恋地獄で待つ
」のレビュー

恋地獄で待つ

ダヨオ

楽しい設定なのに、おしい。。

ネタバレ
2025年4月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 詐欺師が地獄で同級生と再会だなんて、なんとまあ楽しそうな設定。詐欺師と地獄の組み合わせにひかれて購入したのだけれど、なんだかすごくもったいない。この楽しい設定が、いまいち生かされていないというか。。詐欺師で悪いことしてきたはずの楽、でも地獄での彼には、その悪どい感じとか、薄汚れた感じが全くなくて、ちょっとこじらせただけみたいな感じ。もっとずるくて性格悪い受けを期待していた私としては、いささか期待はずれなのです。さらに学まで普通にいい子ちゃんで、ワンコな攻めは好きだけど、何か物足りない。
そしてさらに残念なのが、学が楽を好きになったきっかけ。いじめられてた学の生活に光をさした楽。なんだかな、、BLでほんとよくみかける「王道の好きになった理由」なのだけれど、これも読者に「なんで好きになったのかわからない」と言わせないために頑張って付け足された感じがしてしまった。

学と仲良く暮らさなくてはならない、学とお風呂に入らないとお湯が出ない、おかしな飴食べて興奮しちゃって、、などの仕掛けも、なんとか二人のいちゃこら的シーンを織り込もうと苦心した策のように感じられて、展開にあまり入り込めなかった。

そして結局は何年も共に生活しました、だなんて、うーん、ますます「なぜ地獄設定にしたの?」と、思わざるを得なかった。
閻魔様の存在感は一工夫あってよかったのに、なんだろなー、なんだろなー、これももう一息な感じで、もったいたいないなー。

地獄で同級生が再会するというおもしろ設定を、ただおもしろいだけで終わらせないために、楽や学の過去をシリアスにして、バランスを取ろうとしたのだろうか?どうせなら徹頭徹尾ふざけてほしかった。いじめや挫折といったエピソードは、安易に織り込むと安っぽくなる。ストーリーに起伏をつけるためだけに、安易に二人の過去にシリアスみをもたせているように感じた。
あと気になったのが絵。二人の絡みのシーンとか、全身を描いた場面で、足が妙に細かったり、バランスがおかしいことがあり、これも残念だった。顔の表情や、上半身の書き方で魅力的なものもあったのだけれど。

ダヨオ先生の作品には好きな作品もあるので、本作はたまたまあわなかったということで、次に期待します。ところで鷺ノ宮と豪徳寺、渋い駅名なのには何か理由があるのかな?
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