静かな朝食 孤島の兄弟
」のレビュー

静かな朝食 孤島の兄弟

野原耳子/桝目の助

重いテーマだけど読後感スッキリ

ネタバレ
2025年3月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終わってすぐの率直な感想は、先生こういう純文学みたいな作品も書けるんだーすごいなーって。兄が見ている前で両親が惨殺される。犯人は兄の親友の父。重いテーマ。なぜそうなったのか、真相は当時7歳だった弟には知らされず。兄弟身を寄せ合って9年。兄は弟のためだけに生きてきた。16歳になった弟は、真相を知るために1人で故郷へ。そして知ったある事実…。読んでる途中で、あぁそういうことかってわかるんだけど。重くて、切ない。救いようがない。弟と仲違いした兄が身を寄せた、近藤さんはどういう立ち位置なのかな。兄はかつての親友に会って謝罪すると言ってるけど、言って欲しい言葉は謝罪じゃないような。瀬戸ちゃんの存在が、この救いようのないところに光をもたらしてますね。先生の別作品に登場する九条姉みたいなイメージ。重い重いテーマだけど、ラストは希望を感じさせる。静かで、お味噌汁の匂いがしてきそうな。キスシーンすらないこの作品、BLジャンルにしておくのはもったいないです。
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