このレビューはネタバレを含みます▼
テーマが「聾の大学生と聴者の大学生の話」ということで重い話なのかなと構えていましたが、全然暗い内容じゃなかったです。難聴の方や聾の方と対話する時、伝わらないかもしれない不安から無意識に壁を作ってしまうというのは珍しい話ではないです。そう言った時、ケイトがどのような気持ちなのか、逆に会話を諦めないでくれた時はどういう気持ちなのか、とても繊細に表現されています。また、夢を追いかけるものの理想と現実のギャップに悩むフジナガの心情にもフォーカスされています。聴覚障害者のケイトばかりが可哀想に描かれるのではなく、それぞれにスポットが当たっていて、聴者だから聾者だからという扱いがないのが素敵だと思いました。ジャンルとしてはBLに入るけれど、それはこの作品の一要素にすぎないので、是非個人の趣味嗜好関係なく読んでみて欲しい作品です。