鵺の啼く夜に
」のレビュー

鵺の啼く夜に

miso

「だから」じゃなくて「だけど」

2025年7月14日
極道×オメガバース×ラブストーリー。
上記、配分は5割、2割、3割くらいの感じでしょうか…絵柄は少女漫画的で艶っぽいのに、情け容赦ない汚仕事描写は青年漫画にも劣らないほどに気合が入っています(要するにエゲツない)。
しかしこれほどきれいにタイトルと整合性の取れている作品も珍しい。
(あとがきより)miso先生はオメガバースの世界を人種や性別の差異と同列に捉え、バース性を特別視しないどころかむしろ否定することにより逆に説得力を持たせるというとんでもないやり口でこの作品を生み出した模様。

バース性に限らず、生まれ持った宿命として体質や環境に影響を受けるのは仕方のないことですが、片や運命というのは、実は選べるうえにかなり流動的だったりして。
αやΩやβ「だから」とはなから諦め盲信することをいわゆる運命とするなら…
αやΩやβ「だけど」自分はどうしたいか、どうするかを考え人生を切り拓いていく姿勢をなんとする??
少なくともそこには運命の奴隷なんて存在しない。

とある秘密をネタバレしてしまうと一気に面白くなくなってしまうので泣く泣く伏せますが、嘘も矜持もごちゃ混ぜにひっくるめたマオと八坂とニシキだったから三位一体になれたのだと思います。
うなじに刻まれる番の印。月明かりを頼りに行われる彼らだけの“儀式“はなによりも美しかった。
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