線場のひと
」のレビュー

線場のひと

小宮りさ麻吏奈

これを「歴史の一部」としては読む気しない

ネタバレ
2025年5月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 4話まで読みました。
根本的に合わないな、と感じたため脱落。

戦後の歴史的群像劇かと期待して読みはじめてみましたが、「戦後」という舞台を利用して作者の自己主張をしたいような印象を受けました。女はかわいそう、という方に話がもっていかれている感じがする。
とりあえず、ハルが好きな人を東京で待ち続けているのはいいとして、縁談持ってこられて家出して自死をはかって……っていう間に、一度も「好きな人を探しに疎開先へ行こう」という発想にならないことが不思議。疎開先を知らないにしても、探せば良いじゃない?その発想ができなくなるほどの精神的囲い込みがあったようにも見えず。
作品の注意書きとして「性的暴力的描写、現代では不適切だけど当時を表すための描写、それらに不快感があるかも」という旨の記述があったのですが、私はそれらの描写そのものではなく、「主張したい事柄のためにわざとそれらの描写を利用していることに不快」を感じました。
あとですね、いくら作者さんが植物に詳しくないにしても、「椿」と「牡丹」を混同しているのはいかがなものか……。描くにあたって調べもしなかったということで、些細なことながら創作の姿勢としては個人的に好きではありません。その姿勢で「調べた」「戦後」に真摯さを期待できませんでした。第二次大戦を扱うものには、他よりもいっそうの真摯さと慎重さが欲しいです。
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