このレビューはネタバレを含みます▼
以前より先生のファンです。蜂煮先生の作風だからこそ引き込まれるゴシック体が、オリジナル作品で見れる人生が嬉しいです。先生の才能を前にすると“鬼才”とはまさにこんな人のことをいうんだろうなと感じます。
本編ですが、相変わらず人間の不気味なところを描くのがお上手な先生だからこそウミが軸となってしっかりと話が展開しておりわかりやすく面白かったです。
ウミ目線ということもあり、ヤマは当初かなり情報の少ないキャラクターでしたが後半は山田工業からの芸能界、山田工業から見えるテレビの中の世界、と視点が変化していた点も月並みな表現ですが面白かったです。
不器用な受けに世話焼きの攻めが魅入られていく展開は商業BLでよくありますが、本作はウミがヤマの一言で、ヤマに見合う男になっていく姿が私としてはウミのこともしっかり好きになれてよかったです。
ウミに特有の“イタさ”はなく、変すぎるからこそ受け止めきれないヤマが、待ち合わせた物差しでは測りきれないからこそ枠に当てはめてしまって無理に評価を下さず未知に触れる感じでいてくれていた点に、読者も心のむず痒さを感じることなく読むことができました。
私はやっぱり何年経っても先生の作品が一番好きです。