死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから【分冊版】
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死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから【分冊版】

白川蟻ん/六つ花えいこ/秋鹿ユギリ

読み返して

ネタバレ
2025年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 確かに、彼も巻き戻っていると決めつけての主人公の態度はウザい。しかし、主人公は、最愛の恋人の死という重すぎる不安を抱えたまま、それを誰も分かってくれない5歳から、孤独に数年耐えて、待って、やっと、やっとの再会であり、どうか同じ気持ちであって欲しいという一縷の望みをぶつけてしまっても仕方がない。その一縷の望みは冷たい彼の態度にあっけなく崩れ落ちるが、それと同時にまた孤独な戦いが始まることを意味しており、たとえもう一度愛されなくても、ウザがられても、一秒たりとも無駄にせずに彼を守らなければならない思いの方が強いということなのだ。ウザいほど、コミカルなほど切ない設計である。

 読み直して冒頭のシーンで気になることが2つ。
1つ目は、彼の方が補習に行こうとする主人公を割と強く引き止めている。まるで彼の方がこの後悪いことが起こることを知っているかのように。
2つ目は、巻き戻りの5歳の目覚めのシーンで「何度でも」とまるで今回が初めてではないようなこと。

 彼が死んでしまうシーンでは、主人公が検分をしている。外傷はなく、苦しんだ跡もない。主人公も何の加害もされることなくクラっとしている。雷雨と何度も燃え盛る暖炉の描写。主人公は巻き戻ってから毒を調べているが、一酸化炭素中毒なのではないだろうか。2人がよくこの場所でまちあわせ、そして彼がこの部屋では寝る癖があることを知っているのが、主人公を巻き戻したローブの人物なのだろう。

 絵がとても美しく、主従関係の姫のお話もとても良い。
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