金銀ささめくひみつは夜
」のレビュー

金銀ささめくひみつは夜

野白ぐり

身分差を乗り越えて⋯⋯

ネタバレ
2025年6月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 異世界ファンタジーの恋愛もので作者さん買いです。が、とても面白く読めました。

その世界では特殊な鉱物を加工することでいろいろなことに役立てているんですが、これはその中のある侯爵領の話。
いつもキラキラしてるみんなのアイドル・アロイは侯爵家の後継者。鉱物の探査、錬成を行う花形部署の隊長。女の子にもちょー人気。
対してミカドは事務方。眼鏡をかけていて表情を表に出さない物静かなタイプ。
ところがふたりにはバレてはいけない秘密があり⋯⋯。

と、要するにそういう関係なんかなーと思いつつ読んでいくと、ちょっと違う。
実はミカドは侯爵家に引き取られた孤児で、子供の頃からアロイと一緒に育ったからこそ、身分差を感じているわけなんですが、なんでもできる顔をしていたアロイの本当の弱気な部分にある日気付き、子供のようなアロイを人知れず甘やかすことに。
大人になってからも同じ城内で働き、普段は知らない顔をしているふたりは夜になると同じ部屋へ。爪まで磨いてあげる。
アロイの世話を焼くことに熱心なミカドと、一つ年上でありながらミカドの前では甘えたなアロイ。
このアロイがかわいい。
普段のヒーローっぷりが嘘のようにデレになってしまうんです⋯⋯かわいい。
そして実はふたりは大人の関係かと思わせておいて、アロイの性欲処理を手伝っているだけで、最後までいってないんですね。箱入り息子のアロイは初めての時からミカドに手伝ってもらっていて、大人になり知識も身についてからはそんなミカドに対し、焦れったいと感じている⋯⋯。
ところがある日、ミカドに縁談が持ちかけられて――?

飛び越え難い身分差。
誰にもバレてはいけない関係の中、ふたりはどうやって困難を乗り越えるのか?

この作者さんは美しく物語を全1巻にまとめてしまうので(もはや職人技!)続きが気になるところではありますが、1巻をぐるぐる読んでも十分に楽しめる物語性と、絵の美しさがあると思います。
特に絵!色っぽい男子は好きですか?わたしは好きです(笑)。その色っぽい絵に惹かれて、ついページを行ったり来たりしてしまいます。
ということで、ふたりの表情に注目して読んでいただきたいところです。

あまりファンタジーお好きじゃない方でも楽しんでいただけるのではないかと思います。
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