ゆびさきと恋々
」のレビュー

ゆびさきと恋々

森下suu

この世界線にずっといたい

ネタバレ
2025年4月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 伝えたいことが四つ程あります。
一つ目は、画がとてもきれいな点です。眼福になります。麗しさ、瑞々しさ溢れる表現は鑑賞作品と思います。タイプの異なる美男美女が目白押しです。

二つ目は、全体を通しとても優しいことです。主要人物みんな一人一人違って、みんな優しいです。この世界線に心を解き放って、読み進めると、心が軽くなるのです。現代文でならったカタルシスって言葉がぴったりなような気がします。アロマオイルみたいな作品です。深夜まで起きて読んでるのに何の罪悪感も生まれません。清々しささえ感じ得ます。なんてこった。

三つ目は、逸臣さんの表情です。話が進むにつれて逸臣の表情が柔らかくなっていくのです。初めのほうは恥ずかしさで顔が赤らむこともなく、何を考えているのかはわからない、多少のじれったさを感じますが、後半見事に回収されていきます。11は圧巻です。人間性が深く描写されて、こんなに段階的に書き分けできるものですか?安心して課金してください。

四つ目は、切なさです。胸が捩れて、涙不可避なのです。桜志さんが個人的に刺さりまくりなのですが、観覧車では切なさの風力が瞬間最高速度を記録しました。
私も優しくなりたい、芯の強い人でありたい、素直でありたい、静かにそっと思える素敵な作品に出会えました。
引き続き絶対買います。
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