鋼の錬金術師
」のレビュー

鋼の錬金術師

荒川弘

戦闘系ダークファンタジー金字塔

ネタバレ
2025年4月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「鬼滅の刃」が和風とすればこちらは洋風の金字塔。人間ならざるものに対しての圧倒的不利な戦いという点と、ダメージを受けた血肉を分けた弟妹のために戦うという点も似ています。中だるみすることもなく一気に読めて、登場人物もキャラが立っていて魅了的ですし、やはり傑作だと思います。ただ、「鬼滅」もそうなのですが、向こうは殺されてもなかなか死なない非人間なので、超人的とはいえ、普通の人間であるこちらは圧倒的不利。いくら漫画でも、手負いの状況で「ええーそんなにできちゃうの?」と思ってしまうこともしばしば。なので、ドはまりしたかというとそうでもなく…。ただこれは読む側(自分)の問題かなと。
難を言うならば、軍人方がちょっと甘いところです。マスタング大佐やアームストロング少佐は軍人のリーダーとしては本当に甘すぎで、特にマスタング大佐は肝心のところで部下や周りに助けられすぎ。最後の方の中央軍を殺さずに怪我だけさせて、ってところも甘すぎだしそんなので相手を黙らせることができるとも思えない。だって相手を殺さなければこっちがやられる状況なんですよ?!そこいくと、アームストロング少将は厳しくていいです。いざとなれば自分を切り捨てろという潔さに加えて、部下も切り捨てる覚悟がある。でも、それは最終手段で、普段から部下を大事にしているから、部下とも信頼関係があって、部下もこの人のためなら死んでもいい、という覚悟がある。だからこそのブリッグス要塞の強さなんだと思います。イズミ師匠も、禁忌を犯してから、自分のしたことと立ち向かいながらの強さもあり、ウィンリィは信じて待つ強さがある。なんだかんだ「女性は強い」ってことなんでしょうか?
主人公のエルリック兄弟は、血気にはやってむやみに突っ走りがちなエドと対照的にアルは穏やかで思慮深くいいコンビです。最後も、自分を犠牲にしたわけではなく兄がどうにかしてくれると信じて、兄に手を貸して兄弟で命運託したってことなんでしょう。でも、最後も、えっ、そこ素手で?と思ったし(漫画内にも大きく書いてあった笑)、アルの身体を取り戻すにもエドの錬金術の能力と交換でそんな簡単でいいの?とは思いました。まあエドが真理とは何たるものかを理解したので、真理も、よろしい、ということになったんでしょうけど…。
なんだかんだ文句言ってますが、でも、やっぱり漫画好き全人類におススメできる良作です。
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