ラストサマースパークル
」のレビュー

ラストサマースパークル

内海ロング

信じて離れる、信じて待つ、出来ますか?

ネタバレ
2025年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何てタイトルは重めになりましたが、1言で言うと爽やかな風が吹き抜けていく、それに尽きます。内海先生の軽やかで表情豊かなタッチで、年齢関係なく心の奥底から優しい気持ちが生まれてきます‼️
高校の入学式で出逢った恭平と英二のお話。2人とも可愛いんだけど何と言っても英二のキャラが良すぎる…。中学の時に家族にゲイばれして居心地の悪い生活を過ごしている英二。そんな自分に合うよう、進路ならぬ人生設計も頭に入っています。そんな思慮深い彼も親友恭介との高校生活3年目に入り無自覚な彼のアレヤコレヤにダダ漏れしてしまう「好き好き」オーラ。P21やP31の赤面英ちゃん、可愛すぎ。しかも英二は男前。告白もお付き合いも彼から。告白されてドキドキしている恭介へのP43「俺、本気だから」P51「ばーか」P57「お前が教えて」ぜひ紙面で!これは惚れます…。英二に比べて天真爛漫な恭介も肩を痛めて水泳を挫折。それ以降何となく定まらない日々。前を見て進んでいる友達と較べて生まれる焦り。共感…ありますよね。こんな共感以外にも「友達と恋愛の好きの違い」とか、恋愛あるあるの告白後の相手が違うカラートーンで見えてくる…とか、恭介サイドも可愛すぎ。お付き合い直後の2人の可愛さにやられ続けますが、そこから真面目な2人ならでは葛藤も。言わなくても良かった言葉。責める必要のない後悔。若さ故の衝突も、そこはプライドまみれの大人と違い真っ向から向き合って解決していきます。その後の2人の選択は切ないけれど、2人は大人より大人だったと。
「迎えに行く」「迎えに来てくれるのを待つ」明確な期限がないのに信じて離れて、そして待つ。私達に出来ますか?答えは2年後。P208、英ちゃんと一緒に泣いて下さい。
こんな純粋なDKもの、異世界ファンタジーよりファンタジーかも。でも実世界でもこんな2人が居たら良いなぁ、と願ってしまいました。幸せな読後感、感謝です!
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