路傍のフジイ
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路傍のフジイ

鍋倉夫

史上最強の弱者男性!

2025年3月1日
弱者男性、とかいう言葉がありますよね。
定義は使う人それぞれで、ぼんやりしたものですが、なんとなく「勝ち組」ではなくて、今から「勝ち組」になるのもかなり難しそうな、特別なものも若さも持ってない男性、みたいな。
この物語の主人公って、そんな感じなんですよね。
でも、それって本当に何も持ってないのか? 誰と比べて「負け組」なのか?
戦う必要が無いから敵が存在しない場合、強さにかかわらず「無敵」ですよね?
何も持ってないって言ったって、何かを感じる心や、自分だけの思い出があったら、それは何にも代えがたい宝物だよね。
『人知らずして恨みず、また君子ならずや』(by論語)
そんなような物語です。
じんわり温かい、ほのかに良いにおいがする、そんな読後感のエピソードが多いので、そういうお話を求める方に、おすすめできると思います。
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