午後の光線
」のレビュー

午後の光線

南寝

心が柔らかかった時期を思い出した

ネタバレ
2025年4月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中学生。あの頃のゆらぎを青春というひと言で片付けてしまうにはあまりにも短絡的で、軽率な気がする。線路で弾ける遺体を見て、性的興奮に繋がってしまう程『ちぐはぐ』で、不安定。小さな世界で起こる事が全てで、一つ一つが致命傷になりかねない。大人になってみるとちっぽけなことでもあの頃の自分にとっては心臓を抉られる出来事だっていっぱいだ。
一冊の漫画にこんなにも心を揺さぶられるのは何十年ぶりだと思う。下手をしたら学生の時以来かもしれない。レビューを書かれている『さめ』さんという方の解説が全てだと思うので、内容については多くを触れないでおく。
一コマずつに意味があって、ひと言ずつがあまりにも重くて、美しい。どんなに言葉を尽くしても、『午後の光線』を説明しようとすると、結局稚拙になる。
どの風景にも、香りにも、もう会えない大切な人が溶け込んでいる。どんなに時間が経ってもふとした時悲しみが押し寄せる。それを言葉にして、絵で魅せられる漫画家はそういないと思う。
追記:淀井の乳歯を囲んで酒が飲めるようになった3人を見てみたい。
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