僕たちがなくしたもの【電子版限定特典付き】
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僕たちがなくしたもの【電子版限定特典付き】

名目古グリズリー

情緒、やられます

ネタバレ
2025年4月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作含め二篇。ヤンデレ北風作品と、それを打ち消すかのごとくに収録された癒される太陽作品(謎解き要素も絡んでいて深いしすごく良い)。
そして表題作について語りたいのです。幼なじみの同級生。好奇心からエスカレートした性行為に快楽以外の意味はなく、あまりに嗜虐的な2人のお遊びを見届けた後、しばらくは動悸が止まりませんでした…生花プレイに女装に金的。出血はないまでも感情に任せた何もかもが無機質にハードで痛々しいので、試し読みの段階でしんどかったらおすすめはできませぬ…なんだか終わり方もはっきりしないし。
けれども、IQ(知能指数)低そうでEQ(感情の知能指数)高めな攻めのらいくんが、EQ低めでIQ高めなしゅんちゃんの願望を見抜いてキチクを演じている可能性があるところに解決の糸口が潜んでいるように思います。
両親から得られなかった愛情をしゅんちゃんで埋めようとしたらいくんの動機も良くなかったけれど、体裁ばかり気にするモラル人間なしゅんちゃんもまあまあそれなりに欠落している。そういうしゅんちゃんの浅い腹の底なんか、共感性の高い年頃の女の子に見抜けないわけないじゃない(※男女の性行為、イザコザありご注意)…自分(らいくん)ほどしゅんちゃんを満足させてあげられる変態なんていないと自負していたのに、彼女なんかつくりやがって…からの報復エチは見ものです。

遠回りしたけどノイズに埋もれていたこの気持ちは「すき」だ。ずっと前から君がすき……とかなんとかそれだけでらい&しゅんは一周まわって呆気なくうまくいくような気もしますが、そうなるずっと手前で「ご想像にお任せします」的に終わってしまうのが、お上手なんだけれども残念。
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