またね、神様
」のレビュー

またね、神様

ヴヤマ

恐ろしい話

ネタバレ
2025年7月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全体的にアングラ、人を選ぶ作品でした。両が徐々に壊れていく姿が辛かった。幸太郎はそれに気づいて距離をとる選択をしたのは良かったと思ったしとても勇気があることだと思った。幸太郎の母に対する思いとか、たった1人の家族だったからというのが切なくて健気で愛おしい。2人ともいい子で優しいからこそ危なくて、そしてあまりにも幼くて読んでいて胸が締め付けられる辛いお話でした。大人が中に入ってしっかりケアできていればと思うけどとても難しい問題なんだろうと思いました。成人した両が似た状況で気づいたシーンが切なかったです。保健室の先生も頑張ってたけれど、もう少し多くの大人で介入できてたら…と思いました。結局通報したのが高校生の子どもだったというのがやりきれないですよね。両の正義感や責任感は素敵だと思いました、でも酷です。最後幸太郎の母親に会いにいくシーンで両は吹っ切れられたのかなと、きっと罪悪感があったんだろうな…肩の荷が降りたようで安心しました。最初の両が戻ってきて嬉しかったです。そして幸太郎は強い子だなぁと、あんな経験をしたのに母親とも両ともしっかりと向き合って誰かのためになる職業に就きたいと夢を持って美しい子だと思いました。それは外見じゃなくて、心です。
なぜ人は神に救いを求めるのか…神様なんて本当にいるのかすら考えさせられました。幸太郎は神ではない、身勝手な押し付けの崇拝がおかしく感じられました。欲だけの行為を都合よく信仰だとするのが気持ち悪いです💢幸太郎と両はそれぞれ誰かを思いやれる素敵な心を持っています。悲しいことが起こるこの世でその心が誰かの救いになり、連鎖することになれば優しい世界になれるのに…とぼやいてしまいました。神なんていないのかもしれないけどその中でこれからもいろんな困難に直面するのだと思います。その中でお互い手を取り合って成長していく彼らを見守りたいです。
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