オリヴィア嬢は愛されると死ぬ ~ 旦那様、ちょっとこっち見すぎですわ ~
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オリヴィア嬢は愛されると死ぬ ~ 旦那様、ちょっとこっち見すぎですわ ~

紺染幸/DSマイル

前向きで、苦しい。悲しくも、美しい。

ネタバレ
2025年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても泣けます。今作はただ1人(厳密には3人)を除いてだれも悪くない。でも、ここまで悲しくも美しい物語になるのだと心打たれました。誰もが前向きに「死」と「愛」に向き合い、出会った人々と大切な時間を積み重ね、心を繋いでいく様は言葉では言い表せないほど切ないものでした。テンポよく会話が進むシーンも多く、楽しく読めるところもあります。ですが、そんなシーンもいずれ来る先のシーンを想像するだけで心が締め付けられてしまいました。
作者さんの言葉選びもとても素敵で作品によく合っていました。みんなで星を観るシーンがありました。同じ出来事でも考え方や捉え方で全く逆の価値観が形成される、というクラースの話。とても印象深いです。「オリビィアが愛され、死を迎えること」をあの時全員がどう考えていたのだろうと想像してしまいます。星を観たのが夏だったのでまだみんな実感はなかったでしょう。星を観たのが冬だったら…。クラースはあの話をできたでしょうか。
愛とはなんなのか。作中でたびたび問いかけられるテーマでした。クラースの愛、オリビィアの愛、カミラの愛、オリビィアの父母の愛、トビアスの愛、コニーの愛…。作中のキャラクターが思い悩み、考え、感じ、育んだ「愛」をぜひ読んでみてほしいです。
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