ほどなく、お別れです【単話】
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ほどなく、お別れです【単話】

長月天音/込由野しほ

遺族を癒す葬儀をめざして

ネタバレ
2025年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ スカイツリーのたもとの街の葬儀場でアルバイトをしている大学生の美空。就活が振るわなくても、自分を認めて必要としてくれるバイト先に来ると元気が貰える。葬祭ディレクターの漆原が仕切る葬祭は、事故や事件がらみが多く、今回は焼身〇殺だった。葬儀社と契約しているお寺の末っ子僧侶の里見は、霊感のある美空に、自分も色々なものが見えるのだと明るく語り掛けてくる。どのお話もそれぞれ心に残ったが、特に歩道橋から落ちてお腹の中の子どもと一緒に亡くなった女性が、お通夜に自分が夫(この葬儀の喪主)と一緒に詰めた紙オムツが入っているカバンを届ける、というエピソードの「見送りの場所」は、読みながらも涙がとまりませんでした。死者と遺族に寄り添った葬儀の必要性が心に沁みます。感動作です。

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