淡海乃海 水面が揺れる時
」のレビュー

淡海乃海 水面が揺れる時

もとむらえり/イスラーフィール/碧風羽

史実を土台にした痛快戦国ファンタジー

ネタバレ
2025年5月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 50代のサラリーマンが戦国時代の近江、朽木村(現在の高島市朽木)の豪族の嫡男に転生。異世界転生という王道設定ながら、魔法や剣術の才などのチート能力は一切なし。現代社会で得た知識と経験だけをもつ「普通の人」が、戦国の乱世に放り込まれる。
 主人公は歴史好きで、その知識が当初は道しるべになる。しかし、次第に物語は史実と異なる展開へ。主人公は己の才覚と覚悟だけを頼りに生き抜くことになる。高島を支配した「高島七頭」と呼ばれる七つの武士団の抗争から話は始まり、畿内における六角・三好両氏の闘争、朝廷や足利将軍家の動きへと広がっていく。大胆な推測と虚構をまじえて、主人公が下剋上の世で成り上がる過程が鮮やかに描かれる。作画は時代考証を踏まえつつ、現代的な容貌の人物をうまく戦国時代に溶け込ませ、物語に新たな息吹をあたえている。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!