竜王の婚姻【イラスト付き】【単行本書き下ろしSS付き】
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竜王の婚姻【イラスト付き】【単行本書き下ろしSS付き】

佐伊/小山田あみ

ずしりと重く哀しく素晴らしい作品だった

ネタバレ
2025年4月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他の方のレビューに便乗しちゃいますが、BL要素のあるロードオブザリング、という感じでBLの枠を越えたとても重厚で素晴らしい作品でした!

某アプリサイトで毎日無料で読んでいたのですが、先が気になりとても待っていられない!となり上下巻購入。
レビューも全て読み、分かる!と首をぶんぶん振りながら同意してました。

とても作りこまれたファンタジーな世界観の中、群像劇のようにたくさんの人物が登場しますが、どのキャラも輪郭がはっきりしていて生き生きと描写されていました。

ネバルの王子セナを愛する男が二人……三角関係と一口で言えない三人の関係性。だけどその愛の形に納得してしまう。必然で運命だと感じてしまった。下巻の展開には分かってはいたものの涙。イザクも大好きですが、アリオスがいてくれて良かったと思いました。

アリオスに関しては、序盤のセナに対する対応が酷過ぎて最初は好感度ゼロだったんですが、イザクにセナを託す前辺り、本当は最初からセナに惹かれていた事、皇帝自身が心を凍らせて生きて来たせいで自身の気持ちすら分かっていなかった事を知った辺りから好感度爆増しました。

他には誰に対してもズケズケと物を言う小人の従者フオルが全編通じていい味出してますし、セナやアスランとの絆の深さには本当に泣けます。

全体的にはシリアスで緊迫したストーリー展開が続き、ラスト近くまで安息は訪れませんし、死者も多く出ます。
特に闇人イザクがセナと関わるうちに人間らしい心を取り戻し、お互い惹かれあい想いを通じ合わせたものの、セナを守るためにイザクが死んで行くシーンは数日引き摺るほど。

終盤も、前もってラストがどうなるかレビューで予習していたのに、途中「えっ!?」となる展開になりハラハラしましたが、ちゃんとラストしっかり着地してくれて本当に安心しました。

心が苦しい展開が多くあり、気軽に何度も読み返せないですが、この作品を読む事が出来て良かったです。
世界観にぴったりな美麗なイラストもとても良かった。

感動をうまくまとめられませんでしたが、素晴らしい作品をありがとうございます。
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