英雄はアンブロシアを喰む
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英雄はアンブロシアを喰む

小綱実波/円陣闇丸

こういうの読みたかった

ネタバレ
2025年7月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんな壮大なお話をBLで読めるのがまずありがたくてありがたくて…
ハリポタ、ナルニア、指輪物語、デルフィニア戦記で育った人間にはご褒美のような小説でした。
反対に、物語よりもBLとして2人の関係性に重きをおいて読みたい人には少々難易度が高い、話が長いし脱線もよくするし、蛇足的なところもかなりあったと思います。
でもファンタジーってのは骨組みがめちゃくちゃ大事なので、でもBLとの分量も塩梅がすごく良かったです

ベースの世界はギリシャ神話を完全にモチーフにしているので世界観の新鮮味はなけれども、神と神子の設定、代理戦争、戦果が文字通り果物(これが受けってのが面白い)など、細かい設定がしっかり独創的なので楽しめました。
攻めと受けの感情もすごくアグレッシブで、現代ではありえないくらい命を削って愛し合うとんでもなく熱量の高い愛情表現を読めたのもめちゃくちゃ良かったです。
とくに攻めが受けに初めて心を持っていかれる描写が良かった…とても良かった…あのとき私の心も攻めに持って行かれた…

ここまで褒めておいてなんで星3かというと、なんか文章がところどころわざとらしいというか、特にアイドルの子が主人公にとって都合の良い子になりすぎててたまにすごい違和感があったこと、あと人物たちの心情描写、藍の心情なんかはあまりにも説明しすぎていて行間を読む隙間がなかった。こっちの妄想をする隙を与えてもらえない印象を受けました。これを感じるたびに「スン…」てなってしまった…

でも私にはちょっと合わない文章を書かれる作家さんだな、と思いながらも筆力があるのでぐいぐい最後まで一気に読めてすごく楽しかったです。
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