ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました【単行本】【コミックシーモア特典付き】
ハマサキ/江本マシメサ/茶乃ひなの
このレビューはネタバレを含みます▼
このお話、モフモフメシウマギャグコメのようでいて、実はシッカリ作り込まれた『シンデレラ』の揶揄なのでは。まず、
①主人公がムリヤリ参加させられた舞踏会は第3王子の妃候補選定の場だった。
②主人公は宮廷に『靴』を残して逃げる
③『王太子』が靴の持ち主を探す
④主人公は第3王子と結ばれる
シンデレラの最大の疑問は王太子が靴の持ち主を探すことである。顔を見て惚れたなら、あり得ない行動である。それらの疑問をすべて払拭したのがこのお話…
主人公が前世の記憶を持っている設定もお話に大きく生きている。それは料理技術よりも、庶民感覚である。主人公は王子と婚姻するのに何の障害もない有力公爵令嬢でありながら貴族教育を放棄、第3王子もまた引きこもりという、ともすれば権力を持つものの責務を全く負わないバカップルになるところであり、ゆえに主人公の父親も王子直々の婚約申し込みに抵抗した。
王子の土下座によって公爵の了承をムリヤリ得た訳だが、王子の土下座は一度目は聖獣に対してであり、主人公の価値は聖獣と同等の臣従礼に値すると示している。コミカルに描かれているが、すぐに土下座する『土下座王子』な訳が無い。
その後王子は主人公の庶民感覚によって事業を成功させ、王族としての責務を自覚してゆく。
浦島太郎のお話に王子が食いつき、矛盾の指摘に間髪入れずに論破していく二人の会話が面白かった。
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