10年分の答えあわせ
」のレビュー

10年分の答えあわせ

くらのね吉

相変わらずの作風

ネタバレ
2025年7月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様の描くほどよい厚みの裸体と、濡れ場の体の絡み方(下半身の密着具合、抱きしめ方など)がまあまあ好きで、それを見たくて作者買い。ストーリーは、特に盛り上がらず、大げさに愛を叫んだりしないのが作者さんの持ち味で、本作も安定の作風。
受けのなおは、BL界に数多いる「無愛想なせいで怒ってないのに怒ってると思われがち」で、口下手な子。攻めの圭悟は、「なおの考えてることはわかる」とか平気で言えちゃう無自覚傲慢男。この二人が付き合いだし、プチ遠距離となりつつも関係を続けていく中で、お互いが自分自身の嫌な部分と向き合い、喧嘩をしながらもさらに絆を深めていくという展開が、さらっとした雰囲気で描かれていた。なおが圭悟にたより、甘えているのと同時に、圭悟の方にも劣等感とか、つまらない支配欲とかがあって、二人とも未熟だし、そこはこれからもぶつかり合いながら補いあっていきましょうというお話なので、ストーリーとして何か目新しさがあるわけではない。ただ、なおだけでなく圭悟も泣いたのは、嫌いではない。攻めだって泣いていいと思う。
なおの友人となった加藤の存在は中途半端。キャラとして魅力に欠け、たくさん出てきたわりに存在意義を感じられなかった。なおにいい刺激を与えた存在だとしても、なんだか余計なものに感じてしまった。

作者様の、無駄にドラマティックにしたりせず、壮絶な過去とか、とってつけたトラウマとかにたよらない作風と、裸体はやはり好きなので、本作でもそれを味わえたことはよかったのだけれど、どこか物足りなさを感じ、萌えどころもあまりなかった。
他作品にもいえることだが、顔の大きさと、頭の形のバランスが不自然に見えることがあって、それ以外の全身のバランスはよいし、手足の書き方は人間としてのほどよい肉感があって好きだし、線もぱっきりしすぎない、ほどよい雑味のあるきれいないい線なので、頭の形だけなおさら残念におもうことがある。
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