涙雨とセレナーデ
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涙雨とセレナーデ

河内遙

時を超え浪漫飛行

ネタバレ
2025年4月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 女子高生陽菜という主人公がいつも同じ夢を見るという、どこかノスタルジックな始まりからは想像もつかないほど、この物語は怒涛の嵐のごとく様々な事件、人間関係が絡み合いながら息をつく間もないほどに展開していく。
天真爛漫な陽菜が明治時代にタイムスリップしてしまい、自分とそっくりな雛子に出会い、互いの運命が大きく変わりだす。悩み、恋をし、迷い、何もない所から生き抜いていく姿は逞しく、強い。その強さとは裏腹に大粒の涙を流すシーンも多いのは、繊細な心の揺れとタイトルの涙雨を表しているかのよう。陽菜が前向きに果敢に進んでいけたのは孝章様の優しい愛があったからに他ならず。沢山の出会いの中、どんな時代でも人は人に救われて、そして恋に堕ちるのだなぁ。。運命の人、孝章様との恋慕が本当に刹那い。時空を超えた愛なんて悲恋すぎる!先が見えない!ずっと切ない、胸張り裂けそうです。
孝章様の真っ直ぐで綺麗な心と顔がもう本当に素敵で(特に横顔好き)。話す言葉、所作、服、全てが底抜けに素敵。惚ちゃいますよー!
そして明治の街並みや人々の暮らしが生き生きと魅力溢れ。日本の古き良き時代を丁寧にきっちり描かれていて、憧れ、思いを馳せてしまう。2人が始めて待ち合わせした西郷さんの銅像もこれからは違う気持ちで見るでしょう。
けれど、タイムスリップロマンス、という甘い言葉だけでは片付けられないほどに、人の欲、悪行や裏社会も描かれていて、読者はキュンやうっとりだけでは済まされない。タイムリーパーやらSF要素も絡み合い、ドキドキハラハラ止まらない。
親子の確執、怨恨、罪と罰。孝章様の生い立ち、うぅぅ辛いです。。。そんな暗闇の中、やはり孝章様と陽菜の純愛はひとすじの光のよう。その光消えないで!と願うばかり。魅力的な菊之進、大好きだけどあんまり横恋慕、陽菜を惑わせないでおくれ!雛子様と武虎の関係も目が離せない。いよいよクライマックスに近づき、たーくんの涙が、セレナーデが、哀しぃよーーっああ終わるの、寂しすぎます!!
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