オーバーテイク
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オーバーテイク

加東セツコ

歳の差幼馴染、地味にじわじわ良い

2025年7月4日
163ページ。
表題作3話。同録に、2話のものと読切と、表題作の後日談描き下ろし。
総合星3を切っている本ですが、表題作が予想以上に良かったです。じわじわくるのが好きな人におすすめ。
表題作は、歳の差9つの幼馴染。歳上の好きな人に追いつこうとがんばる姿やこだわり方が、背伸びしてる感じや幼さを表していて良かったです。そしてもどかしさが良い。付き合いの長さからくる相手の気持を察する様子、そこから派生する関係性のはっきりしないまま続く付き合い、おお……わかるよこの感じ……けどもどかしいな!という。
まだ子供だと思っていた相手を意識するようになる瞬間を捉えたシーンとか良いし、「合格したらキスしてあげる」という言葉の子供っぽさとかそれがスルっと馴染んでしまう二人の相通ずる関係性とか、地味ながら良い、地味だから良い。
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・『くものあみ』(2話) 高校の時の同級生。片や上京、片や地元、繋がりは切れないけど踏み込むのも怖い。当て馬になってしまった同僚の彼がたいへん気の毒でした。地元の彼は好きじゃない。
・『ミミック』(読切) リーマン歳の差もの。じわっと攻めてくる部下の感じは良いけれど、なんか家族設定と展開がカチッと合わない印象。将来がいろいろ大変そう。
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