稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ【分冊版】
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稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ【分冊版】

嵐華子(カドカワBOOKS/KADOKAWA刊)/昴カズサ/八美☆わん

騙して「楽しむ」性格の悪さ

ネタバレ
2025年5月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一度目の人生を「無才無能」で陥れられたのに、3度目、同じ世界線で穏やかに暮らしたいのになぜ「無才無能」を装うのか分からない。飛び抜ける必要は無いが王子の婚約者として公爵家嫡子として無難な最低限の能力を維持していれば、穏やかに暮らせるのに、あえて母親や妹を焚き付けている。それを「楽しむ」人生なのなら穏やかさを望んでいるとは思えないし、性格が悪い。
 父親は、無関心なのではなくまともなのだろう。母親がこれほどまでに実の娘にきつく当たるのは、主人公が幼少期から前世の記憶を持って能力を隠したせいで絶望したからではないのか。公爵夫人として自分が産んだ娘が魔法世界における無能であると知った時の絶望は想像がつく。その上勉強も出来ないフリでは、母親は自分を責めるだろう。主人公は魔法世界と日本で女として長く生きた中で、母親としての経験はなかったのだろうか。母親や妹と穏やかに仲良く暮らせていない時点で、主人公の前世の人生経験は何の役にも立っていないということである。
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