足りないふたり【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
」のレビュー

足りないふたり【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

kanipan

足りなさに共感して感動する

ネタバレ
2025年6月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本作の中に、盤内さんのモノローグで、「好きとは」から始まる一文があるのですが、それがすごくしっくりくる言葉で語られていたのが印象的でした。それは、自分の中にもしっくりくるという意味でもあり、盤内さんがこれまでを経てきてこの感覚を得たことへの納得でもあります。これを盤内さんに、この場面で悟らせて語らせるという流れが、盤内さんにとっての本作でのアンサーだと思うので、心に残ったシーンの一つです。汐海さんにとってのアンサーは、俺お前のこと〜のシーンだと思います。あそこ普通に泣きました。
こちらの作品は、足りないふたりがそれぞれお互いに探し物をしたり、悩んだり向き合ったりして、それぞれのやり方で進んでいく物語です。突然ですが、商業BLというジャンルにおける個人的な感想を少し語ります。恋愛もの、特に商業BLというジャンルでは、結構属性分けが重要な気がしています。年下攻めとかアイドル受けとか、最初に帯や表紙やあらすじやタイトルに分かりやすく明記されていたり、それに準ずる内容が記されていて、読者はその事前に分かる属性情報の中から取捨選択をして、自分に向いていそうな作品を探す傾向があるのかなと考えています。足りないふたり、は帯のところにそういう説明的な文言が並んではいるのですが、正直この作品の売りはそれの先にあるな、と思いました。確かに文言自体は説明として正しくて、これで選んで読む方もたくさんいると思うんですが、そうじゃない方も絶対読むべきです(過激派信者)。なんか、この二人の可愛さってそういう問題じゃない。本人ですら気づいていなかった、探してやっと見つけたピースに魅力が詰まっていて、こちらはただの読者なのに読んでよかった〜!となる感覚を得させてくれるのが、ストーリーテラーとしてすごすぎますkanipan先生。こんだけ長々書いて何が言いたかったかって、盤内さんは溺愛攻めだし、汐海さんは可愛すぎて気が狂うので気を付けてくださいってことです。帯とか説明文とか序盤じゃ分かんないよこんなの。どうせならときめき爆弾が埋まっています、くらい書いておいてくれても間違いではないですよ。
ときめきすぎて本気の悲鳴が出たシーンをあげます。汐海さんがお風呂上がりで柔らかい髪を盤内さんに預けるシーン。二人とも徐々に箍が外れていく初夜への流れのシーン。絞ろうと思ったけどここから全部きゅんきゅんすぎて絞れない…
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!