魔王の愛妻は愛されない
」のレビュー

魔王の愛妻は愛されない

フナツマル./サワダウタコ/Team Sweet Fantasy

絵が美麗で読みやすい。今後の展開に期待

2025年4月6日
絵が大変美麗でストーリに集中できる作品となっていて読みやすかったです。この点は大変評価できるかと思います。
また、テーマも今の時代にあっており、わかりやすく抽象化されている作品だと思いました。

魔族と人間の描写に置き換えられているが、戦争における二国間の対立を背景としてストーリは展開していく。
でも、どうしても人間同士の戦いに見えてしまう。
最近は海外を中心に2国間の紛争が目に見えて増えてきており、この漫画のストーリと重なってしまうと思うのは私だけでしょうか。

まんがでは、両国の対立先=悪、自国=正義として描かれているが、対立先の内情を見れば逆の見方に変わる。一方で自国の中にこそ本当の悪がおりこの戦いを利用して自分の利益を追求していくということがわかりやすく描かれており、この時代だからこそこの漫画を読んで考えられることは多いのではないかと思いました。
この点は魔族の嫁に差し出された、王女エステルの目を通して写し出されていくことになるが、これこそ、対立先をフラットな目で見て感じて、本当の事実がどこにあるのかを理解することの重要性を示していくことになるのではないかと思います。
「魔王の妻は愛されない」のストーリの重厚さはこのエステル王女が見たものをどう表現するのかにかかっていると個人的には思っております。その表現力の源泉は、原作者や作画者の人生観や経験にあると思いますので、この点も今後の展開を見守りつつ、現著作者の考え方も楽しみにしたいところだと個人的には思いました。

この先の展開はわかりませんが、魔族の国内はよくなり、一方人間の国内は荒廃していくそんな先の展開が暗に想像されてしまうところに人間の危うさを感じてしまいました。

今の時代だからこそ、「魔王の妻は愛されない」のストーリがさらにその先の希望を見せてくれる展開であることをひっそり祈っております。
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