ぼくらの
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ぼくらの

鬼頭莫宏

あくまで作者が「神」である世界での残酷さ

ネタバレ
2025年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少年少女に戦わせる話って、主人公と同世代の頃はワクワクできましたが、大人になると心配が強くなりますね。
この物語も、交代していく主役の子供達がかわいそうです。
で、残酷な物語と言うのはそれはそれで良いと思うのですが、個人的にこの作者さんの描く残酷さは「アウト」でした。
デビュー作の『ヴァンデミエールの右手』で注目、その後ポツポツとヴァンデミエールシリーズを読んだりしつつ、この作品を最後まで読み、その結論に至りました。
どうしようもなく残酷な展開になるのは良いんですが、この作者さんの残酷さは意図的である印象です。
作者さんが登場人物と一緒に苦しんでいるのではなくて、登場人物が苦しむのを読者に見せつけて「どうだ、苦しいだろう」と笑っている印象。
そうなると、物語の世界が「どこかに実在するかもしれない」世界ではなくて、作者の作ったジオラマに見えてしまうため、自分の趣味ではありませんでした。
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