リスタートはただいまのあとで
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リスタートはただいまのあとで

ココミ

色んな家族の形

ネタバレ
2025年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「ロスタイム〜」が大好きな作家様。
読みホにて読了です。

方言が温かい片田舎。
東京の会社を辞め10年ぶりに帰郷した光臣は、高校生の時に近所のじいちゃん家の養子になったという同い年の大和と出会う。
この場所で生まれ育った光臣よりよっぽど土地に馴染み、いつもニッカーと大きな口を開けて顔中で笑う大和。でもそれが実は自衛の為だと知ったとき、最初から見返してみたけど、光臣に向ける笑顔は本物にしか見えませんでしたね。
逆にいつも仏頂面で無愛想な光臣だけど、曲がったことが嫌いな裏表のないまっすぐな男で、そういうところが大和には逆に安心だったんだろうな。
最初に好きになったのが光臣というのが意外だった。私は大和はゲイなんだと思ってました。光臣をそっち側に引き込むのを躊躇っているのかなと。いやあ私も読みが浅いですね。大和の生い立ちを考えれば、人を愛することに臆病になるのはあり得ますね。
東京に行ったことが、吹っ切れるきっかけになってよかったです。両親からちゃんと贈り物もらっていたんだね。いい名前だね。
田舎というのは一概に「あったかいところ、いいところ」だけではありません(経験上)。昔ながらの慣習に縛られていたり窮屈だったり偏見も強くあったり、むしろ同性カップルに理解あるのは都会の方のような気がします。
それでも光臣の両親や大和のじいちゃんや原田みたいな人もちゃんといて嬉しくなる。樋口?は何のために登場したのかいまいち謎だけど(笑)、光臣が決してボロクソだけのサラリーマン生活ではなかったことが知れてよかった。

「幸せにできる自信なんてねえけど光臣の隣なら幸せになる自信はあんべ」
「幸せになんてしてもらわなくてもお前がいれば勝手に幸せになんだよ」
それぞれの言葉、主語が"自分"なのがいい。この考え方は理想です。
大和も言っていたけど家族の形は色々ある。光臣と大和が幸せになれると確信した形が叶ってよかった。パートナーシップ取得おめでとう。
しわくちゃのおじいちゃんになって縁側で堅い煎餅かじりながら笑い合っている2人の姿めちゃくちゃ想像できます。尊くて涙出そう。
末永くお幸せに!
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