微笑ましかったです。
    明朗快活でおせおせな年下よりも、硬派で落ち着いた年上の方が内心余裕ないのってどうしてこんなにグッとくるんだろう……。

    (読み放題にて)
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  • 思春期エトセトラ【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    もちの米

    聖域のようなもんではなく聖域
    ネタバレ
    2025年2月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『思春期エトセトラ』親友同士の龍吉と乙哉の、妄想と現実の境界線を越えたり越えなかったりする青春ラブストーリーで、表題作です。
    両想いかつ乙哉の心が広いおかげで青春的にも社会的にも龍吉が救われます。引き続き現実と妄想の区別を死守して欲しい。

    『センチメンタルドレスコード』可愛いものを愛するゆうくんと、主体性が曖昧な歯科医の先生の話で収録作です。
    未成年と成人の恋愛(仮)は合意の上でも犯罪です。30過ぎて罪の意識どころか何なら善行くらいに考えてそうな攻めのことを、最後まで受け入れられませんでした。体を売ろうとしている未成年なんて明らかに保護の対象なのに(中には保護されたくない子たちもいるのでしょうが)お礼や好意という形で結果的に買ってますよね。
    洋服を買う、歯の治療をする、メイクをする、ここで終わりのあしながおじさんでいるべきでした。
    慕ってくれる相手、それも子供に対して「土足でええらしい」「汚してもかまへん」これらの発想が出ることに闇を感じますし、それが「俺の愛情表現っておかしいんかなぁ」に繋がっているように思います。
    可愛いものを愛する気持ち、可愛いくなりたい気持ちを肯定して尊重してくれる点においてはいい大人だけど、未成年に性行為(性的接触)を求めた瞬間悪い大人になるということに気づくには、17歳はあまりに子供です。
    でも幸せならOKです!と言いたいところですが、たとえ漫画作品でも、法的にも個人的な倫理観としてもOKではないので辛口評価になって申し訳ないです。

    (読み放題にて)
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  • 俺の部下がエロい妄想をやめてくれない【シーモア限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    背筋

    喧嘩したらどうなるんだろう?
    ネタバレ
    2025年2月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 他人の思考を覗ける超能力を持つ主人公・狭山。会議で聞きそびれたことを確認しようと、隣にいた後輩・金子の頭の中を覗いてみると、そこにはSMプレイの世界が広がっていた…って相手俺!?と動揺する狭山の、サラリーマンサイキックラブ。

    思考を覗いて意識しちゃう狭山さんも、超能力を知ってすぐに受け入れる金子くんも、どちらも順応性が高くてすいすい〜っと結ばれます。思考を読む・読まれる前提のコミュニケーションでは、裏腹な態度を取ってしまってのすれ違いとかは起きなさそうでちょっと羨ましい(笑)

    覗こうとしなくても思考が直接流れてくるのか、覗かない限り認識できないのかわかりませんでしたが、脳内で反応を伺う金子くんに言葉で返す狭山さんが色っぽくて可愛かったです。でも社内ではやめて下さいね〜!

    (読み放題にて)
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  • Don’t talk to me

    ぞう工場

    ヤマダクンさん…!
    ネタバレ
    2025年2月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 実直な攻めも実直な受けもどちらも素晴らしい、芯の通った人間は最高、真面目ど真ん中最高、ぞう工場先生の絵も好みで最高、最高に囲まれて幸せな読後感に包まれています。

    出会い系のマッチング相手が嫌いな同僚・瀧宮だった主人公・山田。逃げるみたいで嫌だとセッ久するが「相性がいい」「仲良くなりたい」と近づいてくる瀧宮。その誘いに最初こそ抵抗したものの、距離が縮まるにつれ、お互い待ち焦がれていた相手だと知るサラリーマンラブです。

    偏見や差別、元彼からの酷い扱いで臆病にならざるを得なかった山田ですが、気弱な訳ではなく、むしろ芯が通ってて意思を言葉にできる強さがあるのが眩しくて尊い。そんな山田を数年間にわたり想い続ける瀧宮の審美眼よ…!瀧宮も真面目で信頼の置ける人なのが、社会人BLとして素晴らしかったです。つれない態度にもめげずに思いやり深く山田を包み込んでくれる瀧宮の愛に涙が出る…。
    山田よ、過去を思い出せないくらい瀧宮と幸せな日々を過ごしてくれよな!

    バーの場面、朝食の場面は、私が今まで読んだBLの中でも屈指の名シーンになりました。受け入れた後は変に意地を張らず素直に気持ちを伝えられるのも、真面目な大人らしくて良かったです。
    同性婚が法制化されていれば、二人は結婚を選べたんだろうなと思うと本当にもどかしい…婚姻の平等が一日でも早く実現されることを願っています。

    (読み放題にて)
  • たまにきずあと【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    汐見ろせ

    きずあとを愛で覆う
    ネタバレ
    2025年2月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 高森側の人間なので倫理フィルター越しに自戒しながら読みました。実直な攻めは良い定期も発動。

    ある日廊下ですれ違った同級生・八城の腕にある大きなケロイドに目を奪われた高森。その眼差しに何かを感じ取った八城から歯が折れるほどの重い拳を食らってしまう。以来八城を避けていたが、ひょんなことから勉強を教わる仲になり、あの日の理由を聞くこととなり……というフェティシズムから始まるラブストーリー。

    あの、殴って歯を折るって傷害の中でも重い罪ですよね?廊下でぶつかり謝る相手を殴ったら歯が折れたという事実だけを見れば、何かしらの処分がなされて当然なのに、何もしない学校と率先して差別的な冷やかしをする教師に冒頭からげんなりしました。殴った本人も大した罪とは思ってなさそうですし、高森が怒らなくても高森の親は怒っていいと思うのですが…。

    ケロイドフェチかつ猛獣が懐いた感覚で高森が八城を好きになる理由はわかりますが、八城はいつ高森に恋愛感情を抱いたんだろう?
    八城が高森に求めたあの行動は、被害の上書きというか、私にはトラウマの再演のようにも見えて、恋愛感情から生じてるのか判断がつかなかったです。殴った日から抱かれてもいいと思うまでの心情を深く知りたかったですが、私の読解力の問題かもしれません。それはそうと性犯罪者許すまじ…!子供にトラウマなんぞ植え付けて…!もちろん大人相手でもだめです。

    真面目な指摘ばかりしてしまいましたが、百獣の王マインドの猫を可愛がる大型犬の組み合わせは可愛い。理性で己の欲望を抑え込もうとする高森と、フェティシズムを逆手に取って永遠に尻に敷く八城のこれからも見ていたいです。
    星3かなと思いましたが、フェティシズムと続編への期待を込めて4にします。

    収録作『おはようおねぼうさん』幼馴染であり恋人の知哉と豊の、起こしたいと起きられないを巡るストーリー。某鉄道会社のベッドに置く形の目覚ましがいいらしいですよ〜!

    (読み放題にて)
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  • 晴れない世界で君だけ見える

    三日ミタ

    ビー玉見るたび胸が苦しくなるやないか
    ネタバレ
    2025年2月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで続きが気になり購入しました。
    顔にノイズが入って認識できず人との関わりを避ける鳥住悠陽と、鳥住が唯一顔を認識できる兎川壱月の相互救済ストーリーです。

    過去が、過去がさ…個人的にこの世で許せないもののてんこ盛りで正直ラブどころではありません。もっと早く虐 待に気づいていたら、周囲の大人が窘めていれば、医療や福祉に繋げていれば…と怒りと悲しみでいっぱいでした。
    PTSDとしての相貌失認(仮)と人格形成を歪めた責任はゲ口くらいじゃ取れないのよ、そもそも人の人生を狂わせた責任は取ることができないんだから、一生会わない努力くらいは果たしなさいと思いますね。

    加害者は加害者で親の言動を真似してるであろうことを思うと、暗澹たる気持ちになります。親の写し鏡とはまさにこのこと、大人の噂話からいじめが発生したりもしますからね…倫理を教えられる大人でありたいものです。

    兎川母のその後や、町を去った兎川さんがどう生きてきたのかまではわかりませんでしたが、手に職をつけ同僚やお客さんに慕われる兎川さんのこれまでの歩みを思うと涙が出ます。どんなに暗い過去があっても、光ある方へ歩んでいけるのが強さであり、希望なんだと改めて思いました。
  • 弱気なきみと永いしあわせ

    木丈ですく

    ポラリス(隠喩)万能説
    ネタバレ
    2025年1月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 同性が好きかもしれないとセッ久サークルポラリスに申し込んだ大学生の諒。いざ行ってみて怖気づいてるところを「二度と来るなよ」と連れ出したのはいつかカフェで見かけたイケメンだった。その後大学でイケメンと再会、別学科の慎士先輩だと知る。お礼だけじゃなくて先輩と何かになりたい…弟?違う、恋人…?というストーリー。

    運命的な出来事の連続、全員善人、すれ違いの芽はすれ違う前に詰むスタイル(大事)で、ノーストレス!たまにはあっさりしたものが食べたいという時に読みたいBLでした。

    慎士先輩の何やら重そうな過去がさらさら〜と流れていき、ポラリスの存在は浮いてるような気もしますが、大好物である兄弟分BLを一口味わえたので満足してしまいました。どちらが良い悪いという話ではありませんが、素直な年下ほど勇気があるところにもぐっときました。
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  • 巣箱の王子様

    秋平しろ

    社会が考える幸せ≠個人の幸せ
    ネタバレ
    2025年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 細いペンですっきり描いたような美形が好きなので購入してみました。
    同性愛者という秘密を持つ青柳と、青柳がおとぎの国の王子様と憧れる浅桐部長の相互救済ストーリーです。

    ゴミ屋敷のドキュメンタリーを見て、心の空洞を埋める為に溜め込まざるを得ない人々がいるんだなと思ったことを思い出しました。
    だらしないと責める人もいるだろうに、部長を慮れる青柳、推せる…!と思ったのですが、親孝行の為に結婚と孫の誕生まで視野に入れていることが判明して真顔になりました。そんな人身御供みたいな真似に無頓着なやつだとは思わなかったぜ…。真面目で優しくて可愛いんですけどね、女性は男性を一人前にする為の存在ではありませんからね。
    結婚と出産を経て初めて一人前として認められるような社会からの無言の圧力という背景は、部長の秘密の本丸にも共通するように思います。
    現代人は生産性と少子化対策の為だけに存在する訳じゃないのに、ロマンティックラブイデオロギーから外れた人間の居場所は用意されない世界なんだよな〜と遠い目になりました。

    一緒に過ごす中で部長の気持ちも段々青柳に傾いていき、お酒の力でセッ久には至るのですが、そこからのすれ違いがもどかしくてもどかしくて…。
    でも着地点からは男らしさという呪いからの解放を感じられたので、晴れやかな読了感がありました。お互いがお互いの居場所になるという結末に救われます。
    自分の幸せが誰かの幸せでもある人生が最良だと誰もが言える社会が良いなと思う作品でした。

    最後に一点だけ。山田部長、それはカミングアウトの強要に当たるのでは?いい人なんですけどね、いい人なんだけど…。
  • 辻英司は恋をしない【単行本版/コミックシーモア限定特典まんが付き】

    rasu

    職場ではほどほどに
    ネタバレ
    2025年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『三森さんのやらしいおくち』のスピンオフ、辻さんと朝野くんの物語です。
    ちょっと最初に突っ込んで良いですか?いくら興奮してても職場ではだめですよ!全方位に危険!スピン元は診察室、こちらでは会議室にエレベーターに…いやいや法令遵守でお願いしますね!

    辻さんに意地悪な印象があったせいか、三森さんへの未練でぐだぐだな状態のまま、三森さんをダシに朝野くんを試すような行為に好感が持てませんでした。それくらい自分の意思で確かめようよ…。朝野くんが一途なので余計そう感じてしまうんですかね、でも辻さんの心の中では朝野くんの存在が大きくなっていく。惚れたもん勝ち?絆されたら負け?いや勝ち負けじゃないか恋愛は。
    恋人になってからは可愛いが止まらない辻さん、朝野くんが我慢してきた倍可愛がって欲しいです。
    気持ちを飲み込んできた分ちゃんと意思を伝え合おうとする姿勢は素敵でした。
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  • 雪の妖精

    芹澤知

    映像として再生される情景
    ネタバレ
    2025年1月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 雪深い北海道の地で出会った、動物写真家の成美輝一と地元の農家の穂村春樹の、雪解けの春のように心温まるストーリー。

    厳しい冬を乗り越えるように、それぞれの孤独や寂しさを埋めていく姿にじーんとしました。その地に根付く農家と、世界を飛び回る動物写真家という対極にいる二人が、「おかえり」と「ただいま」でしっかり繋がってるというのも素敵です。

    性的指向については、雄同士のつがいの件とテントでの独白で仄めかされてるようにも読めますが、個人的にはもう少し詳しく知りたかったです。葛藤が欲しい訳でも表明して欲しい訳でもないのですが、少女漫画の眼鏡をかけてBLを読んでる感覚でした。(伝われ…!)

    全体的に静謐な雰囲気が良く、映像化したら更に綺麗だろうなと思います。
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  • 恋もプレイも初心者ですが【電子限定おまけ付き】

    黒田くろた

    勉強熱心で大変よろしい
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙買いです、りぼん可愛すぎる…!

    毎回目立つ変装で美少年のSMモノを借りていく客が気になるアダルトショップの店員翠は、ある日その客が同じ大学に通う斗亜だと気づく。斗亜からSM願望を聞かされた翠は軽い気持ちでSをやると提案し、見様見真似でやってみることに。プレイを通して淡白で無愛想だった翠の心境に変化が表れていくストーリーです。

    SMをきっかけにした王道ラブで、作家様が仰る通りSMっぽくないSMだからか、全体的にほのぼのしてます。
    おせっかい保護者会の皆もいい子たちだし、本人たちも割とすんなり恋人になれるので初心者の読者も安心して読めるかと思います。しかし、初心者と言われると上級者編まで見たくなるのが世の常…。見守りたい、その成長…!
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  • スウィートシュガースウィート【特典付き】

    束原さき

    ピピー!そこ!食べ物を粗末にしない!
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙買いです。粉砂糖のようにさらさら〜とした作品でした。製菓の専門生である理央と警察官の羽角が、毎朝電車に乗り合わせる仲から恋人になっていくストーリーです。

    市民からの差し入れを堂々と受け取る公務員緩すぎる…というのは置いておいて。羽角さんが理央くんを好きになった核心的理由が描かれてない(「それだけじゃない」と言ったきりですよね?流石にドジさってことはあるまい…いやそれでも良いんだけど…)にも関わらず同棲を約束する仲にまで発展して終わったので、その過程を知りたいと思いました。羽角さんの経歴はわかりますが、人となりがわかるエピソードが少ないところに勿体なさを感じます。
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  • 知らない傷痕

    らくたしょうこ

    攻めの懐と愛が深い
    ネタバレ
    2025年1月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作家様買いです。
    痛くされないと興奮しない(痛くというより暴力を振るわれたいが近いと思うので、苦手な方は注意です。)遼也と恋人の幸司が、それぞれの傷痕に触れて分かち合っていく物語です。

    これ絶対深刻なトラウマがあるじゃん…と思ってたら本当に深刻な過去があり、当時カウンセリングなどは受けさせてもらえたのだろうか…と落ち込みました。
    幸司くんの深い愛情が救いですね、あの場面で涙が出るのは心から遼也のことを思ってるんだろうとぐっときました。背負わなくて良い罪ではありましたが、赦しを乞う苦しみから解放されて本当に良かったです。

    それはそうと、今後やりすぎない程度に楽しむであろう、痛くないけど激しくて危なくない趣味と、倫理的な葛藤と欲で頭がぐるぐるする幸司くんの姿をもっと見たかったです…!
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  • とんだクズ男ですが何卒ヨロシク

    小坂つん

    まーくんの属性に世話焼きを追加
    ネタバレ
    2025年1月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『Keep up with me !』の二人のその後が描かれてると聞き購入しました。表題作+短編4本です。

    『とんだクズ男ですが何卒ヨロシク』バイト先のクズな先輩コージにどうしても惹かれてしまうゲイである歩の話。クズというか自堕落な雰囲気が私の好みではなかったです。やめときやめとき〜!

    『to be continued !!』過去にしこりを残したままの幼馴染のけいたと航が“お試し”する話。航くんの心情が知りたい。

    『俺の幼馴染がちょっとヤバイ』ギャンブル酒タバコがやめられないフリーターのてっちゃんを囲いたい幼馴染くんの話。てっちゃんの方がもぞもぞしてて可愛い。

    『寝ても覚めても』年下まーくんに愛想をつかされないか心配になった透さんの話。まずこの二人が約10年(『Keep up with me !』あとがきより)続いてることに感動しました。でも10年目にして家事負担の偏りに気づくなんて遅すぎる(笑)いやそんなもんか。まーくんの思いやりに涙が出ます、そんな切ない心配せんといて…。沢山好きと伝えて素直に反応してまーくんを安心させて欲しいものです。短編でもいいので二人の新刊期待してます。

    『初恋の呪縛』報われない片想いと報われるかもしれない片想いの話。やはり実直な攻めは最高定期!傷つけられてもいいそれでも諦めない系の真っ直ぐさかと思いきや打算もあるところがまた良し。

    『そこはご遠慮願いマス』表題作番外編。コージさんの節操のなさがどこからきてるのか気になってしまう。隣人に同情します。

    『Keep up with me !』を気に入った方なら買って損はないと思います。
  • ラストエスケープ(分冊版)

    大橋キッカ

    ちゃんと伝える主義
    ネタバレ
    2025年1月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ やっっっぱ実直な攻めは素晴らしいです…!晴れ渡る空に香る薫風のような日高くんがとにかく良い!美形かつ筋肉質でもある!もちろん受けである匂坂さんの顔も良い!

    疲労感から強制的に眠る為に一夜限りの関係を繰り返す不眠症のサラリーマン・匂坂は、転勤してきた新人・日高と成り行きで寝ることになる。膨らんでいく日高への気持ちを認める前に遠ざけることを選んだ匂坂だったが…というストーリー。

    匂坂さんには他人に深入りしないようになった過去があり、傷つけるのも傷つくのも嫌だから他人と向き合わないというスタンスなのですが、まあ真正面から気持ちを伝えていく日高くんですよ。駆け引きもなしに真っ直ぐ目を見て、言いたくても言えないことを汲み取ってくれて混乱ごと受け止めてくれるこの誠実な姿勢はもはやスパダリと言っても良いのではないでしょうか!

    …と言いながら、女性としか経験がない日高くんが同性である匂坂さんを好きになる理由にもう少し強さが欲しかったのも事実です。いや好きになる理由なんて人の数だけあって良いか。
    精神的には初恋っぽい匂坂さんの見え隠れする素直さと可愛さに悶絶する日高くんと、愛されて満たされていく匂坂さんが愛おしい。二人の姿をずっと見ていたいです。

    ところで先生、たとえその苦しみと厳しさを知っていたとしても、一過性として一蹴はだめですよ…真摯に聞きましょう。実家を訪問する仲になったら姉に会わない訳にはいかないでしょうが、それについてどう考えてるのかわからずじまいでした。
    進展の為に用意された感はありますが、どうか彼女の選択が自ら納得したものでありますように。

    (読み放題にて)
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  • 陰と日向のボーダーライン

    大島かもめ

    寒さに凍える人を溶かすお前だって寒かろう
    ネタバレ
    2025年1月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ゲイであることを抑圧してきたThe好青年な新入社員の柴村は、ある日憧れの丸山課長が公園で行きずりの男とセッ久している場面を目撃してしまう。勢いでカミングアウトした結果課長と付き合うことになったけど、これって本当に恋人…?と苦悩していくストーリーで、表題作です。

    そっちの道は危ないぞー!と心配していた通りの結末になって思わず呻きました。というのも、柴村は自己犠牲を厭わないタイプの真面目さがあるように見えるので、課長のような試し行為をせずにはいられない人と相性が良いようで最悪だと思うんです。突き放したり下手に流せない実直さから、俺の前でしか…俺がいないと…と共依存の沼に足を踏み入れてしまう。

    課長の背景には同情すべき部分もありますが、嫌がる行為をしたり、相手の意見を尊重しないで良い理由にはなりません。中堅と新入社員の年齢差ですよ?そこに愛はあるんか?と聞きたいです。私には恋愛感情というより、愛されて育ってきたであろう柴村に対する征服欲に見えてしまいました。不安があれば言葉にして、課長自身も救われて欲しかったです。

    いや、課長は救われたいと思ってないかな?でも柴村も共依存に片足突っ込んでそうだよな?そもそも閉鎖的な村社会で抑圧しながら生きてきた人間は本当に「他人に与えられる人間」か?と疑問は尽きませんが、どうか日向を選んであたたかい関係を築いていって欲しいと願ってます。

    収録作の『街角のプロローグ』は日本人留学生と下宿先のイタリア人の物語です。露骨な差別もマイクロアグレッションも両方きついよな〜と思いつつ、「日本にいて差別されない」ではなく、日本にいると気づこうとしない限り差別に気づくことは難しいので、される側になって初めてショックを受けるのではと思いました。差別意識や偏見がないか、常に自省していきたいものです。

    (読み放題にて)
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  • それでも君と恋がしたい!【電子限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】

    黒田くろた

    攻めの理性を全力応援
    ネタバレ
    2025年1月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 清掃会社の営業・本田が、週に一度の癒しである出入り先のコンビニ店員・葉月とひょんなことから体の関係になり、やがて本気になっていくストーリー。

    いや〜やはり実直な攻めというのは良いものですね!真面目さと流されやすさの間で右往左往してるのも良い。今後葉月くんの気持ちが揺れ動くことがあっても、誠実に向き合って関係を確かなものにしていくんだろうなと思います。

    ところで、どんなに情があろうが、借金を借金で返すとか一発逆転狙いで変なビジネスに手を出すような人とは縁を切った方がいい、切実に。
    いいね
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  • 恋わずらい穴わずらい【単行本版(シーモア限定描き下ろし&電子限定描き下ろし付)】

    ツブキ

    笑あり涙あり肛門知識あり
    ネタバレ
    2025年1月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 肛門科医である雄谷が、同窓会で出会った明日見から「前立腺がちゃんと機能してるか診てくれ!」と頼まれたことをきっかけに初恋を知っていくストーリー。

    自尊心を削られてきた明日見にとって、常に直球勝負かつ相手への思いやりを惜しまない雄谷は輝いて見えただろうと思います。元彼に説いた攻めの極意、大変良きでした。
    社会による差別や偏見、明日見の思いやり、雄谷の真面目さ故にすれ違ってしまった時はどうなることかと思いましたが、無事に初恋も実ってめでたしめでたし。

    ところで肛門科医による異物挿入()が頼もしくて笑いました。いや笑い事ではないんですが、BLを読んでいると受けの肛門や内臓を心配することが多々あるので謎の安心感があります。

    やっぱり実直な攻めって良いな〜…実直なあまり解釈がずれてたり面白くなってしまう雄谷も可愛いし、そんな雄谷だからこそ、身を委ね幸せを感じられる明日見も可愛いです。順風満帆な未来に向かって公私共にパートナーとして幸せでいて欲しい二人でした。
    いいね
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  • 社内恋愛お断り

    ダヨオ

    【急募】二人の馴れ初め
    2025年1月18日
    作者様買いです。営業部の鬼エース・高井戸と、健気な後輩・澄田の社内恋愛(短編)です。
    高井戸さんの掌の上で転がされる澄田くんのなんとまあ可愛いこと!何枚も上手な高井戸さんだけど、澄田くんのことが可愛くて仕方ないのが伝わってきて最高でした。
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  • コワモテの隣人がΩだった時の対処法

    ニクヤ乾

    コワモテというより黒髪美人
    ネタバレ
    2025年1月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバースは現実の格差社会(特に男女格差)の再生産のように感じることが多く、進んで読もうとは思わないのですが、性欲が薄く理性的なαと聞いて読んでみました。

    隣人同士である、Ωの匂いに鈍感な体育会系エリートα・晃太と、ヒートの強さに苦しむコワモテなΩ・宮永が惹かれあっていくストーリー。

    晃太のいちいち真面目で律儀な言動が一周回って面白かったです。αの暴力性に自覚的なのもヒート中の気遣いも何とか理性で抗おうとするのも全部最高です。一生歯を噛み砕く勢いで欲望に打ち勝って欲しいけど、抑圧の反動も怖いし適度に発散して下さいね〜!
    殴った人数分怖い目に遭わされてきたであろう宮永さん、これから沢山愛されて欲しいです。

    ところでハッピーエンドに水を差して申し訳ないのですが、両想いで匂うということは一方の気持ちが離れた段階で感じ取れなくなるということですよね?
    そうなっても隣に住み続けるかはわからないけど、ヒートのたびに宮永さんの匂いを思い出しては苦しむ晃太を見たくないといえば嘘になる(笑)
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  • 新装版 お守りくん

    tacocasi

    魔除け面が何となく怪しい件
    ネタバレ
    2025年1月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 下記3本立てです。

    『横井くんの字事情』字にコンプレックスがある横井くんと書道教室の泉先生のラブストーリー。素直な横井くんと惑わせ屋な先生の組み合わせがいい!

    『ペロの言い分』飼い主であるきいちの忠犬として生きるペロ(自称)が人間に戻るストーリー。対等な関係と主体性のある人物が好きな私には合わなかったようです。

    『お守りくん』(表題作)霊障体質の大野くんとまるでお守りのように守ってくれる小林くんの、ありやなしや恋の予感のストーリー。霊媒行為で勘違いさせるBLあるある。大学生編も見てみたいです。
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  • はじまりはナカから 完全版【R18版】

    みちのくアタミ

    まずは泌尿器科に行きましょう
    ネタバレ
    2025年1月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 興味本位で買ったものの、しばらく寝かせてから読みました。

    趣味と実益を兼ねて尿道開発グッズ販売をする糸口の元に、ある日上司の基山から注文が入る。使い方指南という名目で基山の開発にはまる糸口だが、やがて独占欲が芽生えていき…というストーリー。

    細かいことが気になって申し訳ないのですが、警察への届出が必要な内容の副業はコンプラ違反にならないんですかね?個人輸入なのか処方薬なのかよくわからない抗生物質を他人に飲ませるのも普通に怖いし、まずは医者に頼ってくれ自然治癒しないんだから…。

    ストーリー自体エロありきで気にする必要はないんですが、尿道炎(自己判断)を繰り返して何か合併症を引き起こすのではと心配の方が勝ちました。体を大切にして欲しいです。
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  • Keep up with me!

    小坂つん

    まーくん…!
    2025年1月14日
    バイト先の先輩で失恋記録を更新し続ける透と、透に片想いするまーくんの話です。
    上気した感じの画風は色っぽいのに、二人の空気は真面目そうで可愛くて良いギャップがありました。
    別作品に約10年後の二人の話が収録されているようなので、ぜひそちらも読んでみます。
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  • ニューヨーク・ニューヨーク

    羅川真里茂

    大都市の片隅の愛の物語
    ネタバレ
    2025年1月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シナトラ懐かしいな〜一昔前のお洒落な感じのBLかなと思って安易に手を出したことを後悔しました。皆さんも精神的に健康な時にお読み下さいね。所謂ファンタジーと呼ばれるようなBLの正反対に位置する作品だと思います。

    舞台は90年代のニューヨーク。警察官である主人公・ケインはゲイタウンで理想そのもののメルと出会う。やがて恋人となった二人は、多くの悲劇と試練に巻き込まれていき…というストーリー。

    90年代アメリカ(世界的にもか)の文化的・宗教的背景によるホモフォビアが凄まじく、怒りと悲しみで気分が悪くなるくらいでした。(これでも今は随分ましになったんだな…)他者のアイデンティティを平気で踏み躙り、迫害することを是とする思想や理念とは一体何なんでしょう。本当に悲しく、理解し難い概念です。
    マッチョイズムもやばいでしょうしね…中盤くらいまで有害な男らしさ全開なケインに対しても結構うへ〜となりました。
    ホモフォビアに加え、エイズについても描かれています。今ほど医療も充実していなかった当時では対症療法くらいしかなかったのか、ただ弱る姿を見ているしかないのは堪えました。

    それでも悲しみの底から這い上がり、ようやく結婚というところで更なる悲劇。神よ、どうしてメルばかりこんな目に遭わせるのですか。
    2巻はクライムサスペンスが中心になりますが、それもまた歪な親子関係、暴力の連鎖、移民に対する差別が複雑に絡み合っています。唯一の生還者であるメルのトラウマ、夥しい犠牲者を思うと悔しくてたまりません。こんな事件はフィクションだけにして下さい(泣)

    壮絶な事件も終結し一安心…とはいかず、PTSDに苦しむメルに寄り添うケインもまた、差別に苦しめられますが、両親と上司の理解を得ているケインに立ち向かう強さがあることが救いでした。
    深い悲しみや苦しみと戦いながら人生を共にしたケインとメルの、一本の映画を観たような気分です。
    最期なんてまるで『レ・ミゼラブル』で召されるバルジャンのシーンのようでした。
    もう一度読み返す気力が湧くかわかりませんが、出会えて良かったと思える一作です。
  • ふたりのスピカ

    涙味のサンドイッチ
    ネタバレ
    2025年1月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『詩織さん、僕と一緒に幸せなゲイの結末めざしましょう』が素晴らしかったので、こちらも読んでみました。

    高校生となった郷と碧が、幼馴染として特別に好きな気持ちと性的にも好きな気持ちの間で揺蕩うストーリー。
    恋愛対象として碧を好きな郷くんと、多分女の子が好きだけど郷のことは好きな碧くんの、微妙だけど違う好きの種類に胸が苦しくなりました。
    性欲や性的指向の輪郭がはっきりしてきて、「きも…」と思う気持ちよくわかります。このへんのモノローグがまた良くて、今作でも淵先生の言葉選びが心に刺さります。

    器用でしっかりしてて面倒見も良い郷くんよりも、のんびりしてる分観察眼が優れてるのか、碧くんの方が先に斬り込むのも良い。大学生編社会人編と、ずっと見ていたい、関係の形が変わってもずっと幸せでいて欲しい二人です。

    というか、性的客体化に抵抗感があって、女性向けAVの女性側に感情移入する碧くんの内面性が興味深いのでもう少し観察したい…。

    (読み放題にて)
  • 詩織さん、僕と一緒に幸せなゲイの結末めざしましょう

    攻めの思考回路に惚れる
    ネタバレ
    2025年1月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 悲恋続きの主人公・詩織が、浮気現場に一人残された彼氏の置き土産、文くんに「一緒に幸せなゲイの結末をめざしましょう」と交際を申し込まれるところから始まる、希望に溢れたストーリー。

    何の気なしに読みましたが、心温まる感動作でした。とにかく文くんの人間性と言葉の選択がとても良い!「公平・公正・思いやり」を重んじるのも、言質取ってくスタイルも、対処法を確認するのも、合理性と優しさが感じられてぐっときました。頻度の数的指標なんて共感するあまり笑ってしまいました。
    普通なら、神経質とか察しろとか思われがちですし、文くんも普通じゃないことの孤独と寂しさに慣れているかもしれません。でも、詩織のような悪い想像や経験則から一人で不安を抱えてしまう人にとっては安心材料になり得ると思いました。

    不安や恐怖で遠ざかろうとする詩織と、何回でも愛を確認して全部言葉にしてくれる文くんは、あたたかい場所でずっと幸せで楽しい時間を過ごすことでしょう。
    相手の意思と感情を確認しながら、言葉にして伝えることの大切さを改めて実感しました。

    経験則内に収まれない年下男、最高!読み放題のアルゴリズムに感謝!
  • 【単話】噛んでのサインじゃないからな

    はやし燈

    キュートアグレッション…!
    2025年1月12日
    高校の同級生であり会社の同僚でもある、柊晶真と英暁人の抑えられない癖の話です。二人が恋人になるまでの過程も知りたいのですが、想像で補っておきました(笑)
    可愛いものをぎーっと噛みたくなる衝動、よくわかります。最初から噛みたかったのか、可愛いと思っていたら噛みたくなったのか聞いてみたい。
    いいね
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  • 【電子限定特典付】本日はお日柄もよく、

    青梅あお

    惚れた弱み
    ネタバレ
    2025年1月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『君と運命についての話がしたい』がとても良かったので、作家様買いしてみました。

    クラスの女子に片想いする幼馴染の航一のことが好きな主人公・櫂と、櫂の気持ちに気づいてしまった渓介の、高校時代から10年に渡る恋の終わりと始まりの話です。
    航一の恋が成就したことで自動的に失恋した櫂に、渓介は本命ができるまで都合のいい関係になろうと提案します。
    私は普段、自ら提案した約束のせいで身動きが取れなくなる攻めから得られる栄養素を必要としてるのですが、今作の渓介においては、普通に可哀想に感じてしまいました。青春の全てと言ってもいい10年間には重みがあります。この10年、渓介がどんなに自分を想っているか気づいていながら、その返事で答えてしまうのかと落胆しました。
    「櫂じゃなくても男が好き」という台詞を返した形なのかもしれませんが、恋人として「誰よりも大切に思う」のか明言されておらず、「一緒に居て」「手放さないで」も、主体的ではないので不安要素に感じてしまいました。
    これからは、10年間すれ違って押し殺してきた分、これでもかというほどキスをして気持ちを伝え合って欲しいです。
  • 明日もそばにいてくれたら【イラスト付き】【単行本書き下ろしSS付き】

    Doe/乃一ミクロ

    絶望に降り注ぐ光と書いて柏原と読む
    ネタバレ
    2025年1月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ コミック版が良かったので小説版も読んでみました。
    詳しく知りたかった柏原さんと遠野のバックグラウンドと、寺岡のその後が描かれていて理解が深まりました。
    妹の治療費の謎も解けましたが、詳細がわかると更に胸が押し潰されそうになります。

    二人の成長過程で、ネグレクト、ガスライティングなどの描写が多いので、読むのがしんどい方がいるかもしれません。二人のラブストーリーが霞んで見えるほど私にはきつかったです。
    過去の心の傷は誰が償ってくれる訳でも埋めてくれる訳でもないので、凄く虚しい気持ちになりました。

    寺岡の凶悪さと気色悪さも限界突破しております…暴力が服を着て歩いているようで、あんなのが上司や先輩だったら普通に退職理由になり得ます。後に殺人未遂(推定)で裁判にまでなりますからね、逃げ出せて本当に良かった。

    コミックの方でもカミングアウト後の社内の空気を心配してましたが、やはり現実は厳しいです。
    差別という暴力を受けて育った上にこの環境ではカミングアウトのカの字も出せないだろうと柏原さんの心中を察しながら、そうせざるを得ない社会への憤りを感じずにはいられません。
    そんな葛藤の中、何の脈絡もなくついぽろっと出た柏原さんの告白は非常に良かったです…怒りを抑えながら読んだ甲斐がありました(笑)

    晴れて両想いになり、いざベッドへというところで「体が痛みを覚えている」と強張る遠野を思うと涙が出ます。性暴力に晒されてきたことを「馬鹿なことをしてきた」だなんてまるで自分に責任があるかのように話す遠野を毛布で包んであげたい。
    強要せず、時間と言葉をかけて、遠野に寄り添ってくれる柏原さんに感謝の気持ちです。複雑に壊れてしまった心と身体を金継ぎしていくようなシーンにぐっときました。

    ようやく結ばれてめでたし…と思いきや、書き下ろしストーリーで一波乱起きてしまいます(泣)どうしてこうも不幸が向こうからやってくるのか(泣)そろそろ転職も視野に入れて下さい(泣)

    不安のない明るい未来という訳にはいきませんが、何があってもお互いが側にいてくれると信じられる関係のまま、ずっと幸せでいて欲しいと願ってやみません。

    (読み放題にて)
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  • ONE HOUR LOVER【単行本版】

    ざぞん

    律儀可愛い
    ネタバレ
    2025年1月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 過去のトラウマから金に執着し、昼は清掃員、夜はコールボーイという二つの顔を持つ藤野。客が待つ高級マンションを訪れると、藤野の出入り先である証券会社の次期社長で完璧超人と噂される天海が出迎える。絶対に太客にしてやると意気込む藤野だが、いつの間にか本気になってしまい…という王道ストーリーです。

    藤野の「自分の手の届かないところで人生決められんのが嫌」という台詞が印象的で、大人でも人生から選択肢を限定されるのはもどかしいのに、大人についていくしかない子供は尚更だよな〜と胸が痛みました。
    家にいられない子供に、自分の身体が金になることを教える大人がいる、それが労働として成立してしまう社会のなんと不健全なことか。

    自分を切り売りしながら生きてきたけれど、本当に欲しかったのは「金」ではなく「繋がり」だと気づく姿にぐっときたというか、寂しかった子供の藤野もようやく安心できたのではないでしょうか。(それはそうとして金は必要)(ちゃんと貯蓄してて偉い)

    コールボーイを同伴して海外出張する天海にはやや引きつつ、負わなくていい責任と見当違いの義務感から解放されて良かったです。対等な関係で幸せにならないと。

    …ところで重要人物だった九条(天海の幼馴染で同僚)が何もかも良すぎるんですが!大陸で芽生える九条のラブが見たい!
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  • 恋か破壊か

    糸井のぞ

    砂上の楼閣、希望はある
    ネタバレ
    2025年1月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 破壊衝動を持て余す高校生の掌が、偶然入った文具店の店主の蛍二郎を「壊そう」と決めるところから始まる不道徳的で危ういラブストーリー。

    人間誰しもが持つ破壊衝動でも、ほとんどの人は一線を越えないし、越えられない。ではその一線は何によって引かれているのか考えさせられました。
    掌は、引越しという形で不安定な母親によって築いてきたものを壊されてきたのではないか、掌が本当に壊したかった砂の城は我が家だったのではないか、などと想像してしまいました。
    安定した情緒や倫理観を育むために、親の精神状態と家庭環境がいかに大事かがよくわかります。お母さんも孤独に闘ってるんだろうけど、子供に試し行為するのはやめようぜ。

    掌は実際暴行に及びますし、思考もサイコパス傾向にあるかもしれませんが、動物女性子供には衝動を向けない・今日子先生にSOSを出す・圧倒的“善”である長者原のアドバイスに従う、などの点を見ると、不安定な足場でも頼らざるを得ない子供のもどかしさが抑えきれない破壊衝動として表れていたのかなとも思いました。

    感情に名前をつけるのが苦手なのか、嫉妬、怒り、ショックなど、精神的に揺さぶられると暴力に走ってしまうのかな〜…。未成年者に迫られて受け入れる蛍二郎は蛍二郎でだめだろと思いながら、ここ以外の救済ルートもわからずにぐるぐると思い巡らせています。

    最終的な二人の関係が恋愛なのか共依存なのか、私には判断できませんでした。
    文具店が砂の城になりやしないか心配はありますが、壊すことの怖さを知った掌と、覚悟を決めた蛍二郎ならきっと大丈夫だと思うことにします。

    (ところでセクハラ教授は何らかの処分を受けたのでしょうか?権力勾配の中で正当な手続きを踏んで性被害を訴えるハードルはあまりにも高い…。)
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  • お護りします聖女様

    はかた

    伝説くんさぁ…
    ネタバレ
    2025年1月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 聖女と結ばれると幸せになると言い伝えられる伝説。男なのに聖女の運命を持って生まれた若園葵と、聖女を護る使命を持つ騎士の家系に生まれた剣崎丈一郎のラブコメです。

    フェロモンを差し引いても、私利私欲の為に力づくで聖女をモノにしようとする強欲な輩が多く、歴代の聖女たちに心底同情しました。どんな扱いをされるか分かったもんじゃないですよ!「純潔を失うまで狙われ続ける聖女」って、絶対神様じゃなくて権力者の生贄にされてたやつじゃん…と勝手に怒りを感じてしまいました。

    しかしある日、まさにその権力者かつ代々聖女と結ばれてきた神宮家の御曹司、枢(かなめ)が許嫁として現れます。想像通り、神宮家は聖女に酷い仕打ちをしてきた訳ですが、剣崎家の悲しい過去も加えて、神宮家の繁栄がますます許せなくなります。枢は良識のある人ではありますが、だからこそ聖女の犠牲の上に成り立つ富を享受してきた身として、何らかの贖罪が欲しかったです。

    紆余曲折あり、葵と丈一郎は結ばれ、伝説もとい呪いから解放されますが、好きな気持ちがそのままなのはじーんとしました。二人が言う「優しいから強い」がまた良いんですよね、「強いから優しい」じゃないところが好きです。これからも対等に思いやりながら成長していくんだろうなと思うと微笑ましいし、同居編も読んでみたいです。
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  • クレイジーバッドトラップ【分冊版】

    沢ワカ/雨戸るく

    二人の過去をもっと知りたい
    ネタバレ
    2024年12月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 今日中に金を集められなきゃ殺される、月影組の下っ端ヤ◯ザ・六条を「フン、おもしれー男」と気に入り連れて帰った逆ナンお姉さんの正体は、月影組に敵対する天道組のNo.3である久我だった。組と六条の為に月影組を潰そうと動く久我だが…というストーリー。

    六条は、環境的な要因で社会の落とし穴に落ちてしまっただけの、素直で真面目な青年(素直で真面目な青年はヤ◯ザは選ばないだろうけど)なので、当然組織では無能だしサンドバッグにされていたのが悲しかったです。17歳なんてまだ子供だよ。

    殺される覚悟できた天道組で、居場所を確保する為に身につけてきたであろう家事スキルを褒められていて、私も嬉しくなりました。そういう健気さを久我も感じ取っていたのかな、六条を可愛がりたくなる気持ちがよくわかります。好きを自覚してからどんどん愛が大きくなる久我も可愛い。

    あれだけの殺人と殺人未遂(?)を犯しながらハッピーエンドというのは個人的には好きではないのですが、今作品においてはハッピーエンドでありがとうという気持ちです。
    正式に盃を交わしたらヤ◯ザの仕事にも駆り出されるのかわかりませんが、この初恋がずっと続くと良いなと思います。

    (読み放題にて)
  • お憑かれさまです 【電子限定特典付き】

    日乃チハヤ

    妖怪歯カチカチ
    ネタバレ
    2024年12月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 霊感があり触ることで祓える東雲(まっすー)と、憑かれやすい体質の御子柴(柴)が霊を通して両思いになるストーリー。

    ホラーもBLも好きなので期待して読みましたが、私はギャグっぽく感じてしまいました。すみません…。でも机から出てくる歯カチカチは絶対笑わせにきてますよね?あの口に何か入れたら噛みちぎるのか試したくてうずうずしました。

    ストーリーの方は、除霊と知らずにすりすり触られ特別扱いされてきたゲイの柴がまっすーを好きになるのは自然な展開なのですが、まっすーの方は色情霊の影響を否定しきれないのが残念です。色情霊が介在しない部分で柴を好きになって欲しかったと思いました。

    それにしても社会生活に支障をきたすほどの色情霊、本気で厄介すぎます。性的なトラブルに巻き込まれるリスクの方が霊よりよっぽど怖い…いや色情霊のような人間が一番怖い…くわばらくわばら…。
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  • こぼれるアンビバレンス【コミックス版】

    はかた

    やっぱり園村さんが好き
    ネタバレ
    2024年12月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『さんかくトワイライト』のスピンオフ、青葉先輩(わたるん)が主役です。本編では好感が持てないキャラクターでしたが、無愛想な年下を構う面倒見がいい兄さんの構図が好物なので購入してみました。

    出席日数不足の救済措置として一緒に清掃活動をすることになった1年の侑吾の卒業までの恋人になるはずが…というストーリー。自己否定の日々を孤独に過ごす侑吾にとって、同性愛に抵抗がないどころか応援までしているわたるんの姿はさぞ眩しく映っただろうし、期間限定じゃない恋人になれて本当に良かったです。

    冗談やノーカンにされて受け取ってももらえない告白、罵られる方がまだましな家族からの病気扱い、どちらも読んでるこちらもつらくなりました。我が子が誰か(物凄く年上や反社会的勢力や既婚者は除く)を好きになったことを喜ぶのが親というものじゃないですか。理解ある親ばかりではないと思いますが、親くらいは無条件に子供の味方でいて欲しいものです。

    あの親の感じからすると、わたるんがくれたお守りはすぐに活躍することでしょう。面倒見がいい兄さんは最高です。
  • さんかくトワイライト【コミックス版】

    はかた

    園村さんと仲良くなりたい
    ネタバレ
    2024年12月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 進級と引き換えに図書委員をすることになったヤンキーの未来と、図書委員で学校のアイドル的存在の一慶が、友人になり恋人になるストーリー。未来の幼馴染で兄貴分のわたるん先輩も加わった三角関係です。

    弟分というよりはペットに近い?未来を可愛がってるのは本当だろうけど、好意の上に胡座をかいて「絶対にない」と余裕に構えるわたるんは一足遅かったし、友情や恋愛に年月は関係ないと改めて思います。
    わたるんは元々女の子取っ替え引っ替えしてるし、友人たちも失恋時に「女の子呼ぶ?」などと言って、他人をモノ扱いすることに慣れてそうだったので、未来が一慶を選んでくれて安心しました。

    さりげなく重要な役割を果たしていた委員長の園村さんが聡明そうな子で一番好きでした。園村さんも含め、進級しても卒業してもこの友情が続くと良いなと思います。
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  • ハッピーメリーエンディング【外伝】【タテヨミ】

    DORAE

    泉くんのマスターフォローしたい
    ネタバレ
    2024年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ハッピーメリーエンディング』でその後が気になっていた晴弘についての外伝とのことで購入しました。

    本編で「だから早く直人に好きって伝えよう…!」と何度思ったことか(笑)自分で作ったルールなんだからいつでも破っていいと思いますが、そう簡単にできないほど直人との中途半端で心地良い関係を壊したくなかったんですね。
    けじめをつけると思いきややっぱりクールに振る舞ってしまう晴弘、いじらしくて嫌いになれません。二度目の本気があるかわかりませんが、本音を隠さずにいられる相手と幸せになって欲しいです。

    最終話、一気に距離が縮まる泉と壱成も可愛かった!韓国の漫画は基本肩幅広くて脚長くて最高!

    DORAE先生の絵が好みなので、他にも読んでみたいです。(次作があるとしたらジャパナイズはやめて…オリジナルで…)
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  • 眠れないから抱いてくれ!【電子単行本版/限定特典まんが付き】

    栗之丸源

    その家、いくらで譲ってもらえますか…?
    ネタバレ
    2024年12月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先輩から譲られた社宅では予知夢が見られるらしいけど、なぜ俺は毎晩男に抱かれる夢を見るんだ!あれは俺の未来なのか!と不眠のループにはまった主人公・長谷川。睡眠不足解消の為、夢を現実にすれば良いのでは?と向かったゲイバーで同僚の倉持に出くわす。思わず「抱いてくれ!」と提案し、予知夢を正夢にしていくストーリー。

    長谷川は律儀で素直だし、会社でするのはまずいけど倉持も誠実で気遣いができる人なので、負担なく読めました。
    特に、倉持が長谷川を好きになった理由と、その時の長谷川の言葉を聞いて二人とも最高…!とあの場で「そうだそうだ」と拍手したかったです。あんなの好きになるに決まってる。(良識的には当たり前の一言が輝いて見えるほど蔓延する現実の排外主義はないないしましょうね〜)

    倉持があの部屋でどんな夢を見るのか気になりますが、これからも夢と現実を楽しんで欲しいし、そっち側とかこっち側とか考える必要がなくなる日がくることを願ってます。
  • あなたはわるいひと

    来栖ハイジ

    人間の価値を決める権利を社会は有しない
    ネタバレ
    2024年12月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 会社の付き合いでキャバクラに連れてこられた主人公・笹川と、クラブのボーイ・幸が、一晩の嘘をきっかけに愛を育み救われていくストーリー。
    荒んでいた人間が真面目な善人に出会いもう一度愛を信じるという定番ではあるのですが、善人にも事情があり、お互いがお互いを救う形になったのが良かったです。色々突っ込みどころはありますが、笹川が指輪を外せない理由と幸のポリシーにぐっときたので良しとします。
    私は、存在的価値に勝る社会的価値はないと思っているので「自分に価値がないなんて思わない。絶対にな!!」と言う幸に勇気づけられました。
    誰のことも爪弾きにしない、誰からも爪弾きにされない、やさしい社会の実現を心から願う、そんな作品です。

    (読み放題にて)
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  • 抱きしめてもいいよ【特典ペーパー/電子限定描き下ろし付き】

    今井ゆうみ

    ふわふわほのぼのメルヘン
    ネタバレ
    2024年12月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ぬいぐるみ専門店『ソレイユ』のぬいぐるみは、自分を愛してくれる人に出会えなければ大きくなり続けてしまう。中でも一際大きくなってしまったテディベアのリオが、大好きな店長さんと愛を知るストーリー。
    急な性欲に引きつつも全般的には癒し空間でした。
    『ソレイユ』にいる他のぬいぐるみ達もとても可愛くて、お家に連れて帰りたくなりました。特に箱いっぱいのうさぎ!顔を埋めたい…。

    (読み放題にて)
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  • 君と運命についての話がしたい

    青梅あお

    もっと運命なんだよ!
    ネタバレ
    2024年12月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 運命がある世界で運命の輪に入れない人が運命じゃない選択をする方がよほど運命じゃん…!と咽び泣きました。悩みながら自分の人生を生きていく、β同士のカップル、幸史郎と響の物語です。

    オメガバース物は、現実に蔓延る男尊女卑や身分格差、差別を補強している気がして避けてたのですが、絵が好み+高評価+皆様のレビューで読んでみようと思いました。

    運命じゃなくても、ままならなくても、自分の選択を好きを幸せの方を信じるラストが素晴らしかったです。主人公二人が穏やかできちんとした性格なのも好感。
    「貴方にあげられるものが少しでも多ければいいのに」←これ「月が綺麗ですね」「死んでもいいわ」に並びますよ!感動しました。

    青梅先生のあとがきにもじーんとしました。少なくとも関係の不確かさや当てのなさに対する不安は解消される、βの男性同士でも結婚できるというニュースを聞く朝がくると良いなと思います。
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  • 駅近魔法使い付き一戸建て【新装版】【ペーパー付】

    今井ゆうみ

    七福不動産に転職希望
    ネタバレ
    2024年12月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ あの世とこの世の狭間のような、ファンタジックな商店街を中心に繰り広げられる、4本のストーリー+描き下ろしです。
    『駅近魔法使い付き一戸建て』(表題作)モンスターや魔法使い、天使や悪魔と、人間が共存する七福商店街の不動産屋・雨宮×家探し中の魔法使いの美月
    『ハートアンドアロー』花屋を営む優しい魔物(?)・アル×キューピッドの任務を果たしたい降格危機の天使・ニカ
    『愛しの透明人間くん』新人MRの透明人間・消田×担当先の医師・奥山
    『躾のできない男の子』電車で乗り合わせる高校生が気になる大和×危険な行為を愉しむ高校生・いつき
    種族や属性を問わない、フラットな街や人間関係が素敵でした。七福商店街に社会のあり方を学んだ気します。ただ、性犯罪が危険な遊びや愉しみかのように描写されている点、大和の対応が法的にも倫理的にもNGという点で、『躾の〜』だけは、個人的に受け入れ難かったです。

    (読み放題にて)
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  • 好き、だから触れたい。

    松本ノダ

    初恋……?
    ネタバレ
    2024年12月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 自分だけに見える謎の青年・マサキに懐かれている歯科医の小野が、蓋をしていた過去を受け入れていく物語です。
    時に脳は心を守る為に幻を見せるのでしょうか…。恋人の正体については察していましたが、マサキの正体にはびっくりです。
    しかし、大人の姿だからキス以上のことをしても良かっただけなのに、幼稚園児だと判明後もそこまで抵抗がなさそうで引いてしまいました。親子ほど年が離れてる幼児相手に頭痛いくらいじゃ困るんですよ小野先生…!
    卒業間近な高校生〜大学生くらいだったら良かったんですが…私には合わなかったようです。

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  • 幽霊消すんで付き合って下さい

    あわいけい

    生きてる人間が一番怖い
    ネタバレ
    2024年12月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 超霊感体質の牧野と除霊体質の遠野の、憑かれて祓って近づく微ホラーラブストーリー。
    体質に加えて善良な性格から霊に憑かれがちな牧野くんは可哀想可愛いし、寺生まれの◯さんばりに霊を消しまくる遠野くんも頼もしかったです。そんな二人の専攻が物理というのもぐっときますよね〜。
    牧野くんの人助けも、遠野くんの自責の念も、ある意味呪いみたいなものだと思いましたが、お互いが寄り添い解放し合えるパートナーとなる幸せな結末で良かったです。
    人柱に関する話は漫画でも実話でも胸が痛みますね…結局幽霊を生み出しているのは生きている人間だと思わされます。

    (読み放題にて)
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  • 虹は夜光に煌めく【電子限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    墨矢ケイ

    人生は再出発の繰り返し
    ネタバレ
    2024年12月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ バイク旅中の青年・中嶋と、山奥にひっそり暮らす不思議な雰囲気の青年・神澤が、自分らしく再出発するストーリー。
    「目覚めると神澤は消え、僕は草むらにただ横たわっていた」的な神隠し(鬼隠し?)かと思いましたが、生身の人間の話でした。
    差別する対象や属性を決めて排除することで得られる安心や団結なんて必ず崩壊するのに、なぜ共同体は贄を求め、語り継いでしまうのかと虚しい気持ちになります。
    駆け落ちだって双方の合意の上なら寺の息子も批判されなければ道理に合わないのに、女が誑かしたと吊し上げられ、鬼女と蔑まれる。そんな地域だから出て行ったのではと思わずにはいられません。
    ラスト、二人の清々しい決意に救われました。「連れ出してもらってはダメなんです」という台詞がすごく素敵でした。自分の力で踏み出すのが肝ですよね。人も社会も、螺鈿のように角度によって違う美しさや価値があると教えてくれる漫画です。
    ところで、準備もゴムもローションもなしにノンケ同士が…?と言うのは野暮ですかね(笑)

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  • どう考えても死んでいる

    雁須磨子

    霊感商法、ダメゼッタイ!
    ネタバレ
    2024年12月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 名前を呼ばれて目を覚ますとどうやら死んでいるらしいことに気づく主人公・晋太郎。自分を呼ぶ声を辿っていくと、恋人・翼が怪しい霊能力者・後に迫られている場面に遭遇。蘇りの波動を感じた翼は更なる降霊術を試みるが……死すらも分つことのできないオカルトラブです。
    翼の晋太郎への思いに、恋愛感情よりカルト的な信仰心の方を感じてしまって、残念ながら私には合わなかったです。救世主だと思われ取り殺され蘇らされ成仏もできなくなった晋太郎が不憫でなりません。
    晋太郎が翼の闇を知らなかったのが唯一の救いだと思います。
    それにしても、人は死んだら灰や炭になると言い、心は脳にあると思い、住民票や健康保険が気になる晋太郎、最高です。陽パワーの源は現実主義かもしれません。

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  • 佐藤くんと佐藤さん

    鰺坂こうや

    佐藤に含まれる意味の重さ
    ネタバレ
    2024年12月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 閉塞的な田舎から就職を機に上京してきた佐藤(はじめ)と、同性愛者で同姓愛者の佐藤(いち)の運命的な出会いの物語。
    ちゃんと拒否したり質問できるはじめが偉い!いちも明るく外向的だし、さくさく読めました。
    しかし、いちが同姓を愛する理由は同性婚と選択的夫婦別姓が法制化されていれば存在し得ない、元パートナーにとっても必要ない悩みだったと思うと、改めて異性愛者の特権性について考えさせられます。
    個人的に、夫婦同姓は家父長制の呪縛だと思っていますが、それも誰か異性と婚姻関係を結び同じ苗字になる選択肢がある側からの視点なんだなと気づきました。
    二人の未来は無限大ですが、同性を理由に結婚を諦め同姓を結婚の代わりにすることなく、全ての人が、結婚するしないの選択、同姓にするしないの選択ができる社会が一日でも早く実現して欲しいと強く思います。

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  • 明日の放課後もここで

    小坂つん

    脅迫はだめだよ
    ネタバレ
    2024年12月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 剣道部でレギュラー入りを果たし喜ぶ主人公・洋介は、全教科赤点のせいで追試まで部活に出るのを禁止させられてしまう。勉強を教えると買って出たミステリアスな友人・公博の自宅に招かれ、追試対策をするつもりが「口でするの良かった…?」となぜかえっちな勉強会になってしまい…というストーリー。

    一人でしろと強要し撮影した上で脅迫するのは、悪用せずに消したとしてもなあ…男女で想像するととんでもないことだと思いますが、男同士ならスルー、本人たちもスルーなのかと引っかかってしまいました。
    それでも、洋介くんが「ただエロいことされて脳が勘違いしてんのかな」と振り返っていたのは良かったです。エロが先か好きが先かわかりません、一応自問自答してはいましたが…。公博が好きなのかエロいことが好きなのか曖昧なままでは、いつか拗れてしまいそうで心配です。

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  • スプーンが曲がったら【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

    夕倉アキ

    打ち上げ花火、空から見よう。
    2024年12月9日
    外見と態度で問題児扱いされているけど本当は親切な星子くんと、優等生で超能力者な朝井くんの、瞬間移動から始まるサイキックラブ!
    星子くんと出会ってから、世界がカラフルになっていくように生き生きとする朝井くんが印象的でした。
    恋を知ってから発揮される超能力がロマンチックです。
    親の保護下にいても、子供の自由意志は尊重されるべきだし、尊重されてこそ人は成長していくものだと改めて思いました。
    先生がかけている色眼鏡は私が回収しておきます!

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  • いややいややもすきのうち?【特典ペーパー/電子書籍限定マンガ付】

    キシモト

    そりゃ好きにもなる
    2024年12月9日
    コンビニで働く貝塚が、何を考えているかわからない飄々とした後輩・五十嵐くんから受けた告白を、悩みながら受け入れていくストーリー。
    五十嵐くんの好意やアプローチに困惑はしても、相手に対する敬意や礼儀をちゃんとしようとする貝塚さんに好感が持てます。同僚のちょっとした変化にも気づける佐伯くんも誠実な感じで、このコンビニの売上に貢献したくなりました。
    意地悪な人は一人も出てこないですし、貝塚さんはとにかく可愛いし、付き合った後の二人も可愛いので、癒されます。二人の様子を佐伯視点で見ていたい…。

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  • フリーター幽霊屋敷に住む

    松本蜜柑

    そ、相続税は………
    2024年12月8日
    家賃滞納で住まいを失うという時に渡りに船、顔も知らない曽祖父から古いお屋敷を相続することになった主人公・太郎と、遺言執行人である弁護士・偲のラブを取り巻く幽霊たちの物語。
    表情や少ない言葉から心情を読み取りたい私にとっては、台詞数が多くやや説明的に感じてしまいました。その分、設定等はよくわかると思います。
    終盤は駆け足でしたが、ある人にとっては過去でも、ある人にとっては未来、という解釈は好きです。
    税金関係は偲くんがしっかりやってくれていると思っておきます…!

    (読み放題にて)
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  • モーニングムーンに奪われて【特典ペーパー/電子限定描き下ろし付き】

    芽生

    日食という単語が隠喩になる件
    ネタバレ
    2024年12月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 清潔そうな美形の二人に惹かれて購入しました。
    上京を機に始まった、10歳差(身長は23cm差!)の幼馴染である大学生・みつきと同大学助教・朔眞の同居生活。自分を慕うみつきと距離を保っていた朔眞だったが、キスをきっかけに感情が理性を超えていき…というストーリー。
    合法とはいえ、名付け親筆頭格かつ赤ちゃんの頃から面倒を見てきた10歳下の弟的存在との恋愛なので、背徳感を抱きながら読みました。
    親愛と恋愛のグラデーションの中から選んだみつきの「好き」も、みつきの真心、素直さに勇気をもらった朔眞の「…好きだ」もどちらも美しくて愛おしいです。
    洋にい(みつき兄)の様子から察するに、ご家族一同歓迎して下さることでしょう!
    実は、朔ちゃんは洋にいに叶わぬ恋でもしてるのかと愚推しましたが違いました(笑)(それはそれで旨そうな気も)
    しかし、両想いになってからのあの甘さよ!目から蜜が落ちてるよ朔ちゃん!いやでも個室のではなく貸切風呂で行為に及んではいけません!冷静な朔ちゃん戻ってきて!部屋に戻って思いきりして下さい…そしてその様子をずっと見ていたい…。
  • 未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~【タテヨミ】

    ヒヌン

    私の人生BL(長文失礼します)
    ネタバレ
    2024年12月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 個人的ベストオブ韓国BLです。ヒヌン作家様、この作品を世に生み出して下さり、ありがとうございます。
    受験以外には無関心の優等生ジンハが、ある日父親に殴られるクラスメイトで不良のヒチャンを目撃するところから、二人の人生が交わっていくストーリー。
    貧富の差はあれど、機能不全家庭でそれぞれ孤独を抱えるジンハとヒチャン。ジンハは同情から、ヒチャンは憧れからそれぞれ近づき、次第に安全地帯としてお互いを求めるようになり、恋愛感情も芽生え…。
    投げやりだったヒチャンにも夢や目標ができ、さあ頑張ってみようと前を向き始めたその時。一人だけまともになるなんて許せないとばかりに、現実がヒチャンの足を引っ張ります。ヒチャンの置かれる立場が非常に辛く、未成年である彼らにはどうすることもできません。守られなければならないのに守ってくれない、でも頼らざるを得ない子供が感じる無力さを思うと胸が痛みます。
    不慮の事故をきっかけに一度二人は別れ、思い出にしてしまいたい忘れたくないと葛藤しながら月日は流れ…。届かなかった手紙をジンハが見つけるシーンはまるで映画を観ているようでした。(韓国の方って『Love Letter』好きな方多いですよね!?わかります)
    学園祭の日、道標が用意されていたかのように運命的に再会、「帰ろう」と初めて結ばれた夜は涙なくしては読めません。会えなかった間の気持ちが涙となって溢れてくる…(泣)ジンハへの愛が崩れそうだったヒチャンを繋ぎ止め支えていたなんて、こんなに荒削りで優しい初恋があってたまるかよ…(泣)
    大人になった二人が、安心できる家で好きな人と安心して日常生活を送る、それがどんなに尊く幸せなことか…二人が歩んできた日々を思うと本当に涙が出ます。ここまでよく耐えた、これからは良いものだけを見て綺麗な思い出だけを作ってずっと幸せでいて欲しいと願ってやみません。日本は勿論、韓国でも同性婚が認められる日が一日でも早く訪れますように。
    そして、全ての未成年が安心して暮らせる社会になるよう、一成人としてできることをし続けたいと思います。

    最後に、ヒヌン作家様の、紫がかった空や陽光のきらめきの描き方がとても綺麗で、感傷的な気分になります…水面に映る夕陽や月光の美しいこと…この光に反射してきらめくさざ波のことをユンスルって言うんですって。こんなぴったりの単語があるなんて…なんと詩的な言語でしょう。
  • デンタル×コンプレックス【単行本版】

    ハラキ

    大物は見たい派
    ネタバレ
    2024年12月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 歯フェチなので悩むことなく購入しました。口の中が感じる主人公成石と歯科医邦重のラブストーリーですが、ノンケ同士なので戸惑いながら好きになっていく過程が良かったです。衛生面を気にする成石も診察中は理性を保てる邦重も好感が持てました。
    「歯磨きが上手な人が好きなんだ…」も「まずは歯の健康かな」も大変よろしい!健康第一!
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  • 僕らの食卓 ~おかわり~

    三田織

    これからはずっといい季節
    ネタバレ
    2024年11月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作に感動したのでおかわりしました。
    二人の距離がもっと近づき、お互いを癒していくお話でもちろん泣きました。
    必要な悲しみ、必要な時間だったと振り返ることができるのは、傷が癒えて今大切な時間を過ごしているからこそだと改めて思います。
    好きな人と旬のものを食べ、季節の移ろいを楽しむ、こんなに豊かなことが他にありますか?これぞまさに人生の祝福。
    もし同性婚が認められていたら、二人はきっと結婚して共に人生を歩んでいくんだろうなあと容易に想像できるので、早く実現させようという気持ちになりました。素敵なおばあちゃんと優しいおとうと穣と豊と種で家族として認められないだって?
    何杯目かのおかわりでは、堂々と恋人で家族で夫ですと言える社会になっていることを願ってます。皆さん、美味しいものを食べて、綺麗な景色を見て、良い思い出を積み重ねて、幸せに生き延びましょう。
  • 僕らの食卓

    三田織

    君と食べるからもっと美味しい
    ネタバレ
    2024年11月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 食卓(食べるもの・共に食べる人)を大切にする作品が大好きなので、迷わず購入!
    人前での食事が怖い豊が、天真爛漫な子・種と出会い、種が気に入ったおにぎりのレシピをきっかけに、種の兄・穣とトラウマを乗り越えながら幸せと愛を育むストーリー。
    まずは何といっても豊(穂積豊)・穣・種という名前の良さ…!ふっくら実った稲穂を連想させるそれはまさに「あたたかくてまるくてきれいな何か」ではないですか?
    兄にかけられた呪いに縛られていた豊と、早く大人にならざるを得なかった穣が笑顔で食卓を囲む、その幸せで心がお腹いっぱいになりました。
    過去に戻って心に空いた穴を埋めることはできないけど、今ここから温かいものを注いで満たすことはできる。そういう相手と出会い恋をして人生を共に歩むことのなんと尊いことか。
    ある夜にお父さんが語った別れの乗り越え方もとても良くて、お守りのようにしたい言葉でした。
    皆がずっと一緒に生きて欲しい、心からそう思う作品です。
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  • セマンティックエラー

    J.Soori/ハンナオ/武石文子/Angy

    外伝も漫画にしませんか?
    ネタバレ
    2024年11月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 感覚派の天才で意地悪なジェヨン先輩と頭脳派の天才でマイワールドなサンウの、喧嘩と執着を超えた先にある愛の物語。

    漫画もドラマも良かったですが、やはり原作が最高でした!最初は嫌がらせに終始していた先輩が先に恋を自覚し、恋という感情がわからないサンウに愛を注いでいく過程の心理描写が素晴らしかったです。
    先輩との関係を経てサンウが感情的に成長していく部分もまた尊い…というか普通にコミュニケーションの参考になりました(笑)こだわりが強いサンウを好きになった先輩がどれほど忍耐強く懐深く愛しているか、諦めないでいてくれるかもよくわかるので、胸がいっぱいになります。
    サンウヤ〜一生大切にしなきゃだめだよ〜!

    本編より更に愛が溢れる外伝の、サンウの実家訪問はほぼ泣きながら読みました。儒教的家父長制文化マシマシな保守国家の保守家庭で育てられ家長に縛られているジェヨン先輩と、チュ・社会的な圧力って何ですか?普通って何ですか?芯と我と理を意地でも通す・サンウ氏が人生のパートナーになったのは、改めて奇跡のような話。作業部屋での告白、海での告白、プロポーズ、どれも珠玉の名場面で、何度読み返しても胸が熱くなります。

    序盤は先輩の嫌がらせが結構悪質なので、人によっては具合が悪くなってしまうかもしれませんが、そこを乗り越えるともう祝福の嵐!結婚式に参列したような気持ちで読み終えました。

    最後に、ハンナオ先生と武石先生、ヒョンを兄さんと訳して頂き、ありがとうございました。BLに関わらず「◯◯さん」と訳されることが多く、それじゃシと変わらないじゃんともどかしいことが多かったので、それだけでもかなり満足度が高かったです。
  • 朝が来たら、ふたりは【単行本版(シーモア限定描き下ろし付き)】

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    隠れて生きる必要のない社会に
    ネタバレ
    2024年11月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 会社の後輩である甲斐に、バーで男とキスしているところを撮られ、写真の削除と引き換えにワンナイトを持ちかけられる藤井。ゲイであることを公表している甲斐と隠して生きてきた藤井のオフィスラブストーリー。
    隠して生きたい気持ちもわかるだろうに、アウティングを脅迫の材料にする部分と、オープンにするしないの決定権が甲斐にありそうな部分は何度読んでも腑に落ちませんが…。
    同じ恋愛には変わりないのに、相手の性別によって臆病にならざるを得ない社会の方が間違ってると思うけど、世界は偏見と差別に満ちてるし、皆が皆耐えられる強さを持ってる訳じゃない。甲斐の言う通り、誰に与えられる資格もないし、資格を与える権利を持つ人間はいないということが当たり前の世の中になって欲しい。林さんや女性社員二人のように、周囲が関心を持つとしたら相手の性別ではなく「想い合ってる」という部分だよなあと改めて思いました。
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