スリーピングデッド
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スリーピングデッド

朝田ねむい

孤独な2人

ネタバレ
2025年7月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は唐突に生が奪われ、そのうえ人体実験をされる主人公が可哀想で胸糞すぎると思っていたら、2巻目で間宮の過去が明かされて一気に間宮が愛おしく思えました。だんだんと佐田が間宮なしでは生きていけない、依存するしかない自分を受け入れ、共に在ろうとする展開が最高に良い。プライドが高く、過去の経験から人に期待しないような態度を見せる不器用な間宮が、最後には本当の自分を曝け出していくのが、読んでいてほっこりします。幸せエンドかと思った矢先、実は実験は未完成で永遠と思っていた命が残り僅かと判り急展開。最後の佐田が間宮に遺言を伝えていくシーンは涙なしでは読めません泣。自分の最後を悟っても、最後まで間宮に寄り添い、自分がいなくなった後の間宮を思う佐田と、必死に話を聞いている間宮が切なくて苦しい。間宮の研究は行き詰まり主人公の体が崩れて、身も心も荒れていく。最後はいつも佐田とモン吉がいた庭に出て自分で命を断ち、佐田がいるあの世へ行こうとする。佐田は間宮の未来を願ったけど、佐田がいない世界は耐えがたいだろう。結局は命に逆らうことができず、あっけなく終わってしまうのもリアルな生を感じられて良かったし、朝田先生っぽい終わり方だなと思った。sfっぽい話だけど、所詮は同じ命で必ず終わりがある。人間の儚く脆い姿が描かれていてとても面白かった。
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