オリヴィア嬢は愛されると死ぬ ~ 旦那様、ちょっとこっち見すぎですわ ~
」のレビュー

オリヴィア嬢は愛されると死ぬ ~ 旦那様、ちょっとこっち見すぎですわ ~

紺染幸/DSマイル

泣きました

ネタバレ
2025年3月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ コミカライズに興味を持ちました。でも、そちらは始まったばかり。次はいつ出るのか待ちきれず、ノベルに手を出しました。お値段高め。迷ったけど…えいやっと。大正解でした。買った私、偉い!
 旦那様は、呪われてます。3代前、つまり旦那様のお祖父さんが、正妻がいるにもかかわらず、真実の愛に目覚めてしまうのですね。街の花売り娘に。政略結婚の正妻は名家の出で、プライドの高さはハンパなく。と、これは旦那様はじめこの家の人々(全員男)が使った言葉です。ここ、大事です。正妻は呪いをかけます。その方法は?毎日自分に針を刺して血を流すこと100日。その後命を断ちます。その針が屋敷にある限り呪いは3代続きます。すなわち、当主の愛した女は12月の満月の夜に死ぬ。ただし1代につき死ぬのは1人。後妻に呪いは効きません。これね、最初は読み飛ばしちゃったんだけど、めっちゃ大事です。最後まで読んだら、わかります。この呪いの意味と深さ。
 さて、3代目の坊ちゃまは、これ以上女を死なせることを良しとせず、物心ついて以来女と一切接触せぬ暮らし。自分の代で家が絶えるのもやむなし。でも、やむなしじゃないのが、お付きの人々。絶やしてなるものかと。画策した結果…
 オリヴィア嬢が買われてきます。彼女は、大商家の娘だったのですが、父が貿易船とともに海に散り、母は病に倒れ弟妹は幼い。娼館に身売りするところを、お付きの人にスカウトされてお屋敷にやって来るわけです。激しく拒否る旦那様ですが…まぁわかりますよね。2人は愛し合うようになります。旦那様は絶対認めないけど。認めなくたって、そこに愛はある。なら、呪いは発動しちゃうよね。大邸宅の中に隠された呪いの針はどこにあるのか。旦那様は、ついに、命より大切な代々の蔵書ごと屋敷を燃やすことで、針を消滅させようと決意します。もちろん、オリヴィア嬢はそんなことさせんけどね。
 このお嬢様が、実に好ましいのですよ。所々で語られる家族との思い出話が、しみじみと美しい。お嬢様、実は養子なんですね。毒親に売られた。そう、実は金で買われるのはこれで2度目な訳です。家族で遊ぶかくれんぼ。隠れるのが下手な訳。母が実子を身籠ったときの怯え。愛すること、愛されることの価値を知っている彼女だからこそ…の結末でした。
 端役にいたるまて、全員が中身が善き人。ただし祖父は除外。
 素敵な時間をありがとう。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!