このレビューはネタバレを含みます▼
昔読んだのですが、再読。
読み終わっても、世界観から数日出られない名作です。稀にそういう作品に出逢います。ナタリーが全てを失ったと思っていましたが、実際に何もかもを失ったのは、フランシスなのですね。
両親を失い、幼い頃から自分の全てをかけて愛したナタリーも、生まれる前の娘も失い…この先ヴォージュのように、生涯ナタリーの面影を想いながら1人で暮らすフランシスが目に浮かぶよう…。
ヴォージュは、恋人が生きている可能性があると思って生きていたのと、息子や孫の存在にまだ救いがありますが、フランシスは「あの時、ああすればナタリーを苦しめなかったのに。」と、大人になればなるほど、自分の未熟さを悔やみ続けるんだろうなと。
でも、年齢なりの未熟さや頼りなさは致し方ないことで、それも含めてナタリーはフランシスを愛しく思っていたのだろうなと、大人になりきった今の私は思えました。
フランシスは、みんなが守って愛して素直に育てたので、あれがフランシスの良さなのだろうと思います。
ナタリーは、最後にこれまでで一番安心した気持ちで天国に行けたので、ある意味幸せな結末だったのかなとも思います。