忘却バッテリー
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忘却バッテリー

みかわ絵子

真面目な人生哲学とギャグ要素の最強コラボ

ネタバレ
2025年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ アニメから入って完全にハマってしまい、21巻まで読みました。大人が読んでも、野球漫画としても人間ドラマとしても読み応えのある作品だと思います。

甲子園という言葉そのものにも、そこへ繋がる人や物にも数限りないドラマがあって、無限の感動を引き起こす何かがあると思いますが、そこにプラスして人生にも通じる「哲学」のような問いがあって、キャラそれぞれ自分への問いに答えを出す…野球人として成長していく姿を見せてもらえます。

特に千早の「壁」の話は、野球に限らず勉強や人間関係、色々なことに当てはまる考えだと思いました。この話が特にグサっと私には響きました。

中学では強豪チームで無敵だった二人が、無名の都立で一から…じゃなくて0から野球を始めるので、当然早いうちに負けてしまいます。初めて負けることの悔しさを知った二人を『“負け“素人』と、うまい表現をするなと思いました。でも真の強者には負けを知った者しかなれないような気がしました。

「辞めたきっかけの背中を守る…」もの凄くアンバランスで矛盾した心理の中にある真っ黒に澱んだ過去と、「野球が楽しい」という爽やかさ。パラドックスに満ちた気持ちや葛藤のなかで「甲子園」という輝く未来を信じて、相手を自分を許しながら頑張る姿が皆ダサかっこ良くて最高でした。全高校球児を応援したい気持ちにさせられます。

そんな真面目で熱い野球漫画であるのに、要圭の二重人格?キャラのおかげでギャグ要素もかなり強いです。あまりの滑りようにこちらまで恥ずかしくなるような、しょーもないギャグから、主に山田君のツッコミが的確&絶妙で救われるシーンまで色々あって面白かったです。
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