このレビューはネタバレを含みます▼
バナナフィッシュ、アニメ放送当時は月龍のほうに感情移入してあまりアッシュに注目していませんでしたが、今更ながら再度アッシュを中心にじっくりアニメを観て、原作を読み、アッシュという人が大好きになりました（月龍ももちろん好き！憎めない魅力がある）。心に傷を抱えながら仲間のために強くあろうとする姿があまりに純粋で、壮絶な人生を歩む中でも美しく優しい心を持っているアッシュがとてもかっこよくて、切なくて、つらいです。英二という真っ直ぐであたたかく強い人が、アッシュを満たしてくれた時間は私も幸せでした。英二と過ごした2年という短い時間の中に、アッシュの人生の安らぎや幸福がほとんど詰まっていたんじゃないかな…。
英二の手紙の、「運命から君を守りたかった」という言葉がとても印象的でした。まさにバナナフィッシュは運命に抗い続けたアッシュの物語だと思います。最後の最後で英二に会うため駆け出したアッシュの願いは叶わなかったけど、運命に負けたのではなく、英二の言葉で心から救われたから、穏やかに運命を受け入れたのかなと感じました。もともと死に抗うことはしなかったでしょうから。
次にアッシュが目覚める時、そこが優しくあたたかい風が吹く場所でありますように。愛する友人や家族と穏やかに笑い合える世界でありますように、と願ってやみません。何度読んでも心が抉られるほど辛いけど、アッシュと英二の奇跡のような時間は何度でも読み返したい。本当に出会えて良かった作品です。
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