不可逆性の向日葵
」のレビュー

不可逆性の向日葵

緒花

戻らない日々のなかで、生きるということ。

ネタバレ
2025年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さんのコメントからすると、続きがあるんですね。
個人的にはこの一冊で完結してもいいくらい満足でした。

時間は逆には流れなくて、やらなかったことはもうすることができない。見ようとしなかったものは見えなくて、伝えられなかったものは伝えられない。
作中でほんの少しだけ奇跡が起きたけど、兄と主人公の人生が重なっていた時に、それが出来なかった事実は変わりなくて。
それでも、まだ生きている者は生きなければいけないし、むしろ戻らないからこそ、必死に見て、伝えて、動いて、生きなければいけない。
兄が精一杯に兄の日々を生きたことが、主人公が精一杯に自分の日々を生きなければという強い思いに繋がるところが、素晴らしかったです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!