このレビューはネタバレを含みます▼
流行りの異世界ファンタジーの貴族ものだと学生か20代くらいの年齢が主流で、BLでございと言わんばかりに女っ気が排除されてる事が多い中(当て馬はその限りではない)、お互いに子供もいる成人男性であるという点がまず珍しいです。
親ではなく子の方ですが、ちらっと出てきた政治的な政略結婚なら受け入れるよう教育を受けているという文章など、これぞ貴族社会で生きているというリアリティさを感じます。
子供の方はNLで、しかも物語にがっつり出てくるというのもBLでは珍しいです。
更に、悪役転生ものは前世の記憶を思い出した途端に、これまでの自分と180度方向転換して前世の性格が表に出てきて基本的に善良になりますが、アンドリム様は記憶を思い出しても今世の性格のまま、記憶だけ活用して悪の道を走り続け、その悪逆非道さは変わりません。
悪役好きにはたまらないです。
悪役転生ものの、処刑回避するために将来処刑してくる攻略対象相手に親切にしていたら執着された系鈍感主人公の話があふれかえっていて食傷ぎみなので、こういう設定は凄く新鮮で面白いです。
世界感もキャラクター設定も全てが好みです。
1巻でお話としては完結していて、2巻、3巻と番外編で間の物語が続きます。
しかし今世の人生も着々と終わりに近付いていているようなので、タイムリミットが来てもそこで終わりではなく、今度は二人の来世に焦点を当てたお話が読めたらなあと思います。