6と7【コミックス版】
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6と7【コミックス版】

凡乃ヌイス

こころ揺さぶられる究極の愛

ネタバレ
2025年2月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2/28編集。
SNSでこの作品を知りました。試し読みで異種の昆虫に寄生する昆虫のお話しがTVに映し出されていて、その人間版なのかもと興味が湧き購入しました。

想像を超えて究極の「愛」が描かれているこころ揺さぶられる作品でした。

 大切な人を亡くした深い悲しみの中、亡くなった大切な人と同じ姿をしたものが現れたら…例え人外でも七海と同じく心を許してしまうのではないでしょうか。

七海の毎日は仕事の他は禄斗と二人だけの日々。 大切な人の記憶か完全ではない禄斗と体を重ね淡々と禄斗が知らないまま禄斗の為に罪を犯して行く七海。
七海の行動は常軌を逸していると言わざるを得ないものでした。
この行動も含め本来なら目を背けたくなるような描写になってもおかしくないのですが全て美しく感じてしまう程先生の描き方が秀逸でした。

 禄斗は元々自分が人外であり七海の愛した人の姿を装っていると言う認識も無く、人間とは全く違うものを食すところまで七海に依って上手く隠されている為に疑う余地も無く二人で居るところは普通の恋人同士にしか見えないのです。

 禄斗が大切な亡き人の偽物でも禄斗は七海に取っていつしか亡き人とは別のものとなっていたように思いました。禄斗が亡き人の偽物で亡き人の記憶が不完全なところなども七海に取ってどうでも良い事になっていたように感じました。七海の禄斗への愛は掛け替えのないものだったと思います。

 禄斗が思いがけないことから本当の自分を知り、七海と禄斗二人で決めたエンドは涙々でした。

 エンドからアフターストーリーと続き、余韻に浸りながら色々と思い巡らせました。
 以下仮説です。
 禄斗は願い通り人間に生まれ変わり公園で同じように生まれ変わった七海と出会う。しかし目の前の七海は生まれ変わる前、七海が初めて目にした禄斗と同じ姿でした。これは七海が禄斗の為とはいえ、罪を犯して来たことへの償いなのでしょうか…。
 私としてはここで七海もまた人間として生まれ変わっていたら…人間の少年同士として出会っていたら…と想う気持ちが強かったのが正直なところです。
でも人間の少年も禄斗とは言い切れないし、人外の少年も七海ではないのかも知れません。
 こうして余韻に浸りながら色々想い巡らすことが出来る作品は貴重です。

 最後のシーモア限定のページで全ての想いが浄化されたように感じました。
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