碧のかたみ
」のレビュー

碧のかたみ

尾上与一/近江谷/よこやま/

どうしても受け入れられない作画

2025年3月30日
BLジャンルの検索中にこの作品を目にしてしまい、戦時中の物語(もちろんBL含む)に興味を持つ者として書かずにはいられなくなってしまった。だいぶ言葉が荒く汚くなると思いますが、どうかご容赦を。

この作画はダメです。見た瞬間絶句でした。
何をおいてもあの髪型。目にかかるほどの前髪を整えず、常にだらしなく垂らしているのは有り得ない。
階級や戦績が良い者や飛行機乗りならば、という肯定的なレビューを拝見しましたが、はっきり言います。髪の長さはともかく、飛行機乗りだからこそ、あの髪型だけは有り得ない。
なぜそう言い切れるかといいますと、私の大伯父は当時陸軍曹長で部隊も率いたベテランの飛行機乗りだったんです。その影響で私自身も航空隊(陸も海も)にはたいへん興味があり、飛行機乗りについての知識はそれなりに持っていると自負しております。
ちなみに当時の大伯父は丸刈りでしたが、髪を伸ばすこと自体は別にイレギュラーではありませんでした。有名な撃墜王の中にも髪が長めの方はおられます。
ただその場合、皆さんオールバックや七三に整えていた。何かの拍子に髪が視界を塞いだら一大事、目は飛行機乗りの命なんです。
でもこの作品では、わざわざ出撃時にすら飛行帽から長い前髪をはみ出させ、しかもその鬱陶しい前髪が航空眼鏡の上に…。前述のように視界不良は死に直結、そんなふざけた姿の飛行機乗りがいるわけないでしょう。
作品紹介の中に“生き残りをかけた戦い”とありますが、笑ってしまった。…どの口が。生き残りたければ、まず手始めに前髪をどうにかしましょうね。
別の作家様の海軍航空隊を舞台にしたBL作品も拝読しています。そちらの方は実に丁寧に当時の髪型、容姿、服装等が調べ上げられており、これとは比べものにならないほど忠実に描かれている。それを先に見てしまったら、これはもうとてもじゃないが読めません。
ファンタジーならいざ知らず、実際の戦争物をビジュアル重視でいい加減な描き方をされることに、嫌悪感と腹立たしさを感じるのです。日本のために命懸けで戦って下さった方々が軽く見られているようで…。私の祖父も大伯父も当時戦争に行った人間なので、余計に感情が入ってしまう。
戦争物だからこそ、たとえBLであっても出来るだけ史実に近い髪型や服装できちんと描いて欲しかった。それだけが非常に残念です。一遍に読む気が失せてしまいました。
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