真綿の檻【マイクロ】
」のレビュー

真綿の檻【マイクロ】

尾崎衣良

どの話も苦しい

2025年4月23日
どの話も、親子・家族・姉妹と女が苦しくなる話ばかり。辛いのに読んじゃいます。現実はハピエンばかりじゃないけど、お話の中だけでも解決して幸せになって欲しい。
母と娘はどこも難しい。全く歪みのない人などいないような。そして母娘の歪みは父親に起因することが割とある。妻にきちんと向き合わない夫は、皺寄せが子に向かうことを分かっていない(うちも)。
姉妹も比較されて不平等感をお互いに感じることは多い。どちらも相手に嫉妬してずるいと思いがち(うちも)。
どの話も、後半になると別視点からの見方に変わる。どっちにも言い分があり事情がある。けど、それを免罪符に他人に(自分以外の個体は血縁あれど全て他人)自分勝手な要求をしてはならないでしょう。別人格で、人権も尊厳もある存在。そうせざるを得ない状況に陥らないように。やはり経済的自立は必須条件。
親は子を支配できて、子は常に親に従順であるべき?親世代・子世代の意識ギャップは大きい。
わかっていない人間が世の中には存外多く存在し、こういうことが起こっているのだと思い知らせてくれる作品。現実は小説より奇なりという。この作品はまだ救いがある。
自分も何かしでかしてないか、被害者だけでなく加害者にならないように予習して心掛けるために有効な作品だと思う。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!