ユア・フォルマ
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ユア・フォルマ

如月芳規/菊石まれほ/野崎つばた

読み応え&思い出した3つの作品

ネタバレ
2025年5月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初、ユア・フォルマという用語の意味が分かりませんでしたが、読んでみると、「アクセル・ワールド」に出てきたリンクシステムとよく似ていて理解できました。 どちらも人間の脳にアクセスする機構を手術で埋め込み、肉体(と埋め込んだデバイス)のみでインターネット環境にアクセスでき、メール的連絡ができたり自分の視覚に情報映像が見える(ちょっと広告とか邪魔そう)、有線接続に使うポートが人体の首筋の後ろに開いているなどが共通でした。
電索については、夢枕獏のサイコダイバーシリーズを思い出しました。 こちらは機械を使わない超能力的なものですが、他人の意識に潜って問題を解決するという方法が少し似ています。
そしてアイザック・アシモフの「鋼鉄都市」「裸の太陽」。作中にも言及されていますが、SF初期の傑作で人間刑事ベイリーとコンビを組むロボット刑事R・ダニールの交流が描かれます。 Rはロボットの意味で、「究極超人あーる」などにその形式が受け継がれています。 アシモフの設定した「ロボット三原則」は鉄腕アトムなど多くの作品に受け継がれ、「ユア・フォルマ」にもかなり変更されていますが「敬愛規律」という形で設定されています。
この「敬愛規律」というのが、問題を起こすために作ってあるとしか思えない不備なものに思えました。 この設定では作品にもあるように、人間が人間を傷つけることをアミクスは阻止することができず、見ていることしかできません。 人間を傷つけないためにか、アミクスの出力(筋力など)や強度も人間並みで、暴力を受けたら自分を守ることさえできません。 なんちゅう不憫な連中だ!!というか非合法で丈夫で強いロボットを作ってしまう人間とかいないんだろうか・・・・・
と色々不満はありますが、犯人捜しの謎の複雑さなど読み応えは十分です。 事件の内容がエチカやハロルドの暗い過去に絡んでくるので作品の雰囲気は暗めな印象でした。
トトキ長官の猫(ロボット)がよくできていて可愛かったです。 アイボの進化系みたいなもの?
ハロルドの髪形は小説の額が見える方が嫌味に整った感じでキャラにあっている気がして好きです。
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