このレビューはネタバレを含みます▼
「神も仏もねーな」そんなセリフ通り人生ってなんて思い通りに行かないんだろう。淀井の母親も付き合っている男性も決して悪い人ではない。淀井の突然キレる様子は見ていて心配になるシーンではあるが愛情を確信出来ず心に溜まったものが別の形で一気に噴出しているようなそんなシーン。家庭環境に悩む淀井も次へのスタートを切る筈だったのだ。悲しんでいる母親にこっちを向いて欲しいと努める幼い淀井が不憫で泣けて。そんな子供にも感心が及ばぬ程のショックを受けていたこの母親の弱さはあれど前を向こうとしていた姿にこの結末は私もショックで堪らない。どうか立ち直ってと願わずにはいられない。
トラウマ持ちのもう1人の主人公の村瀬の何を置いても自分に向けられる絶対的な愛情を得て淀井がどんなに嬉しく安堵したことか。そして友人の飯田。キレる淀井を知っていながらもずっと近くにいた彼の懐の深さ、淀井の内なる心境を感じ取っていたのだろう。こんな友人に恵まれることは淀井も言うように幸せな事だ。
淀井も未来に希望を持っていた筈だ。
残された者は悲しみながらも前を向くしかない。笑顔で過ごせる日がきっと来ると信じて。
本当に胸が苦しくなる作品だった。