私のカミにひれ伏しな~復讐七変化~
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私のカミにひれ伏しな~復讐七変化~

熊田龍泉

骨太な人間譚 復讐の行く末、見届けたい

ネタバレ
2025年6月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 女装男子の広告に惹かれて読み始めましたが、内容はハードなエログロ要素や胸糞要素を多分に含みつつ、それでも生き続けなければならなかった人間の心の強さ、脆さを描く、深みのある物語になっています。

スカッとした復讐譚を求める読者のニーズに応えるものではないかもしれません。
しかし、個人的には、不快な出来事を多く扱いつつも、根底に人間という存在への深い眼差しを感じる漫画だと思いました……

思春期の頃に受けた壮絶なイジメにより、家族共々人としての尊厳を蹂躙され、両親の命まで奪われ、男性としてのアイデンティティも損なわれてしまった主人公。研ぎ澄ました復讐心に従い、老若男女への変装テクニックを用いて、かつて自分をいじめた犯人グループの人生に制裁を加えていきます。
しかし、学生時代はカースト上位に見えていた彼らの人生にも、社会に出てからは、思うようにいかないことや、わずかな綻びが生じていました。主人公はその綻びをつき、彼ら彼女らの人生に痛烈な屈辱を刻んでいきます。
絶対的な悪人の中に見えた「弱さ」、悪人の親族への対処……復讐する側・復讐される側、双方の人生から目が離せない、読み応えのある漫画だと思います。
個人的には、主人公の復讐に協力する謎の青年との出会いの経緯や、彼個人の背景が気になるところですが……
この復讐劇の末に何が待っているのか、最後まで見届けるのが楽しみです。
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