キミドリ
」のレビュー

キミドリ

仁嶋中道

感動の救済ストーリー

ネタバレ
2025年5月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 仁嶋先生の作品を読むのは「愛追うふたり」に続き2冊目です。前作で既に思っていたけど今回で確信しました。これは作家買いする対象です。

「愛追う〜」と同じくタイトルに複数の意味が掛かっていてお洒落ですよね。
表紙の部分的に色付いてる黄緑も、作中白黒なのに瑛の瞳や温室の植物たちのカラーで浮かび上がってくるようなその黄緑色も、実に鮮やかで魅力的でした。

そして菖真のキャラがもう眩しくて。
2段ベッドや本棚やランドセルなんかで埋め尽くされた狭い部屋で兄弟4人がわちゃわちゃしている姿を見たとき自然と笑みがこぼれました。お日様のような愛のかたまりのような、真っ直ぐな男の子に育った理由が分かる気がします。

対照的にどうにも陰だらけの瑛。
顔のない絵を描いて泣いている瑛。
そこに無邪気に飛び込んでいけるのは菖真しかいないよねー。

優しい子は強い。菖真を見てると実感する。
特に後半の、「瑛に笑って欲しい」「これ以上傷ついて欲しくない」「絶対何とかするから」畳み掛けるように放たれたこれらの言葉に、何て強い愛なんだ…!と感動しました。
颯太に会わせてあげたい一心で、顔を思い出した後は瑛の笑顔を見たい一心で、思いついた提案を実行する。どれだけ瑛を好きなのかが分かります。そしてそれは自分の夢を叶えることにも繋がった。

これがデビュー作とは!
読後ほーうと幸せのため息が漏れるような、素晴らしく尊いお話でした。
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