あの夏から戻れない【特別版】(イラスト付き)
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あの夏から戻れない【特別版】(イラスト付き)

宮緒葵/笠井あゆみ

【ゾッ】ドアスコープから覗く攻めの姿

ネタバレ
2025年5月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ めちゃくちゃ面白かったです。ここ最近読んだ本の中では一番面白かった。幼少期には攻めの方がいじめられっ子で、それをいつも受けが守っていたというのいいですね。あんなに弱くて、守ってあげなきゃいけない対象だった男が、10年ぶりに会ったらとんでもないいい男に育っていたという。攻めにとっては15年ぶりですか。まず、生きて会えた喜び。小田牧村とかいう、現代での常識が通用しない奇怪な村。医者も病院もいない。警察も弁護士もいない。全てはおだまき様の御心一つ。なんとなく宗教じみた恐ろしさを感じる村。電子レンジもテレビもない生活。このやや昔の時代設定がなんとも言い難いノスタルジーを誘います。そんな村で生きていた攻め。攻めはヤバい女にロックオンされていました。悦子とかいうキチから覗かれながらキスするシーンがまず最高なんですよ。まだ受けは攻めの気持ち受け入れたわけじゃないんですが、攻めの視線で受けの抵抗は黙殺されます。その後もおだまき様に認められたことから、受けは少しずつ村へと馴染んでいくのですが…攻めと村長の関係はなんか怪しいな〜と思っていたのですよ!この辺の真実はぜひ、ネタバレなしで読んでほしい。また、攻めが長々と並行世界について語っていましたが、これもちゃんと伏線でした!ひゅ〜〜!!宮緒先生最高〜〜!!めちゃくちゃ面白かったぜぃ〜!!!最後、受けだけ元の世界に帰ってしまうのですが、笠井あゆみ先生のドアスコープから覗く攻めの姿は何遍見てもゾッとします。攻め、やはり宮緒作品に恥じない執着攻めでした。「命あるかぎり、死んでも離れない。」これってロマンチックにも深い愛の言葉にも聞こえますが、最後まで読んだ一読者としてはもはや呪いの言葉にも聞こえるんですが…攻めの深い執着愛、受け入れてもらえてよかったね。受けも、攻めに愛されて幸せに思える世界線に辿り着けてよかった。零番目にまさかのおだまき様登場。先生は読者の想像にお任せしますっておっしゃってますが、これが受けと攻めの運命の始まりであることには変わりないと思うんだよな。小田牧村の呪いに巻き取られる運命だったんですよ、この2人は。それを攻めが何度もチャレンジして捻じ曲げてみせたのは本当に深い愛によって成し遂げたものだと思う。本当に攻めがだいすきだ。すんごいお話の中身濃いのにページ的にはそんなに大ボリュームでもないから宮緒先生初めての人にもオススメ
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