応天の門
」のレビュー

応天の門

灰原薬

道真と業平のコンビが良き!

ネタバレ
2025年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 歴史上の人物を主人公に据えた謎解き物。かの有名な菅原道真と在原業平が、平安時代の京の都を舞台に不可思議な事件を解いていきます。絵は線が荒いながらも美しく、やや仄暗い世界観にマッチしていると思います。
道真は元服したてで幼さが残る顔立ちながら、それに反してどんな相手にもズバズバ物を言い小気味良い。聡明すぎるせいなのか、ほとんどのシーンが不機嫌そうなジト目です。それがまた逆にかわいらしい。
業平の容姿のデザインは、私が元から持っていたイメージとは真逆でした。平安一のモテ男として知られる業平、絵に描き起こすなら耽美系かなと勝手に想像していましたが、この作品だとほんのり野性味を感じる男性らしい男性。私的にはこちらの方がずっと好み。
この二人で事件にかかわることになりますが、頭脳明晰な道真のこと、それほど苦もなく真相に近付いていきます。
ただ、暴いてはいけない闇もある。遙か昔の時代は権力が全て。正しい者が勝つとは限らないという言葉が重く響きました。そして、“欲にまみれた貴族たちが集う応天門より先は、鬼の本丸”。まさしくその通り、貴族社会の闇を感じます。
なかなか殺伐とした雰囲気ではあるものの、ややヌケている三枚目キャラの長谷雄の存在がちょっとした癒しにもなっている。彼が登場した途端に場の雰囲気が和むとともに、道真とのやりとりにもクスッとさせられます。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!