このレビューはネタバレを含みます▼
人間ドラマがよく描かれた群像劇ものですが、ラブコメ部分も多く、ラブコメ部分に注目して読むと終り方はスッキリとはしないかも。ですが、凪ちゃんがお暇を挟んで、自分を見つめ直してまた出発する話として読むととても似合った結末に感じます。爽やかで、皆が成長や気付きを得て前に進めて良かった。あと個人的に、円ちゃんの話は共感というか納得というか。性差を無くす、と目指した筈なのにやってることは自分が嫌な役割を代わりに誰かにやってもらおうとするだけ、で、肝心な時は既存の「らしさ」に頼って都合良く男らしい甲斐性は貰おうとするのは狡い。それが穴なんだ、って気付いて前進した彼女は強い。性差が性別固定役割がってそこばかり目を付けていると逆に固定役割に縛られるので、やはり自分に向いてることや自分らしさを探して見つめ直すのが一番だなって読んでて思った。選ぶことは難しいし怖いけど選ばないと前に進めない。選択肢は視野を広げれば意外にあるし、凪ちゃんも二人の中で選ぼうとしないで、一人で突き進むのもありだし、どっかで「お?」と思う出会いに期待するのもあり。ゆるやかに進む彼女のこれからを見たいような気もするけど蛇足になりそうだし、私はこの結末が好きです。お料理シーンとか見て食べたいって思ったやついくつか作ってみましたが美味しかったし、これからもちょくちょく読みたいお気に入り作品です。