このレビューはネタバレを含みます▼
うううっ。泣きました。所々、胸がギュッと締め付けられました。闇属性の子供が忌み嫌われる、というのは異世界モノであるあるだけれども。これは。異世界ごとだと笑って読めないところもあるのです。何の罪も無いエリスは王女であるのに闇属性だというだけで疎まれてきた。歳の離れていない実の姉イルミナは光属性でいつも人に慕われ、公務をこなしていて。次期王位継承するだろうと期待されている。そんな姉を眩しく思い、エリスは自分を卑下していた。そして引き篭もったエリスは冤罪をかけられて処刑されてしまう。死に戻ったエリスは自身にかけられた冤罪を晴らして生き延びる為に、引きこもり生活から少しずつ脱して行くのだが。死ぬ前も、現世も。周囲がエリスの言葉をまともに受け取ってくれないという辛さ。気持ちを、真心を、大切に思う人に信じて貰えないという切なさ。エリスの気持ちを思うと、泣けて、泣けて。涙が止まりませんでした。誰しもそうだとは思いませんが、少なくとも私はこの気持ちを知っている。言葉を尽くしても、何を言っても届かない気持ち。信じて貰えない辛さ。気持ちや言葉を疑われる哀しみ。実の父、王陛下にすら誕生日を祝う言葉をかけられず、揉め事は必ずエリスが原因の様に言われてしまう。(父には周囲を警戒していた、というのが後に明かされるものの。)しかし、死に戻って生きようと必死でもがくエリスは、それでも前を向く。そこもまた泣ける。エリスの決意を知り、彼女の周囲を探っていたイルミナの側近クラウィスが次第にエリスに魅かれて行くのはお約束。エリスは彼を信じて、共に前世で仕掛けられた冤罪を晴らす為に奔走する。それは、王位継承よりも根深い憎しみと支配欲に駆られた一神官の仕業だった。最初はミステリー仕立て。展開がどんどん変わって真相に近付いて行く様は圧巻です。特に中盤はドキワクが止まりません!一気に畳み掛けられて読破してしまいました。泣けて、ドキドキして。最後には愛する事を知り、愛される喜びも、信じられる人をも得るエリスの大きな笑顔にホッと胸を撫で下ろす。温かさ。人に信じて貰えること、人を信じるという事。大切な事を教えてくれる、物語。胸にじんわり余韻を残してくれました。